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22.10.06

本気で世界をとる仲間、求む。『Pococha』が「マネジメント・プリンシプル」に託した本音

2022年8月、『Pococha』は、事業の理念やチームのカルチャーなどを記した「Culture Deck(以下、カルチャーデック)」を公開しました。

そもそも『Pococha』チームは、DeNA内でも「異色」と評される個性派集団。「カルチャーデック」はそんな彼らが、自らの個性をさらに磨き、貫くことを力強く宣言した狼煙にも見えます。

もっとも、「カルチャーデック」の中で社内外からひときわ話題となったのがマネージャー層の行動指針を示した「マネジメント・プリンシプル」です。

「メンバーの適性に一番合うアサインではなく、事業の前進を優先する」

「現場から問題が報告されても、事業推進に負の影響を与えていないならば、選択的に問題をそのままにすることもある」……。

なぜ『Pococha』は、個性的でキビしいともいえる「マネジメント・プリンシプル」を公開したのか?その狙いは? 

『Pococha』生みの親でプロデューサーの水田大輔(みずた だいすけ)と、2022年5月にジョインした吉武 めぐみ(よしたけ めぐみ) に聞きました。

 

今が一番おもしろい時、だからこそ……

▲ライブストリーミング事業本部Pococha事業部 事業部長 水田 大輔(みずた だいすけ)
兵庫県南あわじ市生まれ。同志社大学法学部在学中に、REVENTIVE,Inc.を創業。「Close」「Dear」などのSNSを立ち上げる。2016年、プライベートSNS「Dear」をDeNAに売却し、ジョイン。2017年1月『Pococha』をリリース。

ーー『Pococha』の成長ぶりは、すさまじいです。

水田 大輔(以下、水田):とは言うものの、これほどの市場のポテンシャルはもとより予測できていたわけじゃないですし、タイミングなどを含めて自分の起業家生命の幸運をすべて使ってしまった感さえあります。『Pococha』はローンチから5年経ちましたが、売上は初年度の約70倍。ユニコーンの成長ペースをあらわす「T2D3」(前年比売上がTriple=3倍を2年、Double=2倍を3年)を達成するペースで伸びています。

グローバルに展開しているtoCサービスと比較しても遜色ないペースで成長しているのは、誇らしいですね。

ーーサービスの“生みの親”である水田さんの現在の役割は?

水田:プロダクトをふくめた直接部門はもちろん、間接部門もふくめて『Pococha』 全体をみる役回りです。とくに、最近は、採用のPRブランディングに力を入れています。

吉武さんのような素晴らしいビジネスリーダーにジョインしてもらうために(笑)。

ーー吉武さんは、2022年5月に入社されました。転職の決め手はなんだったのでしょうか?

吉武 めぐみ(以下、吉武):プラットフォームとしての魅力と可能性に尽きます。

▲ライブストリーミング事業本部Pococha事業部企画部 吉武 めぐみ(よしたけ めぐみ)
大阪府大阪市生まれ。明治大学を卒業後、約10年間FMラジオ番組の制作に携わる。ラジオ制作の知見を活かし、オーディションアプリ「mysta」に企画職としてジョインしたのち同社でCOOを務めた。『Pococha』の理念に感銘を受け、2022年5月にDeNAにジョイン。

吉武:私は前職ではオーディションに特化した動画配信アプリのスタートアップでCOOをしていたんですね。大きくいうと『Pococha』と同じソーシャルプラットフォームのカテゴライズではありましたが、『Pococha』とはサービスの設計思想もビジネスモデルもまったく違った。『Pococha』は一部の人だけではなく、「すべての人が参加できるクリエイターエコノミー」と銘打って、本当にそのための仕組みが、そこかしこに実装されていました。

口先だけではなく、「本気でグローバルを目指す気概」を感じられたことも大きいです。できるだけたくさんの人を幸せにできるプラットフォームに携わりたかった。

ーー今は実際にアメリカやインドでもサービスを展開されています。手応えは?

水田:まだこれからなのは確かです。しかし、これは世の起業家に共通する「幻想」や「錯覚」の類であることを重々承知していますが、僕や鈴木康平(副事業部長)は「イケる気しかしない」とよく話しています。『Pococha』が目指す「より多くの人に光をあてる」価値観が、すでにアメリカでもインドでも、共感されはじめているのではないかと思います。

実は、ローンチした当初はアメリカのユーザーのみなさんや、現地スタッフから「ボクらは合理的だから、対価もないのにリスナーを応援することなどしない」「こっちではウケないよ」などと言われることもありました。

しかしフタを開ければ、日本同様に、たくさんのリスナーが熱心に応援し、その熱に感化されて涙を流すライバーも数多くいたんです。最初ネガティブだった人は、「まあ、アメリカはスポーツのカルチャーがあるから共感できるかもね」と認めてくれました(笑)。

ーー『Pococha』のサービスは、国境を隔てない、普遍的な価値を実装できているわけですね。

水田:手応えはあります。ただ「普遍的な価値を実装できているか」というと、あくまであるのは「イケる気」だけです(笑)。

先に述べたように、僕らは多くの潜在ユーザーの方々にお会いできていない。バーティカルドメインではなく、オールラウンド型のライブアプリとして提供している『Pococha』の場合、潜在ユーザーへの普及率は7%程度と考えているのです。プロダクトの完成度でいえば5%に満たないのではないでしょうか。

ーー成長の伸びしろはまだあると。

水田:めちゃくちゃあります。裏返すと、グローバルにも足を踏み出した今が『Pococha』の一番おもしろいフェーズだと断言できる。

この最高のタイミングで、『Pococha』をさらに伸ばしてくれる仲間を求めているんです。一緒に、“信じて飛んでくれる仲間”がほしい。

だからこそ、この8月に公開したのが、「カルチャーデック」なんですよ。

 

「マイルドなカルト」であり続けよう

ーー「カルチャーデック」では、『Pococha』というプロダクトの哲学、スケールしていた経緯を伝えつつ、MVV(Mission・Vision・Value)を丁寧に紐解いて、どう形にしていくかまで伝えています。

水田:はい。くわしくは実際に「カルチャーデック」をみてほしいのですが、意識したのは「究極よりも少しマイルドなカルト」であり続けたいということなんです。

ーーカルトですか?

水田:少しきな臭い響きがありますよね(笑)。

ただ、これは僕がつくった言葉ではなく、「Paypal」の創業者でシリコンバレーでもっとも著名な投資家の一人であるピーター・ティールが『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』という書籍の中で語っている言葉です。彼は「究極より少しマイルドなカルトこそが最高のスタートアップだ」と著書に書いている。

カルチャーデックはそれを実現するためのアウトプットの1つであり、Howの1つという認識です。

当たり前のスタンダードではない。けれど、そんな自分たちの提供するビジネスと、その価値、カルチャーを信じ切って、思考して突き進んでいく。そんなある種のカルト的な思考と組織じゃないと、斬新なサービスや新しい市場はつくれないと思うんです。

ーーなるほど。だからこそ「カルチャーデック」ではとても丁寧に、MVVと“信じているカルチャー”を紐解いていったわけですね。

水田:言い方を変えると、カルチャーデックを読んでいただければ、『Pococha』の世界観が自分にフィットするかどうか見極めていただけるのではないかと思っています。

ーービジョンで「Live for Everyone」と謳ったり、バリューのひとつめに、ユーザーのみなさんに寄り添うことを示す「Value for each user, Value for each community」を掲げたり。サービスや事業を信じて、ユーザーのみなさんのために何をするかが明確なのが印象的でした。

水田:これはサービスの設計思想であり、競合サービスとの大きな違いでもあると自負していますが、『Pococha』は「売上を追わないことが売上の最大化につながる」構造になっているんですね。

一人ひとりのライバーに、マッチしたリスナーの方々ができるだけつながりやすくする。ライバーだけでなく、コミュニティに貢献したリスナーもアプリ内通貨やプライズが獲得できる。健全性を担保するために、「よいコミュニケーションって何か?」を何千人ものユーザーのみなさんを巻き込んで考えてガイドラインにまとめる。

短期的な売上や、KPIだけをみていたら、すべて遠回りの施策に見えると思います。しかし、こうした短期的な成果に目を向けないユーザーのみなさんに真に寄り添った施策を打つことで『Pococha』はスケールしてきましたからね。

また、信じる事業とユーザーのみなさんのためにビジネスに集中できることは、『Pococha』で働く一番の楽しさ、気持ちよさだと思うんです。

ーー吉武さんは、その“気持ちよさ”を実感されたことは?

吉武:多々あります。コミュニティプラットフォームを運営すると、少なからずアプリを利用する方々の体験を優先できず、後ろめたさのような面を感じる瞬間がある。KPIを負うビジネスをしている以上は、どうしてもそういう面があったんですね。

しかし、『Pococha』にはまったくそんな後ろめたさがなかった。あいまいな言葉だけのMVVではなく、明確で厳格に「コミュニティづくり」にこそ目を向け、「目先の非本質的なKPIを追わない」とルール化しています。

水田:ただ、やっぱりDeNAの中でも、異色にみられているのは実感しています。「マイルドなカルト」というのは外からみると怖く見える面もあるのかもしれない。ただ、スケールするスタートアップって、みんな同じような気迫と覚悟を持っている。

むしろ、自分たちの事業やカルチャーをカルト的に信じずに、不確実性の高い新規事業の領域で成功なんてとてもじゃないができないと思っています。

たとえば僕がスタートアップをやっていたときの経験で言うと、仲間同士でお互いのビジネスプランを否定し合ったり、詰め合ったりを日常的に行っていたんですよね。お互いが本気で信じている「カルト」に、お互いに違和感をもってしまって気になってしまう。だから「俺はそんなに狂信的になるほど君のプロダクトを信じられない。たとえばこの観点はどうなっているの?」みたいな話をし合うんです。でも実際、相手が「もしかしたらだめなのかも……」って言い始めると「いやいや諦めるな、思考を止めるなよ!」って励まし合う。

大事なのはどんなドメインであっても、それがチャレンジングなものであるほど、コミットするリーダーやチームは「カルト的」であるべきで、なにかを狂気的に信じることなしに成功は難しいんじゃないか?ということです。

ーー今回、そんな「カルチャーデック」の中に「Pococha Management Principle(マネジメント・プリンシプル)」がありました。強い言葉が並び、社内外でもっとも注目があつまった部分だったのではないでしょうか。

水田:そうですね。これはメンバーの一人ひとりがMVVを気持ちよく体現し、実践していくための“共通原則=プリンシプル”として設定しました。

というのも、現場でMVVに基づいた意思決定や行動をしようとしたとき、たいてい、阻害要因となるのがマネージャーの属人的な判断だったりするからです。

 

いかにビジョンを描き、形にし続けられるか

ーーマネージャーが属人的な判断をする弊害を、具体的に教えてもらえますか?

水田:MVVが明確に定義されていたとしても、メンバーが実際に日々の業務のなかでそれを実現するときの変数として、実質的にもっとも大きいのがマネージャー層の判断です。

たとえば、サービスや事業を何よりも信じて優先することは、もっとも大切にしているバリューです。しかし、マネージャーがそれを理解しているにもかかわらず、個々人のキャリアの中で血肉となってきた「マネジメントとはかくあるべし」といった経験的なスタイルを実行してしまうことが稀にある。

ーー結果として、そうした属人的なマネジメントが、事業優先ではなくなり、事業やチームの成長を阻害する要因になると。

水田:そうです。急成長している『Pococha』のようなチームは、メンバーの特性を熟知して力を発揮させるリーダーよりも、激しく変化する環境の中でビジョンを描き、形にし続けられるリーダー、マネージャーこそが求められます。

にも関わらず、目の前のメンバーの状況だけに目が向きすぎると、リーダーが事業優先ではない判断をしてしまうジレンマを抱えていました。ジレンマを解消し、MVVをしっかりと言動につなぎ合わせるための行動原則として、「マネジメント・プリンシプル」が不可欠だと考えたわけです。

ーーマネジメント・プリンシプルは3つあって、それぞれケーススタディのようになっていますね。たとえば1つめが「OKR(目標と主要な成果) Driven」。具体的なケースとして「自発的な改善アクションの提案があったとき、どうするか?」の問いではじまります。

水田:はい。その答えとしてまずNGなのが「主体的な行動を推進し、アクションを応援すると約束する」ことです。

一見、「主体的なメンバーは応援すべきでは?」と思うかもしれません。しかし、必ず個人に向き合う前に「そのアクションがOKRにつながる提案か否か」を問い直す必要があります。

マネジメントでよくある間違いは、個人のキャリアにフォーカスしすぎることです。たとえば自発的なアクションを「成長機会になる」「学びのいい経験だ」と尊重しすぎる。

ーー優先すべきは個人の成長機会の前に、事業の成長機会だと。

水田:はい。もっといえば、事業を成長させること以上に、個人の成長機会はないと考えています。

事業をないがしろにして、個人の成長機会を優先すれば、回り回ってチームの誰かにしわ寄せがいくはずです。言い換えれば事業よりも個人を優先するのは、個人の成長のために「事業を搾取している」ことにほかなりません。

ーー「事業を搾取する」の言葉は、グサリと刺さりますね。

吉武:私も入社後、このプリンシプルを知りましたが、とても共感できました。

これまでのキャリアを振り返っても、誰か一人のメンバーの要望を優先して事業にとって一番よい選択ができず戸惑うことが多々あったので、とても納得感が高い。また具体的なケースで明文化してあるので、実践しやすい。

ーー2つ目は「Be a Dream Team」。「適性が活かせていない、成長をサポートしてもらえないと不満の声があるとき」の対応として、「各人の適性に一番合うアサインを調整しようと考える」ことをNGとしています。

水田:「事業の全身を優先し、時には今時分の強みと違うOKRにもチャレンジさせる」と明記しました。

 

『Pococha』はプロスポーツチームのような組織

水田:僕らは『Pococha』をプロスポーツチームのような組織だと思っています。スポーツが勝つために適材適所に選手を配するのと同じで、ロングテールなプラットフォームにするためメンバーがいる。メンバーの適性のため、ではない。順番が逆なんです。事業が求めていることをする人材を求めていますからね。

ーーそして3つ目は「Blitz Scaling」。「現場からいくつもの問題が報告され、対処をもとめられるとき」のケースについて、求めるアクションが記されています。

水田:まずNGなのが「責任者が問題解決に向けてメンバーと取り組むものと考える」ことです。

ーーこれも一見、いいマネージャーのアクションに思えますが……。

水田:このケースの正しい答えは「OKRに影響を与えていないならばトラブルを放置することもある」としています。

単に突き放しているわけではありません。事業を急成長させること(Blitz Scaling)させているある意味カオスな環境の中では、常にどこかに問題が起きます。すべてに当たり前に対応していたらリソースを削られるだけです。いわば、問題解決に優先順位をつけて取り組む必要がある。そのときの指標がやはりOKRなんですよ。

何でもマネージャーに任せるのではなく、現場のメンバーも「マネージャーの仕事はトラブルの処理ではなく、事業を前に進めることだよ」と認識してほしいとのメッセージも込めています。

ーー少し強い言葉も並ぶので、怖さや不安を感じる方もいそうでしたが、解説をうかがうとシンプルに「事業を信じて最優先すること」の原理原則とわかりますね。

水田:社内の他部署から「なんか『Pococha』って怖そう」と言われることはたしかにあります(笑)。でも、それだけスリリングな事業環境であるということだと思うんです。

僕は採用面接の際「これからの2年、『Pococha』で経験するキャリアは相当におもしろい」とよく言うんです。事業が急成長する中で、しかもグローバルを相手にしたヒリヒリするような環境で戦える。またマネジメント・プリンシプルで示したように、事業の成長だけに集中することができる。

ーー「『Pococha』で一緒に戦いたい!」というメンバーを求めていると……。

水田:「2年だけ戦いを楽しもう!」という感覚ですね。

よく就職や、どんな仕事やプロジェクトにコミットするかを結婚に例えたり、それと同等に重く・真剣にとらえたりする傾向がありますが、僕は事業(ビジネス)と人のめぐり合わせは、むしろ恋愛やデートのようなものだと思っています。

星の数ほどある事業と人それぞれが、その人の人生のある一瞬だけ、奇跡的な確率で重なり合う。

今この瞬間、ちょうど事業と自分の人生がランデブーする間だけ一緒に楽しみましょう、頑張りましょう。そんな感覚です。

吉武:そうですね。もっといえば、私は2年後は、「これからもっとおもしろい2年間がはじまりますよ」といえる事業で、チームだとも思っています(笑)。ぜひ、一緒に飛びこみましょう!

 

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。
※本インタビュー・撮影は、政府公表のガイドラインに基づいた新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインに沿って実施しています。

 

執筆:箱田 高樹 編集:フルスイング編集部 撮影:小堀 将生

 

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