「普通のVC」でも「CVC」でもない デライト・ベンチャーズが目指す未来(前編) | フルスイング - DeNA

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CULTURE

19.12.26

「普通のVC」でも「CVC」でもない デライト・ベンチャーズが目指す未来(前編)

2019年7月に立ち上がったベンチャーキャピタル、デライト・ベンチャーズ。開始から数ヶ月経ち、どのような動きがあるのかをマネージングパートナーの南場智子(なんば ともこ)、渡辺 大(わたなべ だい)が語ります。また、後編では起業することがオフィシャルなキャリアパスとして存在する今後、DeNAが求める人材「面白がり」についても聞きました。

デライト・ベンチャーズの今

左:南場智子(なんば ともこ)1996年、マッキンゼー・アンド・カンパニーでパートナー(役員)に就任。1999年に同社を退社して株式会社ディー・エヌ・エーを設立、現代表取締役会長。2017年3月、代表取締役会長に就任(現任)。
右:渡辺 大(わたなべ だい)1999年京都大学文学部卒業、さくら銀行入社。2000年ディー・エヌ・エー入社後、新規事業開発など。2006年DeNA北京総経理、2008年DeNA Global, President、2016年DeNA Corp., VP of Strategy and Corp Devを経たのち、2019年DeNAグループ退社。

――デライト・ベンチャーズ立ち上げおめでとうございます。7月に立ち上がり、約3ヶ月が経った頃(2019年11月)ですよね。どのような投資を始めているだとか、活動の内容、現状について、まず聞かせてください。

南場智子(以下、南場):社内で事業案を募集したら、全部で30数件来て、事業性の検証を経て、DeNA社内から5件の新規事業プロジェクトが立ち上がりました。

渡辺大(以下、大):デライト・ベンチャーズはシリーズA程度までのアーリーステージ投資に加えて、DeNAのリソースを使った新規事業の立ち上げからスピンアウトする「Venture Builder」と、DeNA内外の人材の起業独立を支援する「Springboard」というプログラムを運営しています。

2019年7月から投資を始め、これまでに、VCとして6件エクイティ投資をしました。加えて、DeNA社内から応募のあったVenture Builderの新規事業プロジェクトは、すでに停止したものも含めて5件投資、Springboardでも1社独立して、投資しています。案件数としては思った以上の立ち上がりです。

ーーメンバーも増えてきました?

南場:ずっと社内インキュベーションに携わっていた坂東がジョインしたり、川崎さん(※1)も腕まくりして参加してくれているし、社外からも多数参加してくれています。

※1……現DeNAフェロー 川崎修平氏

DeNA社内でいうと、CTOのnekokakやデザイン本部長の増田などのモノづくりのノウハウというのはすごく必要で、2人に全面的にサポートしてもらっているし、彼らとの会話から新しい事業アイデアが出てきたこともあります。他にも、将来起業したい想いがあるDeNAの社員が、起業家を間近で見たいと出向してくることも決まるなど、大いに盛り上がっています。

大:アメリカのベンチャービルダーやベンチャーキャピタルのパートナーもアドバイザーに入っていただいています。他には、起業家候補がデライト・ベンチャーズに籍を置きながら新規事業をつくり出す活動も始まりましたね。

南場:面白いのはフォースタートアップス(※2)という、スタートアップをターゲットとしたヒューマンキャピタリスト、つまり採用エージェントの恒田さん(※3)が参加してくれて社内にずっといたりね。デライト・ベンチャーズは、ステータスは関係なく、考え方に賛成で何か貢献できるものを持っている人なら、どうぞ来てくださいみたいな感じです。

※2……フォースタートアップス
※3……フォースタートアップス株式会社取締役 兼タレントエージェンシー本部長 恒田 有希子氏

大:そうですね。今考えているのは、ハッピーアワーなどを開催して、このオフィスをネットワーキングの場として使ってもらうのもいいかなと思っています。

南場:バーカウンターがあるオフィスを借りました!

――リリース後の内外からの反応はどうですか?

南場:元DeNA社員で会社を立ち上げている人いるじゃないですか。そういう人が「自分のアイデアを聞いてくれ」って来てくれて嬉しかったですね。今日も来てくれたしね。

――大さんはシリコンバレーを拠点にされているとのことですが、海外での反応はどうですか?

大:シリコンバレーでも日本と同じように、大企業がどうイノベーションを引っ張っていくのか、というのはよく議論されています。CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)や社内インキュベーションはどの会社も取り組んでいる、と言っていいと思います。ただ、デライト・ベンチャーズの取り組みはシリコンバレーの企業のものと比べてもユニークで、想像以上に関心を持たれています。

デライト・ベンチャーズは「普通のVC」でも「CVC」でもないので、起業家やDeNAの社員に対して、明確に情報発信していきたいと思っています。

ーー「『普通のVC』でも『CVC』でもない」というのが気になったのですが、どういうことですか?

大:そもそもどうしてデライト・ベンチャーズを始めたかという趣旨を話した方がいいと思うので、そこから話しますね。

デライト・ベンチャーズ立ち上げに込めた想い

大:シリコンバレーでは、優秀な若者が起業するのは当たり前で、資金も人材もどんどん集まってきます。そもそも起業することが人生を賭けた一か八かのチャレンジではなく、会社も人材も健全に新陳代謝してイノベーションが生まれてきています。

アジャイルで思い切ったアイデアを次々試し、失敗したらピボットして、成功したらとてつもない見返りを得られるのがスタートアップです。「イノベーションの生産性」という意味では多くの分野で、大企業のR&Dに比べてスタートアップのエコシステムの方が効率的であることは、もはや明らかになりました。

シリコンバレー外の世界の経済圏でも過去10年、急激に起業やベンチャー投資の波が広がってきています。そんな中日本でも、DeNAが生まれたときに比べると若者の起業が増え、スタートアップシーンが盛り上がってきているのは事実です。

でも世界に比べると、国内のベンチャー投資額は先進国では最小規模で、日本はなんと「世界中で一番起業しにくい国」というデータが複数あります。実際、シリコンバレーのスタートアップイベントに参加すると、インド・台湾・韓国・南米・中東・アフリカ……世界中の起業家がプレゼンしにやってきていますが、日本人の起業家は残念ながらほとんど見ることはありません。

日本では新卒一括採用制度という、いまや先進国で唯一の採用システムを維持していて、終身雇用を原則にした人材制度が一般的です。会社をやめにくいし、一度やめると戻りにくい。起業家に対して優しい社会とは言えず、起業のハードルはまだまだ高いと思います。

DeNAはそんな環境の助けもあって、新規事業を立ち上げたい、イノベーションを起こしたい、という超優秀な人材が、新卒採用でも中途採用でも集まっています。DeNAの成長はそういう人たちが起こしたイノベーションに牽引されてきました。

その結果、DeNAにはイノベーションの文化と人材というアセットが蓄積されており、これを使って日本のスタートアップエコシステムの成長を加速させたい、というのが僕の中でのデライト・ベンチャーズの始まりですね。

つまり僕らが目指すのは、DeNAのアセットを使って起業のハードルを下げるということ。そして、スタートアップを大きく成功させることなんです。

「大きく成功」という点では、もう一つ指摘したいことがあります。日本は起業しにくいだけではなくて、スタートアップが世界に出にくい環境がある。文化・言語の特異性に加えて、米国を除く先進国に比べて母国市場が充分大きいため、新しいビジネスにチャレンジする際、日本でまず成功してから世界に乗り込もう、というマインドセットが理にかなっています。

その結果、日本で成功して上場するころにはチームもプロダクトも日本に最適化されて、日本であげた利益を海外で投資することを、必ずしも歓迎しない株主も加わってきます。ちなみに、これはDeNAの欧米展開がうまくいかなかった背景の一つでもあると思っています。

デライト・ベンチャーズは、これまでのDeNAの海外投資からの教訓やネットワークを利用し、日本のスタートアップが少しでも早いステージで海外へ展開して、国内にとどまっていると得られない成長規模を実現するのを手助けしたいと考えています。

DeNAグループ視点で見るデライト・ベンチャーズの意義

 南場:少しフォーカスが違うのは、大は日本視点、私はDeNAグループ視点もやっぱり強いわけです。DeNAグループの発展のために、挑戦的なアプローチをしているわけです。

でも、私も未来投資会議に参加していて、日本のことはすごく心配しています。日本の経済の閉塞感は、大企業の人材の流動性欠落が一つの大きな原因ではないかと考えています。この20年、日本の経済の相対的なポジションが下がってきたことをリカバーするためにも、この課題解決はとても重要ですし、DeNAが率先して動くことで課題を解決する糸口を示していきたいです。

ーーでは、改めて「普通のVC」でも「CVC」でもない、という意味についてお聞かせください……

(後編はコチラ)「普通のVC」でも「CVC」でもない その理由と今後の展望に迫ります➡︎

 
 

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

執筆・編集:菊池 有希子  撮影:石津 大助

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