2018/03/30

DeNA流リーンスタートアップ。「3年間で24事業立ち上げ19事業を閉じた」新規事業チームが語る、10の経験則

テクノロジーの進歩により、日常を豊かにするサービスが、次々生まれています。しかし、実際はその多くが数年で閉じてしまっている現状があります。なぜ新規事業はうまくいかないのか。多くの新規事業担当者や経営層が直面している問いでしょう。

 

DeNAのサービスインキュベーション事業部は、ゲーム以外の多くの新規事業立ち上げを担う、社内ベンチャーのような組織。この3年間でリーンに24事業の立ち上げを行い、うち19事業をやむなく閉じてきました

 

すべての新規事業に通じる、成功確率を上げるための「鉄則」があればいいのですが、市場環境や業態など多くの変数により、大事にすべき考え方や取るべき手法はそれぞれ。ですが、多くの事業を立ち上げ閉じる中で見えてきた「経験則」を参考にすることはできます。

 

今回は新規事業立ち上げに”フルスイング”する同事業部のプロダクトオーナーと部長が企画フェーズ、グロースフェーズ、そして組織マネジメント編にわけて、10の経験則を語り尽くします。

企画編

検証したい仮説(コアバリュー)を一つに絞る

水谷:DeNAのサービスインキュベーション事業部で企画に携わる私たちは、プロダクトの仮説を検証する場合、仮説と検証を一つに絞ります。仮説に仮説を重ねると、何の仮説も検証できないことがよくある。だから仮説は一つに絞り、その検証の目的が何かを事前に明確に決め検証を行います。

サービスインキュベーション事業部企画推進部 水谷友一(みずたに ともかず)
クンカブルプロダクトオーナー。2016年にクンカブルを立ち上げた。

 

新規サービスに機能を積み込みすぎてしまって、検証の切り分けできなくなる状況、よくありますよね。これは避けるべきです。小さい単位で解析することで、開発コストを少なくできるメリットもあります。

 

想像で仮説を立てず、現象を拾う

水谷:企画を考える超初期段階では、TwitterをはじめとするSNSをひたすら見て、実在するアカウントの苦労した点・不満点や解決方法を観測します。そのフラストレーションを解消することがニーズの仮説検証と、MVP【※】の発見に繋がると考えています。

※ MVP……Minimum Viable Product。顧客に価値を提供できる最小単位の製品

 

私は、自分の過去の思い出をもとに想定ターゲットを観測しはじめることが多いです。

リアルと違って、ネットでは行動も感情が可視化されることが多いもの。ユーザーが、今何をしてどう感じているのか。SNSでは簡単に可視化されます。SNSやブログなど、その方の行動をたどれば原因をつぶさに観察することも可能です。

水谷はSNS上の人々が何に興味をもちどのような行動を起こすか、常に観測している。SNSでの行動をたどると、行動の発端が分かるケースが多い

 

私が担当するクンカブルの発想の源泉は、Instagram上に増えていた、飼っている犬の「なりきりアカウント」でした。あたかも犬がしゃべっているかのように写真とともに言葉を投稿しているユーザーがいることに気付いたんです。こういったアカウントを見たときに考えたのは、

 

Instagramでは犬の言葉+写真を投稿することに恥ずかしさを感じるのでは?
本当は「飼い犬のなりきりアカウント」から「犬の言葉+愛犬写真」を投稿したいのでは?

 

ということ。
気兼ねなく犬の言葉を発信できてペット同士の交流ができる環境があったら、喜ぶ人がいるかもしれない。そうやって仮説検証へとつながりました。

癒され写真・動画満載の犬専用SNS、クンカブル。犬になりきって写真とセリフを投稿できる

 

ターゲットにはデモグラではなく実在する人物を観測する

堀越: Webサービスを企画するとき、特定の誰かの困り事を解決するサービスを目指して作り始めますよね。私はデモグラフィックから憶測を立て、「なんとなくこういう人がいそうだな」と考えたり、ペルソナから想定ターゲットを考えることはありません。必ず実在するSNSアカウントを観測してターゲットにしています。

 

新規事業をはじめる際、一般的には、

 

・24歳女性、デザイナー、独身、中目黒の1K暮らし
ゴール(目標): 独立したい。将来に向けて週末ベンチャーをやっている
フラストレーション(不満): スキルが追いついていない、仕事で結果を出せず本当にこの仕事でいいのか悩んでいる

 

といったペルソナを用意しますよね。

 

一方、私たちは周囲の人に聞きまわったりインターネットで検索して、名指しで「〇〇」さんと言えるところまで実在の人物を探します。

堀越が思い浮かべるのはペルソナではなく、実在アカウント。SNSアカウントを観測して想定ターゲットにする。また、リアルな世界の人格でなく、ネット上の人格とその行動を重視している。

 

〇〇さんはこのサービスを使うだろうか。それとも使わないだろうか。

 

といったように、あるフラストレーション(課題)を抱える、実在する人物を思い浮かべながら考えるようにしています。実在する方の求めている解決策を考ることで、企画はより具体的に設計できます。

 

たとえば、私が担当するCollaket(以下、コラケット)というサービスは写真をデコるためのサービス。デコパーツを使う人とつくる人(クリエイターさん)がいます。写真をデコレーションするのは一般的に女性ばかりと思われがちですが、実は男性もけっこういらっしゃるんです。

コラケットのMVP(Minimum Viable Product)。コラケットはデコる人たちをつなぐサービス。「自分の作ったデコパーツを使う人が見つからない」、「自分のほしいデコパーツを見つけられない」という二つの課題を解決するために実在する方を想定ターゲットとして追っている。クリエイターの中には熱心な男性もいる

 

年齢・性別等でセグメントしたデモグラフィックのペルソナで考えていると、「デコりたい男性」や「熱心な男性クリエイター」など、熱量の高いユーザーの心情には気付けない。SNS上に実在する人物を追っているからこそ、その方の行動から熱量の高いニーズを観察でき、要望や課題の発見につながると考えています。

サービスインキュベーション事業部企画推進部 堀越 優子(ほりこし ゆうこ)
2016年6月スタートの「Collaket」プロダクトオーナー

 

「鶏が先か卵が先か」は、鶏が先

水谷:新規事業に欠かせない仮説検証は、鶏と卵にたとえられると思います。
新規事業では、ユーザーがなぜそのサービスを使うと気持ち良くなるのか、その性質の差を考える必要があります。

 

私たちは、性質の差を二つに分類して、それぞれを鶏・卵と呼んでいます。たとえば質問に回答するサービス、動画配信サービスであればこんな感じです。

 

……質問に答えたい人、動画を配信したい人
……質問したい人、配信を見たい人

 

私たちはまず、はじめに誰の課題であるか決定することを大切にしています。そして最初に、卵でなく鶏側の課題を定義します。私たちが考える鶏とは、Q&Aサービスなら質問に答えたい人、配信サービスなら配信したい人。まずは、見返りなくその行動自体を楽しむ人を集めて、楽しんでもらえるサービスを目指すのです。

 

そこに、卵となる、質問したい人や配信を見たい人がついてくる構造を作ると、サービスとしてスムーズに軌道に乗ると考えています。

 

誰の課題(悩み)を解決するサービスなのか、どんな行動を促進したいのかシンプルに考える

 

さらに一歩進むと、鶏にも卵ともなれる方が出てきます。

サービスの超初期をそういった方100人で固められたら、POとしては楽なんですが、現実はそうはいきません。鶏に焦点をあててサービス開発をする、と決めています。

 

グロース編

1日14時間使うほどのヘビーユーザーに集中する

堀越:私たちが実在する人物の観測にこだわる理由。それは、プロダクトオーナー(以下、PO)の想定を超えるヘビーユーザーが現れるからです。

 

コラケットの場合、最もアクティブにサービスを使ってくれるユーザーは100人ほど。全体の10%です。このユーザーの中心となるのは、デコパーツを投稿するクリエイターさんたちです。

 

中には制作ツールを持ち歩きデコパーツを1週間で2,000個作る方もいて、「もっとデコパーツを連続投稿できるようにならないか」という嬉しい機能改善のご要望を頂いたことがあります。

 

水谷:中には、1日あたり6〜14時間使用するようなヘビーユーザーの方もいらっしゃいます。

 

私たちPOは、自分が一番のユーザーのつもりでサービスを設計します。しかし実際には想像をはるかに超えるヘビーユーザーがいる。そういう方がプロダクトを一番使い込んでいるのは間違いありません。

 

DAUなどの数値を観測するより、どういった画面遷移を経てサービスを使っているのか、生ログから行動を観察した方が早いんです。

 

堀越:特に、サービス公開初期は数字でなくアカウントをひとつひとつ観測します。ただ、行動を観測しているのみでKPIがないわけではありません。各サービスによって指標は異なりますが、たとえばコラケットでは、サービス初期のKPI設定のひとつとして、

 

クリエイターのWAUが週次7%成長(投稿のWAU【※】が7%ずつ毎週平均成長していること)

 

を指標としています。サービスが育ってくると、11%の平均成長を求められます。これはDeNAがコラケットのような投稿系サービスで定めているKPIです。過去に運用してきた投稿系サービスの、同フェイズでの実績を参考にして決めています。

※WAU……Weekly Active Users。1週間あたりにサービスを利用したアクティブユーザーの数を示す値のこと。

 

DAUではなくアクティビティ(と滞在時間)を追う

堀越:POの想定どおり行動するユーザは体感で2割〜3割くらい。仮説は外すことの方が多く、POは「もう!」と悔しい思いをたびたび経験しています。私たちが耐えられているのは、このやってられない環境を乗り越えてきた同僚がいるから。皆、仮説を外している同志です。

 

私たちPOに与えられている期間はとても短い。どんどん施策を打ち行動しないと、会社から追加予算を得てサービスを継続させることができません。

 

水谷:ユーザーは、いきなりサービスのファンになるというわけではありません。何度か使ってみて、その体験次第でWebサービスを好きになることが多いですよね。ユーザーがそのWebサービスを好きになってもらえたかどうか。それは、アクティビティや滞在時間に現れやすいです。具体的にはサービスの種類に応じて、以下のような指標をKPIにしています。

 

・投稿型サービス……一人あたりの投稿数
・配信型サービス……一人あたりの配信時間

 

全体のボリュームというよりは、1人あたりの活動の変化、特に、どの指標が伸びているかに着目しています。

 

どうしてもユーザ数を目標として重視したくなるものですが、アクティビティと滞在時間が目標に満たない状態は、サービスが魅力的でない状態。実際、世の中のWebサービスには、リリース直後にプロモーションしてユーザ数を伸ばしたものの、その後は鳴かず飛ばずものがいくつもある。

 

DAU【※】が一定の10人ならその10人が満足するサービスを作り上げる。それによって生まれたサービス構造が成長の土台になります。この基礎ができていれば、ユーザーがその後増えたとしても離脱が少なく、多くの方に喜んでいただけるサービスになるんです。

※DAU……Daily Active Users。1日にサービスを利用したユーザーの数

 

規模が10倍になってもこの考えは変わりません。100人が心地よい空間と、1000人が心地よい空間の構造は違うのです。例えば100人にとって心地よい状態になっているサービス空間に、新たに1,000人ユーザが入るとコミュニティのバランスが崩れてしまいます。結果として、100人も満足できない状況に。
サービスの安定成長にはユーザー空間の構造を広げるタイミングと速度を意識する必要があります。

 

投稿数や配信数が伸びるともちろん、その分滞在時間も伸びる。これは、投稿数や配信数が滞在時間と相関関係にあるアクティビティと言えます。逆に、あまり滞在時間に関係ないアクティビティもあります。滞在時間が伸びる相関関係にあるアクティビティとは何か。それを探り続けることは、私たちPOの大切な役目です。

 

社内の分析ツールを使って、いろいろな分析、考察を行なっています。たとえば、アクティビティが高まる人は、どういう行動をしているのか。他のユーザも同じ行動をしてもらえるためには、サービス構造をどう変えれば良いのか。それを考え、次の仮説検証へ繋げていきます。

 

30分、1日、1週間、1ヶ月、3ヶ月のNUUの成長スロープを作る

堀越:ライトユーザーをヘビーユーザーに育てるためには、体験の成長を誘導できるかにかかっています。最初は「いいね」だけで楽しかった人が、次はコメントをもらって返信するようになる。その次は写真を投稿するようになる。そんなユーザ一人ひとりの体験を成長させていく必要があります。

 

いきなり大きな階段にすると乗り越えられないので、緩やかなスロープでヘビーユーザーの段階までつないであげるのが重要です。たとえば、「いいね」を楽しむ段階にいる人に動画投稿を求めると一気にハードルが上がりますよね。緩やかな難易度を設定しないとユーザは楽しめず、途中で離脱していく。サービスの継続には新たなユーザ確保が必須ですから、リテンションを考えると避けるべきです。

 

たとえばあるサービスでは、NUU【※】の離脱ポイントは、初めの30分、1日、1週間、1ヶ月、3ヶ月が該当しています。さらに、NUUのスロープを考える上で注意が必要なのは、サービスの「タコツボ」化。古参の中に新参が入れない空気感をそう読んでいます。そういう状況を作らないようにユーザーのフェーズにあわせたUXを探り、機能改善を行い、古参と新参の壁を取り払うことも重要です。

※New Unique Users……その日に登録したWebが純粋に何人いたか。それを示す指標。同じ人が何度も登録しても、カウントは1になる。

 

コアバリューがユーザーに届くまでプロモーションしない

坂東:プロダクトの自立成長が見えてくるまでは、私たちはプロモーションを行わないようにしています。プロモーションを打てばもちろんユーザーの総量は大きくなります。しかし我々は初期フェーズではボリュームを追いません。本当にサービスのコアバリューがユーザーに届いているかどうかが重要であり、バジェットも工数も、その検証に費やしたいと考えています。

 

プロモーションだけでなく、プロダクトをリリースしたときのプレスリリースもあえて行っていません。リリース直後はまだユーザーの数も少ない中で、本来のターゲットユーザー以外の情報はノイズになりますからね。

プレスリリースを見た興味本位の業界関係者が多く押しかけて去っていくような事態になると、本当はコアユーザーの熱量は上がっているのにそれを見誤るケースも出てきます。プロモーションなくしてサービスだけでユーザを自己増殖できるかどうかをまずは見極めたいのです。プレスリリースもしませんので、DeNAの社員でもうちの部門の新規プロダクトの存在を知らない人がかなり多いと思います(笑)

 

サービスインキュベーション事業部企画推進部部長 坂東 龍(ばんどう りょう)
2003年DeNA入社。「みんなのウェディング」を事業責任者として立ち上げ、ソーシャルゲーム開発の企画部長、決済代行子会社ペイジェントの取締役などを担当し、昨夏より現職。

 

組織マネジメント編

リーンに挑戦・失敗を繰り返す

坂東:サービスインキュベーション事業部では”リーン”インキュベーションを全体方針と定めています。限られた予算内で、シンプルなニーズ仮説の検証に必要なプロダクト(MVP)を開発し、検証を繰り返す方式です。

具体的には、初期開発+初動KPIウォッチの費用として、

 

・チームメンバーの数:1〜3人
・予算:1,000万円(開発開始からリリースまでの予算)

 

という最小構成を目安に初期バジェットを設定することが多いです。この費用には、POである自分の人件費のほか、オフィスの地代家賃など販管費も含まれています。初期で検証したいMVPの内容やビジネス成功の可能性によっても金額は変わりますが少額投資が原則です。これは開発期間にすると3〜4ヶ月、リリース後1ヶ月程度でキャッシュアウトしてしまうほどのミニマムな予算です。

 

この方式ですと新規案件のチャレンジ数を増やせますし、失敗しても経済損失規模を抑えやすくなります。

実際にリーンに挑戦した結果、2015年から3年間で、24件のサービスを立ち上げました。うち継続中の新規事業は5件、やむなく閉じてしまった事業が19件あります(2018年3月現在)が、そこから得た経験則は貴重だと考えています。

 

キャッシュアウトするタイミングでは、プロダクトの継続可否と継続する場合はいくら追加バジェットを使うかについて、上長とPOで話し合う継続承認会議を行います。

その時点までのKPI(ユーザー熱量・満足度の伸び等)が計画に対してどうだったかを振り返り、次のフェーズで追うKPIやそれに対しての具体的な開発内容・施策・期間を確認します。
単にKPIだけで杓子定規に判断するのではなく、POがこの先プロダクトを伸ばしていけると信じているかなども判断要素のひとつですね。だいたい3か月毎に継続判断が下されます。

 

何度か継続判断を繰り返すのですが、累積バジェット5,000万円のラインがひとつの大きな関門となります。

 

ここまでの成長が指数関数的になっているか
マネタイズの蓋然性

 

をこの時点では判断します。追加で大きな投資をするのかどうかここでジャッジしますが、このラインからは社長決裁。その後グロースフェイズに入り成長に応じて組織の切り出しも行われるようになるのです。

このような立ち上げ方式は、新事業の立ち上げをしたい人にとってもメリットだと考えています。

 

もし小さなベンチャー企業から新規事業を立ち上げれば、さまざまなステークホルダーなど、多くの人の期待も重圧を背負ってしまいます。早い段階で失敗事業だと気づいたとしても、投資家がいる手前、最後まで頑張らざるをえないこともあるでしょう。会社を潰すにも、非常に大きな責任がかかる。疲弊する起業家も多いと思います。

しかし、我々は早期に意思決定と撤収を行えるのが強み。PDCAをどんどん回し、生産的にプロダクトに集中できる環境を整えています。

 

オーナーシップがみなぎる空気感を醸成する

坂東:サービスインキュベーション事業部は、将来のDeNAの事業の柱となる芽を探し出し、育成するのが部門ミッションです。

一方で、部門メンバー自身も成長の機会を得ていると思います。
プロダクト開発・運営をする中で様々な思考・判断を自分ゴトとして行う経験はもちろん財産になりますし、プロダクトがどんどん成長すると人員もバジェットも増えて、部門化したり、別会社化されることもあり、そこでリーダーとして活躍することにもなります。

仮にサービスがうまく成長せずクローズになった場合も立ち上げの経験をもとにパワーアップして他の事業部で活躍するという好循環が起きています。
このようにインキュベーション部門があることで、会社全体に貢献できるような人材エコシステムがうまく循環するようにすることも私の仕事の一つだと思っています。

 

メンバーに対して心がけていることとしては「ボトムアップ」の環境づくりです。

POをはじめとするメンバーが、担当する新規事業を自分ゴト化し、オーナーシップがみなぎる意思決定を下すことが重要です。POの意思決定は、すごく尊いもの。彼らがマーケットやユーザのことを一番知っていますからね。POの意思決定を尊重すると、プロダクトの成功確率も高くなると思います。

 

私も10年前はPOとしてひとつのプロダクトを作っていましたが、その時の上司は、「サービスに魂込めろ」「エッジを効かせろ」の二言だけで、あとは本当に好き勝手にさせてくれて見守ってくれたので私は非常にやりやすかったですね。

 

当時の経験をふまえると、管理職は、いろんな意味で空気のような存在が良いと思っています。究極の望ましい形はPOへのアドバイスもインプットもせずプロダクトが上手く行くことです。なかなか難しいですが。

現実的にはメンバー一人一人の経験や力量・性格が違うので、相手にあわせたコミュニケーションを取るようにしていますね。もちろん、上司としての意見を求められたら必死に応えたい。上手く活用してほしいですね。

 

ここまで我々の部門の様々な経験則を紹介させていただきましたが、これらを実践すれば成功するというわけではありません。プロダクトを取りまくユーザーや市場環境、当社の環境も変化しますし、プロダクトをつくるメンバーの個性も多様なので、これらの経験則もリバイスされていくのだと思います。常に新しい学びを積み重ねて成功に繋げていきたいと考えています。

まとめ

サービスインキュベーション事業部のチームが新規事業を育てる上で大切にしていること

①検証したい仮説(コアバリュー)を一つに絞る

②想像で仮説を立てず、現象を拾う

③ターゲットにはデモグラではなく実在する人物を観測する

④見返りなくサービスを利用してくれるユーザーを集める

⑤1日14時間使うほどのヘビーユーザーに集中する

⑥DAUではなくアクティビティ(と滞在時間)を追う

⑦30分、1日、1週間、1ヶ月、3ヶ月のNUUの成長スロープを作る

⑧コアバリューがユーザーに届くまでプロモーションしない

⑨リーンに挑戦・失敗を繰り返す

⑩オーナーシップがみなぎる空気感を醸成する

執筆・編集:仁田坂淳史・高根千聖・村山早央里(株式会社ZINE) 編集:榮田佳織 撮影:林ユバ