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新卒研修は「自分」を探す体験の場。育成担当者が明かしたその本音

2020.06.03

例年入社式直後から始まる新卒社員研修。今年も4月2日から、73名の新卒社員を対象に実施されました。ただ、今年は新型コロナウイルスの影響で、研修がリアルからオンラインへ急遽方針転換。2週間の新人研修をWeb会議ツール「Zoom」やビジネス向けチャットツール「Slack」などを使った「フルリモート」で行いました。

もっとも、フタを開ければ、研修そのものは大成功。「有意義な時間が過ごせた」と、研修担当者・新入社員の双方から声があがりました。

なぜ、DeNAの新卒研修は環境に左右されず成功を収められたのか。「一緒に船を漕ぐ仲間になる」というコンセプトはどうやって生まれたのか。研修を担当した3人のメンバーにその真意を聞きました。

「一緒に船を漕ぐ仲間になる」2週間

――2020年の新卒研修が終わって1ヶ月ほど経ちますが、まずは今年の研修の感想を聞かせていただけますか?

平子 裕喜(以下、平子):私はテーブルメンターとして研修に参加しましたが、「楽しかった」に尽きます。今年は当初はまったく想定していなかったフルリモートでの研修になりましたが、新卒社員と一人ひとり密にコミュニケーションを取っていたので、彼らの変化を間近で感じ取りながら研修プロセスを一緒に踏めたのは貴重な経験になりました。

――研修の企画・設計に携わった坂本さんと林さんはいかがですか?

坂本 宇(以下、坂本):私は平子さんたちテーブルメンターに嫉妬していましたね(笑)。研修中、林さんと私は黒子に徹していたのでなかなか新卒社員と話せるチャンスがなくて。それなのに、新卒メンバーとメンターが日に日に距離が近くなって、ワイワイ楽しそうに成長していって。

林 紫苑(以下、林):そう。最終日にはグループの仲間がメンターの似顔絵を添えた寄せ書きをアップしたりして、とても楽しそうでしたよね。

林 紫苑
▲株式会社ディー・エヌ・エー ネットサービス事業本部ソーシャルライブ事業部 林 紫苑(はやし しおん)
2015年に新卒入社。ゲーム事業部でソーシャルゲームの広報・マーケティングなどの経験を経て、ヒューマンリソース本部へ異動し、新卒エンジニアの採用・育成を担当。現在は、ソーシャルライブ領域のマーケティングを担当している。

――一般的には研修に「楽しい」イメージはないように思うのですが、具体的にはどのような研修だったのでしょうか?

林:もちろん、経営層の話や事業部の概要など、会社の思想や文化、事業の知識を得るコンテンツも当然ありますが、私たちが大切にしているのは「対話」するコンテンツです。少人数でのグループワークやメンターとの1on1などを通じて自己理解を深めながら「つながる」研修を行っています。

坂本:実は現在の研修内容には、私の原体験がとても大きく影響しています。私は2012年に新卒でDeNAに入社したのですが、当時の研修内容は、ロジカルシンキング、エクセル講座など、スキル系の研修が主でした。

しかし、研修を終え、事業部での社会人生活が始まった1年目。経験のないことにどう向かうのか、どう対応していけばいいのかわからず、非常に苦しかった。配属後半年くらいの間、成長を実感できないまま時が過ぎていき、先輩の助けを借りながらも自走力のなさにもどかしさを感じていました。

また入社5年目の時に、当時自分がいた部署に配属される新卒メンバーをみていて、自分と同じように「自走」部分でつまずくことが多いなと感じることがあって。それで、知識を教えるのではなく、自分の鍛え方を教えるほうが自走力につながると考え、彼ら向けに独自に研修資料をつくったりしていました。

2018年にHRに異動して、育成担当になったときに改めて思ったのは、そもそも新卒研修ですることは何であるべきか。本当に役立つ研修はなんだろうか、ということでした。「自分のようにつまずかず、入社後なるべく早くから持つ力を大いに発揮し、その価値を高めていって欲しい」と考えたんです。

坂本 宇
▲株式会社ディー・エヌ・エー ゲーム・エンターテインメント事業本部組織開発部第二グループ 坂本 宇(さかもと ひさし)
2012年に新卒入社。ソーシャルゲームのプランナーとしてキャリアをスタート。その後、協業案件や、ゲーム関連の新規事業立ち上げなどの経験を経て、2018年12月にヒューマンリソース本部へ異動し、新卒の育成を担当。現在は、ゲーム事業の組織開発を担当している。

――それが「自走力」「つながり」といったテーマにつながっていくのですね。最も大事にされたことはなんだったのでしょうか?

坂本:やはり答えではなく、自分の頭で考えるために自分の鍛え方を学ぶということですね。DeNAにはそれぞれ強みの異なる優秀な人材が集まっています。しかし、その個人の強さを組織的な強さと比較したとき、最大限に活かせていないんじゃないか、化学反応を起こした爆発的な強さには達していないんじゃないかと。

そもそも、個として素晴らしい才能、可能性を持つ多様な人材に対し、画一的な何かを教えるのは彼らの成長に寄与するのか。結局のところ、個々が自分を「知り」「鍛えて」いくことができれば、それぞれの良さや魅力を削ることなく、異なる道筋で大きな成長をとげるはずと信じ、19新卒の新卒研修からその内容を一新したんです。

私自身、入社後の新卒研修では、同期の仲間と一緒に2週間がっつりチーム研修を受け、配属後もその「つながり」で切磋琢磨してきました。それに、入社後の新卒研修は、同期が一定期間、一堂に会す貴重な時間。配属後は同期全員で意図的に時間を取るのはなかなか難しいということもあります。

自走力をつけ、強く成長していく個人が仲間とつながり、更に刺激し合い高めていくことで、個人としてもチームとしても強くなる。そんな新卒メンバーとつながることで、私たちも大いに刺激を受け、成長することができると実感しています。

個人としても組織としても強くなるために

――「一緒に船を漕ぐ仲間になる」というコンセプトについて、「船に乗る」のではなく、「船を漕ぐ」仲間という言葉を選んだのはなぜですか?

林:自分で考える能力を育む、お互いに刺激をもらう、同じ船にただ乗るのではなく、一緒に船を漕いで前進させる仲間になってほしいという想いからです。そしてテーマは「自走力」「つながり」「面白がり」。

また、設計思想として大事にしたのは「セキュアベースな研修」です。信頼・安心・安全を担保しながら自分と向き合う環境を整えるために、今年からテーブルメンターを配しました。

――もう少し詳しく聞かせていただけますか?

坂本:去年の研修も5人程度のチーム単位でワークショップを実施していましたが、私と、あと他の社員が適宜参加して担当者としてつく設計でした。その時感じたのが「新卒社員との距離」です。

1人だと社員一人ひとりとのコミュニケーションが制限され、どうしても顔が見えづらく「新卒社員との距離が遠い」デメリットを感じていました。研修する側と受ける側ではなく、「一緒に船を漕ぐ仲間」として研修期間を過ごしていくのであれば、より近くで一緒に過ごせるメンターが必要になる。1対73ではなく、もっと近い存在として5人に1人くらいのテーブルメンターがつき、「安心・安全」を担保しながらチームに「もっといけるよ!」と挑戦を促す「仲間」として、セキュアベースの役割も果たしたいと考えたんです。

平子 裕喜
▲株式会社ディー・エヌ・エー ヒューマンリソース本部人材開発部新卒グループ 平子 裕喜(ひらこ ゆうき)
2013年に新卒入社。Mobageアバターや、協業案件での基幹システム開発、オートモーティブでの配送サービスのエンジニアリングマネジメントなどを経て、2018年12月にヒューマンリソース本部へ異動し、新卒エンジニアの採用・育成を担当。

平子:あと、「事業部について」「コーポレートカルチャーについて」「戦略について」と話し伝えるときでも、新卒社員にとっては具体性がつかみにくく、咀嚼しづらいと思うんです。

当たり前ですが、大きい会社でもその中には血の通った人がいて、それぞれの人の思想・考え・行動があるわけですが、そういったことをつい忘れがちです。そこでグループをまとめ、内容を咀嚼してしっかり届ける意味でも解決できるメンターがいるよね、と決まりました。

新卒社員と伴走し、ファシリテーションする

――そうして、平子さんたちのようなテーブルメンターが誕生したんですね。

平子:そうです。テーブルメンターとして新卒社員に自己理解・他者理解を促すための問いを投げかけたり、それぞれ自身を見つめた上で、どうありたいかを模索する「目標設定研修」をやったり。新卒社員と伴走し、支える感じでした。

坂本:驚いたのは、メンターを含めた6人が想定以上に「ワンチーム」になったことです。

――メンターがいたことで、うまく流れが生まれたということでしょうか。

平子:Zoom上に6人が顔を揃え、研修を進めていったのですが、リアルのときのように周囲の声も入らず、本当に我々だけの世界になるんです。まわりを気にせずにすみますし、雰囲気もすぐにまとまって一つの色になれる。ただ、それだけに「がんばるぞ!」とポジティブな空気が流れるときはいいのですが、少しネガティブな空気が流れると、一気に空気が重くなることもあります。

なので、ポジティブなムードを保てるよう、意識して前向きな言葉を選んで話すようにしました。

林:こうした空気をファシリテーションするのはテーブルメンターの大切な役割かもしれないですね。

平子:メンターとの1on1にしても、本当に2人きりになるわけです。会話の中で自分をしっかり見つめ直し、「自分はこういうときに喜怒哀楽の感情が動くんだ」と「自分を知る」ことはとても重要です。そういう意味で、自己開示しやすい場がオンラインだからこそできたのは、本当に意外で、かつ大きなメリットでした。

▲「Jamboard」を使ったオンラインセッション。研修の楽しさが伝わってくる

――Zoom以外のツールは、どのように活用したのですか?

林:最も使ったのはSlackですね。もともとDeNAはSlack文化がありますが、研修中は新卒メンバーの個人チャンネル「#times」がSlack上にずらりと並んで、研修中に、また研修後に考えたことや感じたことが投稿され、それに対してメンバーやメンターが反応したり、質問し合ったり。盛んなやりとりがありましたね。

また、リアルの研修なら、研修中に感想を言い合うのは気が引ける方もいると思いますが、Slack上のチームチャンネルで皆リアルタイムで質問を出し合い、その場で解決。情報量が増えますし、何よりコミュニケーションを楽しんでいる様子が伺えました。これもオンラインのメリットだったと思います。

坂本:あと、平子さんがつくった「テーブルメンターの#times」も良かったですよね。

平子:「仲間だ」「つながりだ」とか言いながら、テーブルメンターが閉じているのはダメじゃないですか(笑)。

メンター同士のやりとりもSlack上でどんどん開示して、「メンターはこういう気持ちで研修をしています」「こんな悩みをもってやっています」とフルオープンにしました。結果、「メンターが一番面白がって、やってるじゃん」というのが伝わったならば嬉しいですね。

▲テーブルメンターの「#times」。メンター同士のやりとりもオープンに展開された

「面白がり」な「仲間」たちへ

――こうして2週間の新卒研修が無事終わったわけですが、あらためて思うことはありますか?

平子:テーブルメンターをしながら考えていたことは、誰しも自分を知ることは難しいということです。しかし、一緒に成長できる仲間がいることが、結果的に自分を知ることにつながるということを体感してほしい。そんな成長の「点」を「線」にするような体験を生み出したいと考えて、対話し続けた2週間でした。

林:新卒1年目は、初めての社会人経験で、自分の「できない部分」「弱み」がたくさん見え、自信がなくなる時期だと思います。自分自身もまさにそうでした。ただ、どんな人にも、必ず輝く強みがあると思います。最初は弱みに目が向いても、絶対に強みを忘れず、伸ばしていってほしいと思います。

また、テーブルメンター、採用に関わったメンバーが研修の最後に彼らにメッセージとして伝えたそれぞれの強みは、今後苦しい時に、拠り所になると思います。不安を軽減することはとても重要です。私もメンターにもらった「言葉」に1年目ずいぶん救われましたから。

坂本:20新卒の新しい仲間を迎えるにあたって、研修に関わるメンバーで「大事にしたいテーマ」を何度も何度も話し合って「一緒に船を漕ぐ仲間になる」というコンセプトにたどり着きました。このコンセプトと「自走力」「つながり」「面白がり」のテーマを新卒社員と共通言語としてしっかり共有しながら一緒に船を漕げたことは、何より有意義な2週間でした。

今は配属先でそれぞれ日々の業務に邁進していると思いますが、研修で育んだことを糧に、今後も大いに力を発揮すると思いますし、とてもタフに育っていってくれると確信しています。


「入社後、配属までの2週間の新卒研修は、新卒メンバーだけでなくメンターである我々も大きく成長できた機会」。新卒メンバーとの関わりの中で自分たちも一緒に成長できている、と3人がとても強く実感しているのが印象的でした。

「同じ船を漕ぐ仲間」になった20新卒メンバーの、今後の活躍が楽しみです。

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

執筆:箱田 高樹 イラスト:大橋 愛子 編集:川越 ゆき

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