DeNAの各部を率いるリーダーたちのビジョンや哲学を表明する「私の所信表明」シリーズ。
第6回目となる今回は、2019年4月にCTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)に就任したネコカク(nekokak)こと小林 篤(こばやし あつし)。
2018年8月にはエンジニアの研究開発、技術投資を支援するR&D部門を創設、また渋谷をIT分野の世界的技術拠点にすることを目的とした「BIT VALLEY」プロジェクトなど、社内外でいくつもの新たな取り組みを起こしてきた小林が、いまなぜCTOに就こうと思ったのか。
ゲーム、ヘルスケア、オートモーティブ、スポーツなどさまざまな事業を展開するDeNAのCTOとして、目指すビジョンを語ります。
エンジニアのパフォーマンスをあげるため、CTOに
そもそもDeNAはECサイト事業からスタートして、モバゲーなどネットサービスを中心に事業を展開してきた会社です。そこからゲーム、ヘルスケア、オートモーティブなど事業が多角化していく状況のなかで、扱う技術も多岐にわたり、すべての技術を把握するのは無理があります。そのためDeNAには約4年にわたりCTOが不在でした。
しかし昨年、技術系唯一の執行役員としてさまざまな課題解決に取り組む中で、エンジニアのパフォーマンスが上がる仕組みづくりや、技術投資の拡充といった改善を主導する立場の人間が必要だと思ったのがきっかけです。
また、DeNAは「技術の会社」と言われていますが、誰が技術組織のマネージメントをしているのかが明示できない状況にあり、その結果、事業単位の散発的な発信に留まってしまっていました。DeNA=技術の会社というコアなメッセージを発信し続けるためCTOに就くことを決意したのです。
DeNAのモノづくり体制を強化するために
CTOの大きな役割は、エンジニアやクリエイターがパフォーマンスを最大限に発揮できる環境を用意することです。
エンジニアのデバイスを使いやすいものに変更するなど業務環境を整備したり、既存制度の活用促進のため見直しを図ったり。現場のエンジニアにヒアリングして課題を把握し、関係部署と連携してエンジニアが働きやすい環境を継続的にアップデートしています。
まずは3年後、DeNAがエンジニア組織、モノづくりの組織としてどんなチームでいたいのか、どんなカルチャーを醸成したいのか、その結果どんなアウトプットを出せるようにしていきたいのか。方向性を示したロードマップを周囲と連携しながら作成しているところです。
大切にしているのは、失敗を許容する文化
DeNAが培ってきたモノづくり体制をさらに強化するためには、失敗してもいいよ、という文化が大切だと思います。
失敗は、うまくいかないやり方を学ぶチャンスです。失敗体験があると、「このまま進むと問題が発生しそうだな」といった勘も働くようになる。失敗させないようにフォローすると、失敗の仕方がわからない。これは、成功体験だけでは得られないスキルなんです。
私はマネージャーにも「どんどんチャレンジして、失敗して」と伝えています。ただし、「倒れるなら前のめりに」と条件をつけていますが(笑)。