この春、DeNAデザイン本部が主催するトークイベント「DeNA DESIGN KNOCK(ディー・エヌ・エー デザイン ノック)」がスタート。第1回目は、オンライン配信で3つのプロジェクトの最新事例を展開しながら、「ブランディングデザイン」をテーマにトークセッションを行いました。
DeNAに所属するデザイナーだけでなく、共創するビジネス職のメンバーも出演。職種の領域を超えてDeNAのデザインを余すことなく語ります。
イベントのアートディレクターであり、今回の登壇者としてサービス開発のPdMと一緒に出演したアートディレクター・デザイナーの田中 隼人(たなか はやと)と、司会進行を務めたデザイナーの松岡 苑子(まつおか そのこ)。イベントの舞台裏を知る二人に、初開催を振り返りながら「DeNA DESIGN KNOCK」を通して伝えたい想いを語り合ってもらいました。
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見る人の“感情が動くデザイン”をつくる
松岡 苑子(以下、松岡):第1回目の「DeNA DESIGN KNOCK」は、ブランディングデザインがテーマでした。田中さんはキービジュアルのディレクションをして、トークにも登壇しましたが、どのような経緯でオファーがあったのですか?
田中 隼人(以下、田中):DeNAのデザイン本部には、どんなメンバーがいて、今どんなことをしているのかを、社内外に継続的に発信をしていきたいと、昨年の秋ごろに本部長、部長、広報から話がありました。
個人個人のプレゼンスを上げつつ、私たちと一緒に働きたいと思ってくれる人を増やしたいと。言ってみれば、デザイン本部のブランディングですよね。イベントでの登壇と、キービジュアルをつくってほしいという話をいただいて、もちろんやりますと答えました。
松岡:登壇者の皆さんはブランドデザインのスペシャリストであることは共通していますが、それぞれにやっていることが幅広く、アウトプットのサービス領域としてデジタルもあればエンタメ系もあり、改めてDeNAって面白いと思いました。
今回は、サービスデザイン開発の最新事例として、田中さんが携わっているデジタルムービーコレクションサービス『PLAYBACK9』とライブコミュニケーションアプリ『Pococha』のサービスデザイン、それからDeNAのコーポレートブランディングについてトークライブをしましたが、田中さんはどんな想いで登壇したのですか?
田中:一番に伝えたかったことは「見る人の“感情が動くデザイン”をつくる」ということです。
これは自分がデザインをするときに大事にしていることでもあり、また、DeNAはそういった感覚的な部分もセットで考えデザインに取り組んでいる、ということを知っていただきたかったです。
松岡:登壇者それぞれにデザインのプロセスがあり、想いや考えがあって。司会進行をしながら、このイベントはデザイナーとして私も勉強になりました。話を聞いて改めてアウトプットを見ると、デザインのこの部分に思想が表れているというのがよくわかります。
田中:イベント後の視聴者アンケートで、見る人の感情が動くかどうかの話にすごく共感したというコメントがあって、今回のトークで伝えたかったことに対するリアクションだったのですごくうれしかったです。
現役のデザイナーや学生の方から、DeNAで働いてみたいというコンタクトもあり、僕たちが伝えたいことが伝わったのかなと思っています。
松岡:視聴した他部署のメンバーからも「デザイン本部でこんなことやっているんだね」と、いい感想をもらえたので、意図したとおりにデザイン本部の今が伝わるトークイベントになりましたね。
職域を超えてつながり、共創する
松岡:田中さんが演出・ディレクションしたキービジュアルもDeNAデザイン本部の今を表していますね。
田中:自由度の高い案件だったので、楽しんでつくろうと思いました。タイトルの「DESIGN KNOCK(デザイン・ノック)」は、「訪ねたくなる、デザインを。」というコンセプトで、デザイン本部のコピーライティングが得意なメンバーが考えてくれて。
ビジュアルは、独特な世界観がかっこいい、グラフィックデザイナーのMACCIUさん(外部)にお願いしました。手とかドアをノックしている様子をモチーフに、得意な表現でと伝えたら、ラフの段階からすごくいいものが上がってきて、僕らもテンションが上がりました。
松岡:キービジュアルにはバリエーションがあって、ドアの向こうの景色がぜんぶ違うところが、事業の幅とかタレントの多様性が表されていますね?
田中:最初のラフに対してカラー展開をお願いして、6パターン描いてもらいました。いろんな世界があるのと、見た人の記憶に残る、本当にDeNAらしいキービジュアルができたんじゃないかなと。
松岡:今までもいろいろなイベントがありましたが、「DeNA DESIGN KNOCK」は、他職種のメンバーが領域を超えて出演するというコンセプトが新しくて、今の“DeNAらしさ”が感じられたと思います。
また最初の「PLAYBACK 9(プレイバックナイン)」の話では、田中さんと下島さん(※)の仲の良さが伝わってきて、緊張がほぐれて初めての司会に挑むことができました(笑)。
※……下島 海(したしま かい)。ソリューション事業本部デジタルエンターテインメント事業部にてスポーツ×デジタル領域のビジネスを推進している。『PLAYBACK 9』の紹介記事はこちら(https://fullswing.dena.com/archives/8521)
田中:デザイナー目線で主観的に話してしまいそうになるところを、下島さんにアシストしてもらいながら、サービス全体の話をしました。そこに想いを重ねることができたので視聴者にとってよかったなと。実際のプロジェクトにも言えることですよね。
松岡:このトークで下島さんが、ビジネス側の立場としてもサービスの体験を届けるためにデザインは必要不可欠で、立ち上げ時からデザイナーが入るのはそのためと言っていたのは、デザイナーとして嬉しかったです。バリューを発揮するためにもっと頑張ろうと思いました。
田中:あんなに褒めてもらうと照れますね。これからも期待に応えたいです。
多職種といえば、当日はeスポーツ部企画制作グループ(※)が配信などのサポートをしてくれて、渋谷の別館にスタジオを設営しましたが、横浜オフィスには配信スタジオも完備されています。
松岡:デザイン本部との初のコラボレーションで、照明やカメラワークが本格的でしたね。オンラインのイベントが増えて、まさに大活躍です。
※……eスポーツ部企画制作グループ。プロフェッショナルな配信技術をもつメンバーが集まり、社内外のライブ配信制作を担う。コロナ禍で行った、チャリティeスポーツ大会の紹介記事はこちら(https://fullswing.dena.com/archives/6491)
はじめてのことにも「面白がり」を
田中:松岡さんがイベントの司会をやることになったいきさつは?
松岡:イベントが近づいてきたある日、たまたまオフィスですれ違った広報担当者から「司会を探しているの、お願い」と頼まれまして...。
実は、学生のときに職業適性検査で向いていない職業1位が司会・アナウンサーだったので(笑)。逆に苦手なことで仕事をお願いされることはないだろうと思い、面白がってやってみようと。
田中:僕自身もイベント登壇は初めてで、当日の流れや何を話してほしいかはある程度告げられていて、カンペも一応ありましたが、せっかくなら視聴者に面白がってもらおうと、結構アドリブを入れて、思い付きで話していたんですよ。
松岡:田中さんは普段どおりでしたね。リハーサルをしたときは大丈夫なのかと思いましたが、本番ではすごくいい形になりましたね。
田中:台本といっても各自が書いたメモ程度で、皆さん本番に強いタイプかもしれません。松岡さんもいい意味でゆるい感じで普段どおりでした。
松岡:司会がうまくないので、ゆるくならざるを得ないのもありますが、その結果、このイベントを企画した部長から、「きっちりとしたイベントとして見せるより、デザイン本部の今が伝わるように普段の雰囲気でやってほしい」と、言われたとおりになりました。
多種多様なバッググラウンド、スキルをもつメンバーがそろう「デザイン本部」
松岡:田中さんのプロフィール紹介で、マネキン工場のくだりを長くなるからと軽く受け流したのは、直前の打ち合わせどおりで承諾済みとはいえ、先輩デザイナーなので冷や汗が出ました。
田中:これで小笑いを起こそうと目論んだ。
松岡:逆に気になった方がいると思うので、特別に教えていただけませんか。
田中:本当に長くなりますよ(笑)。絵を描く延長の造形でマネキン工場に就職。百貨店のレンタルリースでボロボロになって返ってくるマネキンを、紙やすりで磨いたり破損したところをパテで埋めてペーパーで磨いたりなどして、きれいになったものを物流部にまわす流れを繰り返していました。
当時は地元にいて、いずれ東京に行くなら早いほうがいいと、フリーランスのデザイナーの方に勧められ、東京のデザイン制作会社に入って4年。改めて将来のキャリアを考えたときに、DeNAだったら何か新しいものが作れる可能性が見えて、ここにいます。
松岡:私は、DeNAにはたくさんの事業があるので、幅広く経験できたほうが引き出しが広がるかなと。インターンシップに参加したときにいろんな経歴を持つ方々と話をさせてもらって、その人たちのすごいところをぜんぶ盗もうと思って入社したんです。
田中:デザイン本部には、UI/UXやビジュアルデザインだけではなく、多様な得意分野を持つ人がいて、僕がマネキン工場にいたように、バックグラウンドも多種多様。ひとつの領域に限らず、デザインもやるし、コピーライティングするし、絵も描ける。
デザイン本部には今約80人のメンバーがいて、探せば必ず得意な人がいるのが強みだと思います。
松岡:入社1年目のときから「本当にいいんですか?」と思うほど大きな仕事を任せてくれるのがDeNAらしいと思っています。その分、自分で考えなければならないし、責任もありますが、自分が思っていたよりも速いスピードでいろんなことができるようになりました。
事業やサービスの企画段階の上流からデザイナーとして関わるので、他職種との共創で学ぶことも多く、つくづく恵まれているなと感じます。
田中:僕も今回のイベントで経験値が上がりました。キャリア入社は、スキル的な部分でのクオリティや経験を、どう武器として使うかはその人次第で、自分が何をしたいか発言していくことが大切です。
どういう仕事でどういうデザインがしたいか、目的を持ってやっていればデザイナーとして高みにいけると思う。デザイン本部には、それをしっかり見ていて評価してくれる人たちがいます。
「また訪れたくなる」コミュニティをつくる
田中:これからも職域を超えてさまざまなメンバーがイベントに登壇してもらい、DeNAのデザインの今を伝えていきたいと思います。参加した方がまたイベントを訪ねたくなるような場、視聴者参加型のコミュニティをつくっていけたらなと。
リアルタイムでコメントをもらいながら、それに答えていけるとさらに盛り上がりそうです。デザイン好きな人にぜひ参加してほしいですね。
次回の司会も松岡さん続投ですよね。
松岡:はい。次回の7月7日は『横浜DeNAベイスターズ』と『SC相模原』の「スポーツ×デザイン」がテーマです。
視聴者とのコミュニケーションをさらに活性化したいですね。デザインをやっている人も、やっていない人も楽しめる「DeNA DESIGN KNOCK」は、DeNAデザイン本部の今が詰まっていて、ビジネスやキャリアのヒントにもなると思います。
今後もたくさんの方に参加してもらい、DeNAのデザインと想いを伝えていきたいです。
第2回目「DeNA DESIGN KNOCK #02 スポーツにおける、ブランディング戦略。」開催!DeNAの多岐に渡る事業と、デザイン本部の"今"をお届け。たくさんのご参加をお待ちしております!
※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。
※本インタビュー・撮影は、政府公表のガイドラインに基づいた新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインに沿って実施しています。
執筆:さとう ともこ 編集:若林 あや 撮影:内田 麻美