2018/06/28

『逆転オセロニア』の愛されキャラクターは“ひとり芝居”からうまれる

おなじみの「オセロ」のルールでプレイする、シンプルですが奥深い対戦バトルゲーム『逆転オセロニア』。おかげさまで2,100万ダウンロードを超えるアプリゲームとなりました。

 

そんな『逆転オセロニア』の魅力の1つが、今にも動き出しそうなキャラクターたちです。たとえば、Twitterで「#オセロニアート」と検索してみてください。

かわいらしい女性キャラや勇ましい勇者の表現豊かな二次創作がずらりと並ぶはず。オセロニアン(※1)の熱量の高さを実感してもらえると思います。

 

そんな愛されキャラクターたちは、どのようにデザインされ、生み出されているのでしょう。逆転オセロニアの世界観を作る3人のキーパーソンに伺うと、カギは“キャラを活かす”3つの視点にありました——。

 

※1……『逆転オセロニア』のプレイヤー

“ひとり芝居”で周囲を巻き込みキャラをつくる

——『逆転オセロニア』のキャラクターづくりにおいて、具体的にはどういった役割を?

 

▲左から佐縁馬(さえんま)、森竹(もりたけ)、河瀬(かわせ)。

 

森竹:私は『逆転オセロニア』のコンセプトにしたがって世界観やキャラクターの設計まわりをつくっています。イラストレーターさんに依頼するときの指示書づくりや、キャラクターが話すセリフづくりなどをやらせてもらっています。

 

佐縁馬:その森竹さんからあがってきたイメージを実際のキャラクターデザインとして具現化するチームが、僕らですね。作家さんからあがってきたイラストをチェックするのも大事な仕事です。

 

河瀬:私はCD(クリエイティブ・ディレクター)を担当しています。とは言っても業務領域は多岐に渡っていて、ゲームタイトルにおけるビジュアル面の最終責任であったり、誰に何をお願いするか、チームをどう回していくか、といったクリエイティブ部門のプロジェクトマネージャーといったところまで担っています。

 

——『逆転オセロニア』って性別年齢問わずたくさんのプレイヤーさんがいますよね。そんなに愛されているキャラクターを生み出せる理由って何ですか?

 

佐縁馬:森竹さんのひとり芝居ですね。

 

森竹:ひとり芝居(笑)。

 

——え! ひとり芝居ってどういうことですか?

 

佐縁馬:たとえば、あがってきたイラストを森竹さんに「どうですか?」と見せると、「あ、そこはもっとこう! こう! 腰のラインがこうまわってきて、ドーン! と構える感じ?」とすべてジェスチャーで示してくれるんです。そのキャラクターが天から“降りてくる”ように。

 

森竹:実際に動いて見せたほうがスムーズに伝わることが多いので、「このキャラはこんな手の動きで魔力を操ってます。」とやります!

 

 

森竹:ほかにもこの女性キャラは健康的なセクシーさを出したいので「こんな感じのポージングで魅力的に見せましょう。ほら、こう!」(腰をひねりながら)といった指示はよく出していますね。

 

 

佐縁馬:このように、すごくわかりやすいんです(笑)。

 

森竹さんが、かわいらしい女の子になったりものすごく怖いモンスターになったり、本当にそのキャラに見えてきて。そのおかげで、チームのメンバーはキャラクターの特徴をつかみやすくなる。

イラストレーターさんもイメージを形にしやすくなる。だからこそプレイヤーの方々にも思い入れを抱いてもらいやすいんじゃないかと思うんです。

 

——森竹さんの演じる熱量がそのままチームへ、そしてプレイヤーの方々に伝播していってるんですね。

 

河瀬:まさに。森竹さんが『逆転オセロニア』のキャラクターに命を吹き込んでいっている感じです。

 

佐縁馬:仕事がすすめやすいのはもちろんですが、何よりすっごく楽しいんですよ。森竹さんと打ち合わせしていると、子供の頃友達とくだらないことでずっと盛り上がっていたような楽しさがあります(笑)。

 

森竹:いつもデスク前でキャラを演じながら、このキャラはこんな動きをする、とかしないとか議論しているので、周りから見るとふざけているように思われているかもしれません……。

でも、ちゃんと仕事しているんです(笑)。

 

1枚絵の裏のストーリーとギャップがキャラを活かす

——実際に、『逆転オセロニア』のキャラクターを考える時も、ひとり芝居からアイデアが出てくるものなのでしょうか。

 

森竹:パターンは1つじゃないんです。ひとり芝居から入ることもあれば、絵からつくりあげることもあるし、セリフみたいなところからパッと先に思いつくこともあります。

 

一貫しているのは、どこから着想したとしても、「なぜこのキャラクターはこんな格好なのか」「なぜこうしたポーズをしているのか」ということの裏付けとなる奥の設定というか、バックボーンをしっかりと作り込むことは意識していますね。

 

——その狙いはどこに?

 

森竹:一枚の絵からもその奥にあるストーリーが透けて見える。そのほうがキャラクターに愛着を持ってもらえると思うんです。

 

だから『逆転オセロニア』の場合、キャラクターの絵は説明的なものではなく、必ず「ストーリーのワンシーンを切り取ったような絵」にしています。

 

たとえば両手をこう、ダン!(腕をめいっぱいひろげながら)とひろげたキャラクターがいるとしたら。

 

ゲーム・エンターテインメント事業本部ゲームサービス事業部デザイン部第一グループ 森竹航介
モーションデザイナーとして、コンシューマーゲームの制作に関わる。その後、ディレクター職を経て、2014年中途入社。同時に『逆転オセロニア』の世界観構築、キャラ設計、台本制作、イラスト発注〜チェックを担当する。現在は同タイトルの世界観構築を行いつつ、キャラ設計、イラスト発注をメインに行う。

 

それはただ見栄えがいいからではなくて「実は彼は後ろに守りたい人がいるからこうして手を広げている」「見た目よりもずっと優しさにあふれた人格をもっている」「なぜなら実は過去に……」といった具合です。そこまでは表に出しませんが、イラストの指示書では伝えたりしていますね。

 

佐縁馬:イラストを描いていただく作家さんからも「ここまでキャラクターの設定がしっかりしているとイメージしやすい」と言われますね。

 

——そうした深いところまで、設定が作り込まれているからこそ、プレイヤーの方々が感情移入して、ファンアートなどのセリフやポーズなどで「いじりやすく」なっているのかもしれませんね。

 

森竹:そういう意味では、「つっこみどころをつくる」ことは大切にしています。

 

たとえば、「ゼルエル」というめっちゃ強くて武人極まりないキャラクターがいるのですが、裏の設定としては実は「かわいいものが大好き」だったりするんです。

 

▲左:ナイスゴッド・マーベラス 右:ゼルエル

 

部屋はもふもふしたぬいぐるみに囲まれていて、「ただいま、うさたん!」(いい笑顔でなにかに抱きつくふりをしながら)とやっているとか。

 

 

えらいムキムキのマッチョな体しているんだけど、セリフは「マーベラス!」(マッチョなポージングをしながら)しか言わないとか(笑)

 

いくら美しくても、かっこよくても、パーフェクトな人間っておもしろくない。

欠点やコンプレックスを用意してあげると、キャラクターはそこを起点にして動き始める気がするんです。

 

だからこそ、SNSやイベントなどでプレイヤーさんから「そんなキャラでかわいいものが好きなのかよ!」「マーベラスだけかい!」といったツッコミが入ると、「やった!」と思います。「また愛情を抱いてもらえた」と感じますね。

 

作家”らしさ”もキャラに活きる

河瀬:「なるべく作家さんが描きたい絵」を描いていただいていることも、そこにつながりますね。

 

『逆転オセロニア』は原作がある版権モノではないので、作り手の自由度が高い。現状1,000ぐらい存在するキャラクターに対し、作家さんは数十名ほどいて、作家さんそれぞれの絵柄を活かしたキャラクターが登場するんです。

 

▲『逆転オセロニア』の個性あふれるキャラクターたち。 左:アルマグエラ    中央:ハーピストエンジェル   右:アズリエル。

 

トーン&マナーをそれほど縛らないので、作家さんの情熱を傾けられるデザインを描きやすい土壌があります。

 

佐縁馬:作家さんの“らしさ”を出すために、強いこだわりのようなものがどこにあるかは、事前に作家さん自身の作品を通してとても注意深くみていますね。

 

ゲーム・エンターテインメント事業本部ゲームサービス事業部デザイン部第一グループ 佐縁馬真
美大卒業後、コンシューマーゲームの2Dデザイナーを経て、2012年入社。『農園ホッコリーナ』の背景やキャラクター制作に携わった後、16年より『逆転オセロニア』のイラストチェックを担当。現在は同タイトルのイラストチェックメンバーのタスク管理なども平行して行う。

 

「ああ、この人はドラゴンが好きなんだ」とか「筋肉にこだわりがあるな」などと、本当に「好きなもの」を考え、なるべくその好みに沿ったキャラクターを頼むようにしています。するとあきらかに“ノリ”が変わって、いいキャラクターが生まれます。

 

——このメンバーのみならず、作家さんもふくめ情熱をもってキャラクターをつくりあげる工夫がなされているんですね。

 

メンバー1人1人がキャラを活かせる環境をつくる

——マネジメント視点で愛される『逆転オセロニア』をつくるために工夫されていることはありますか。

 

河瀬:「森竹さん自身にいかにつくってもらいたいキャラクターを創造してもらうか」。そして「いかに作家のみなさんに描いてもらいたい絵を描いていただくか」。

 

この2点がCD(クリエイティブ・ディレクター)として自分がやっていくべき仕事だな、と確信し、サポートしています。スケジュール管理なども含めて、なるべく余計な作業は森竹さんがやらなくていいようにするとか。

 

ゲーム・エンターテインメント事業本部ゲームサービス事業部デザイン部第一グループ 河瀬貴夫
関西でSierをした後、ウェブデザインやフラッシュアニメの制作からクリエイターにキャリアチェンジ。上京後、ゲーム会社を経て、2012年入社。クリエイティブに特化したプロジェクトマネジメントを担当するように。現在は『逆転オセロニア』CD(クリエイティブ・ディレクター)。

 

実は、自分が最初に『逆転オセロニア』に参加したとき、なぜ逆転オセロニアのキャラクターはプレイヤーの方々に愛されているのか」と考えたんです。なかなか定量化して測れないところがあるので。

 

けれど、いつも熱っぽくジェスチャー付きで周囲を巻き込む森竹さんの姿をみて「あ、森竹さんだ!」と気づきました(笑)森竹さん自身がキャラクターになりきる熱量こそが、キャラクターが愛される根源的な理由じゃないかと。

 

今後も“愛される”『逆転オセロニア』を作るために、森竹さんをはじめ、1人1人のメンバーが熱量を最大化できる環境づくりをしていきたいですね。

 

DeNAでは一緒に働く仲間を募集しています

DeNA キャリア採用

 

執筆:箱田高樹 編集:下島夏蓮 撮影:小堀将生