ミッションは「挑戦者を惹きつけ、未来を創る」
ビジョンは「主役になれる環境づくり」――。
DeNAのヒューマンリソース(以下、HR)本部は、新卒採用活動においてミッション、ビジョンを掲げて活動しています。
「新卒採用活動は会社の未来を創る重要な使命。全社をあげて取り組んでいます。新卒採用にかける私たちの想いが強いというのがミッション、ビジョンを掲げる理由の一つ。あと私たちが“ただDeNAの採用だけを見ているわけじゃない”という社内外への意思表示でもあります」とHR副本部長で新卒・キャリア採用及び人材育成を統括する風早 亮(かざはや あきら)は言います。
新卒採用において、DeNAはどんな仲間を求めているのか。またDeNAという船は新卒にとってどんな場所か。HR本部で風早と共に日々採用業務にあたる新卒グループのリーダー 小川 篤史(おがわ あつし)にも参加してもらい話を聞きました。
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採用チームにあった“バラバラ”でも熱い想い
――まず新卒採用におけるミッション、ビジョンを策定した理由から教えてください。
風早 亮(以下、風早):はい。新卒採用は、言わば会社の未来をつくる仕事です。会長の南場も常に「新卒採用は最重要業務の一つ」と口にしていますし、社内にも浸透しています。
実際、私が新卒採用の責任者になった2年前も、メンバーはみんな、誇りと熱い想いを抱いて業務にあたっていました。
ただ同時に、採用メンバーはどこかそれぞれ「個人商店」のような動き方をしているんじゃないかな、という印象もあったんです。
――チームより個人プレーが目立ったということでしょうか?
風早:そうですね。新卒採用担当者は、志望者や内定者のファーストキャリアとして当社が最適かどうかも含め、広い視野を持って彼らに寄り添い、一緒になって未来を考える重要な任務を担っています。
たとえば数社から内定をもらった学生に対し、どんな意思決定がその学生にとってベストと思える選択なのか。一人ひとりに深く向き合い方向性を見出していくその活動は、当然寄り添う時間も長く、それぞれの現場で、それぞれの判断で動くシーンも多くなります。
そうした日々忙しいメンバーが動き方や判断に迷うシーンにおいて、「ブレずに立ち返ることができる共通の価値観や言語」をつくることが大切なのではないかと考えたのがきっかけでした。
――そこで個で動き、判断するときの「よりどころ」としてミッション・ビジョンを掲げようと考えたわけですね。
風早:はい。我々がなぜ・どんな意義で採用活動を行うのかというブレない指針がミッション、近い将来目指す状態目標をビジョンとして策定しました。
DeNAに入ってもらうことが最大の目的ではない
――そして誕生したミッションが「挑戦者を惹きつけ、未来を創る」。
風早:いえ、じつはこのミッションは、以前からあったものなんです。
ただ、策定した当時とメンバーも入れ替わっていたので「あらためて我々の採用活動の意義から捉えなおしてみよう」とチームメンバーでミッションで語られている言葉と向き合うことにしました。
――どのようにおこなっていったのでしょう。
風早:日々の採用活動の合間を縫って数回に分けてメンバーに集まってもらい、ワークショップを重ねました。
「今の新卒採用の現状をどう考えているか」
「この先、会社にどんな人材が必要になってくるのか」
「そもそも何のために新卒採用をする必要があるのか」
そんな本質的なところから議論していったのですが、今思えば「DeNAらしさ」みたいなものをあらためて探る作業でもありました。
そうした中で、「DeNAが『永久ベンチャー』と掲げているように、やはり『挑戦』というのはDeNAらしさであり、私たちが接することで挑戦心が焚きつけられ、そういう仲間を惹きつけるような活動をしたいよね」と話し合いました。
――らしさを探ったら、「挑戦者を惹きつけ、未来を創る」は腑に落ちたと。
風早:はい。ただ、「未来を創る」もあらためて強くその意味を捉え直しました。
新卒採用は会社の未来をつくる活動ですが、DeNAという会社に合うか合わないかをみていく中で、「DeNAではない方が良い」という判断をすることの方が実数として多いです。
そんな中、挑戦心を持ち、当社に興味を持ってくれた学生が、たとえ当社とは違う道を進むことになっても、「挑戦」という同じマインドを持った仲間として、その道で世の中に大きなデライトを届けてもらいたい。もしかしたら先々、協業先やパートナーとして、はたまた業界を活性化させる良きライバルとして出会うかもしれませんが、「挑戦」という想いで繋がることができたらいいよねと。そんな願いを込めています。
――採用そのものが目的ではなく、もっと先の「未来を創る」ことが最大の目的であるということでしょうか。
風早:そうです。もちろん、DeNAという会社の縁を広げるような人に出会い、わかり合い、入社してもらうための活動ではありますが、違う道を歩むことになる方とも、「挑戦」という同じマインドで、日本の、世界の未来をつくる活動をしていってもらいたい。そんな想いで採用活動に臨むことが、DeNAが掲げる「世の中にデライトを届けること」にも繋がると信じています。
そして、この考えをメンバー全員が言葉だけじゃなく、直感的に捉えられるようにしようと考え、ワークショップから社内のデザイナーに参加してもらい、ミッション・ビジョンをビジュアル化していきました。
――ゲートをくぐった黄色い部分はDeNAで、青いところは起業や他社など他の道。しかし、どの道を歩んでも世の中にデライトを届けていこう、というわけですね。確かに、ビジュアルがあると伝わりやすいですね。
風早:ワークショップの議論もデザインがあったおかげで活発になりました。言葉だけだと力技で議論を運べるけれど、絵にしてみるとどうもニュアンスがズレていたりして「違う違う。もうちょっと練り直そう」と何度もやり直したり。その分、デザイナーの方には汗をかいてもらいました(笑)。
――小川さんは、2018年の11月に新卒採用チームに入られたと伺いました。このミッション、ビジョンのビジュアル化について当時どう思われましたか。
小川 篤史(以下、小川):新卒採用はHRのメンバーだけではなく、他の事業部の方々にも深く関わってもらう領域です。そのときに、「こういうビジョン、ミッションで進めていきたい」と言葉で伝えるだけじゃなく、ビジュアルを見せながら説明することで「なるほど。そういうことね」とニュアンスまでふくめて共感、共有できたことは大きかった。実感として、コミュニケーションの質がぐんと高まりましたね。
すべてのメンバーにスポットライトがあたる土壌をつくる
――次にビジョン「主役になれる環境づくり」を設定した経緯について教えてください。
風早:はい。ミッションが「使命」や「意義」だとしたら、ビジョンはもう少し具体的な未来像。そう考えると、DeNAを介して「挑戦し、未来を創ろう」とする入社後の社員が、どんな状態でいることが理想なんだろう?とまた喧々諤々の議論を進めて決めました。
――「主役」という言葉が強いですね。
風早:主役というと「じゃあ、脇役が存在するのか?それは違うだろう!」という議論にもなったのですが、むしろ全員にスポットライトがあたる、全員がそれぞれの持ち場で違うカタチで主役になってほしい、という意味で使いました。
毎年、我々HRも自信をもって採用しているし、すばらしい仲間がジョインしてくれています。しかし、その入社した社員全員が「入社後ポテンシャルをフルに発揮できてきたか」というと、そうとは言い切れない面もあります。
――ポテンシャルを発揮できずに発展途上の状況でいたり、ネガティブな感じで転職していった人もいたと。
風早:はい。「人は仕事で育つ」というのが、私を含めたDeNAのHRの共通認識ではあるのですが、「人は人でつぶれてしまう」こともあるんですよね。
上長や先輩と相性が合わない、イマイチ強みを活かせていない。言い訳やネガティブな理由になってはいけませんが、そうした理由でポテンシャルが発揮できないことは誰にでも起こり得ます。
だとしたら、その環境を改善することはできないだろうか。上長との相性やコンディションなどのアラートを検知して「適切なアサイン」ができないだろうか、と考えました。
――しっかり主役となれる最適な場所を、最初の配属だけじゃなくてその後も丁寧に見ながら調整していくということですか?
風早:それも一つですね。新卒採用して終わりではなく、HRのメンバーも積極的に社員と定期的に1on1やミーティングを通じてコミュニケーションをとったり、月に一度の「マンスリーアンケート」や半期に一度の「360°フィードバック」といった記名式のアンケートを実施し、上長との関係ややりがいの変化などについてメンバーの状況を把握できるようにしています(※1)。
※1……DeNAでは、社内の人材・組織開発を支援する取り組みとして、人事データを収集・分析するHR Techのチームを立ち上げ、人材配置の最適化や、社員の能力を活かす仕組み作りをバックアップしています。詳しくはこちら。
――新卒採用のチームが、育成にも踏み込む感じですね。
小川:そうですね。そこは新卒に関わる各事業部のメンターと連携しながらその体制づくりを行っています。
新卒が本配属された後、「ポテンシャルを発揮し、主役として夢中になれる」場をつくり出すこと。またその実態を外にも発信していくことが次の新卒採用に必ずつながる。だから積極的に踏み込む、メンターの方々にも踏み込んでもらうイメージで進めています。
――まさに全社をあげて環境づくりに取り組んでいるのですね。
小川:そうですね。あとそれは持続的でなければ意味がないとも思っています。メンバーが変わっても、同じ解像度を保ちながら「主役になれる環境づくり」を継続していくために、各事業部で新卒に関わるメンターの方たちを巻き込んでメンターコミュニティをつくろうとしています。
期初にメンターで集まったキックオフで「濃厚でストーリーのある一年を」というキーワードを共有し、新卒にとってもメンターにとってもそういう一年を過ごしていきたいという気持ちを表明しました。その後は、月に一回有志で集まってメンター活動を通して得た知見を交換したり称え合ったりしています。
――そしてその延長線上に新卒採用のブランディングコンセプトができあがったのでしょうか?
風早:はい。「『面白がり』、求む。」ですね。
最初は「怖がり」でもいい。最後に大切なのは「面白がれるか」だ
――「面白がり」を求めよう、と決めたのはなぜですか?
風早:あらためて、DeNAにフィットする人ってどんなタイプか、どういうことに共感してほしいかと議論する中で、それを社内外でわかりやすくコンセプトとしてまとめたいと考えました。
背景にあるのは、ゲーム、スポーツ、ライブストリーミング、ヘルスケア、オートモーティブなど、かつてよりDeNAそのものがずっと多彩な事業を手がけるようになったことです。
以前から「DeNAって武士っぽい」とか「ロジカルモンスターみたいなイメージがある」とかよく言われているのですが(笑)、それだけじゃおさまらないよね、という面も感じていました。
――なるほど。いまのDeNAにフィットするのが「面白がり」タイプだと。
小川:そのカラフルな事業内容もそうですが、「何が起こるかわからない」ユニークな組織環境がDeNAの特徴でもあります。そんな状況の中で視座高く目標に向かって挑戦し、デライトを生み出そうと必死に駆け回る「面白がり」がDeNAっぽいな、とこれもチームで集まって議論しました。
風早:そうだね。そこで二の足を踏まずに、なんとか突破しようと動く。それがDeNAらしさなんじゃないかと。
小川:でも、議論を煮詰めていくうちに「けれど、そんな最初から何でもやってやるって感じでもないな」とか「簡単に壁を乗り越えるというのは違うかも」と自分たちの経験を振り返って、いろいろな意見が出てきたんです。
じつは最初は目の前に壁や課題があらわれたとき、やっぱり怖がっていたり、不安を感じていたりはする。当たり前なんですけどね。
そこでDeNAのメンバーに共通するのは、最後は「大変だけど、いっちょやってやるか」とか「なんでこんなうまくいかないんだ?逆に興味が出てきたな」とか、前へ前へ突き進むメンタリティーなんじゃないかと。
風早:弱さや怖さを超えて突破するための「面白がる力」が、頑張れる原動力になる感じはあるよね。
――恐れや強がる感情を持ちながらも、根っこの部分で「面白がっちゃう」。そういうタイプは、きっとDeNAにフィットするんですね。
小川:そうなんです。まさに面白がり方もカラフルでいいし、その多様性があるほうがいい。私たちHRも、また各事業部の面接に関わるメンバーも、そこは思考を固定させないように「面白がりって何だっけ?」といった議題で、ワークショップをしたりもしています。
みんなが失敗も交えて体験を語りながら、「あれは確かに面白がりだったかも」と言い合っているのは、“らしいな”と感じます。
――「DeNAだけでなく、日本の、世界の未来を創る挑戦者を」という言葉をカタチにしていくために、全社をあげて面白がって業務に向かっているのだということが伝わってきます。では最後に、この記事を読んでいる就活生の方に向けてメッセージをお願いします。
風早:DeNAでは、個のプロフェッショナルはもちろん、一人ではできないことをチームで成し遂げることを大切にしており、その上に多くのチャレンジが成り立っています。失敗は挑戦したからこそ生まれるものだし、成長は自分でつかむもの。スポットライトのあたり方は違っても、仕事に夢中になっている状態のチームは多くの成果を生みます。
DeNAという船に乗るだけではなく、船の漕ぎ手として大きな推進力を生み出す仲間になってほしい。そんな想いで日々学生さんと接しています。
小川:そうですね。私たちは確かに「主役になれる環境づくり」を続けていますが、入ってくる方には「自分の手で主役の座をつかんでやる」といったメンタリティを持って入ってきてほしい。そのほうがグッと成長速度は高まると思うし、そのやる気を底上げしていけるよう私たちも日々活動しています。
風早:何よりも、挑戦を楽しみ、面白がれる人にきてほしいですね。間違いなく、船の漕ぎ手のほうが面白いですしね。
※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。
執筆:箱田 高樹 編集:川越 ゆき 撮影:内田 麻美
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