2018/04/11

事業のために、社内IT部門は何ができるだろう? DeNA IT戦略部のこれまでとこれから|10社 社内IT施策 共有会 レポート

2018年3月15日。渋谷ヒカリエ DeNA本社にて、都内のIT企業が集い、自社の社内IT施策を共有し合う「10社 社内IT施策 共有会」が催されました。

 

参加企業は、DeNA、クックパッド、DMM.comラボ、グリー、LINE、ヤフー、メルカリ、ミクシィグループ、楽天、リクルートテクノロジーズ。社外に共有されることは少ない各社の取り組みを知ることのできる、貴重な機会となりました。

 

今回は本会が開催されたきっかけや、DeNA IT戦略部のこれまでの歩みと今後のビジョン、各社の共通トピックなどについてレポートします。共有会には、社員を“フルスイング”させるIT施策のヒントが詰まっていました!

 

事業上はライバルだけれど、手を取り合う

経営企画本部 企画統括部 IT戦略部 部長 成田敏博

 

なぜライバル関係でもある各社が集うことになったのか?

 

きっかけは2017年4月にDeNA IT戦略部が定めた部門目標に遡(さかのぼ)ります。5つの目標のうちの1つが「より他社の事を知り、ベンチマークを収集しよう」というものでした。

 

部長の成田敏博(なりた としひろ)は各社に足を運び、自社の社内IT施策を共有。同時に、各社の取り組みについても共有していただく機会を設けてきたのです。

 

有益な情報を得られる機会だったものの、こうした情報交換の機会が単発で終わってしまい気味であったことを成田は課題視。そこで「1年あるいは2年という一定期間の中で各社が何をやってきたのか・何をやろうとしているのか」を幅広く共有しあい、興味や施策の内容が重なるところを深掘りするきっかけとなる機会を設けることにしました。

 

たしかに各社は事業上ではライバル関係かもしれません。しかし、ビジネスの基盤にある社内ITのノウハウを共有し合えれば、業界全体の生産性向上にもつながります。さらに、この業界の取り組みは他のさまざまな業界にとっても面白いインプットになると考えたため、そうした各社の方々をお誘いすることにしました。

 

各社の社内IT部門責任者のみなさんもこの考えに共感してくださり、そうそうたる顔ぶれの10社に加え、他の業界を含めた計50社、約180名の方々が一堂に会することになったのです。

 

「デライト」を軸とし、IT戦略部の方向性を定める

ここからは成田が語った、社内IT施策の詳細についてレポートします。彼がまず紹介したのは、DeNAのコーポレートビジョン「インターネットやAIを活用し、永久ベンチャーとして世の中にデライトを届ける」です。

 

 

DeNAが大切にしている「デライト」とは「喜びや驚きをもって本質的な価値を提供する」という意味を込めています。

 

このコーポレートビジョンを受け、IT戦略部は「ITで事業/経営にデライトをもたらす」というミッションを策定しました。

 

 

これを軸に「安心できる環境の提供」「効果的なユーザ支援」「改善提案と変革」という3つの目標を掲げ、数多くの施策に取り組んできました。

 

2017年度IT施策の詳細

部署の方向性を明らかにしたうえで、成田は2017年度に取り組んだ施策の詳細を話しました。

 

 

BIレポートの刷新

2017年5月より取り組んだのが、管理会計のBIレポート刷新。管理会計を司る経営管理部が独自に利用していたレポートを全社展開し、以前に使用していたソリューションから、データの視覚化に優れる「tableau」へとリプレースしました。

 

RPAを活用した業務効率化

IT戦略部では、パソコン上で行う業務をロボットにより自動化するRPA(Robotic Process Automation)の導入に取り組んでいます。数あるRPAツールのなかから、エンタープライズ向けの機能が豊富に備わっている「Blue Prism」を選定し、内製で業務効率化を推進。2017年度だけで月128時間の事務作業を削減しました。

 

参考記事:ルーティンワークはロボットに、創造的な仕事は人間に。月128時間の事務作業を減らしたRPA導入の全貌

 

MTG写真共有アプリ「Shatto」を内製

 

「ミーティングでホワイトボードに書いた内容をスマホで撮影する」ということはよく行われます。しかし、各メンバーの端末に画像が残り続けてしまうため、セキュリティ上あまり好ましくありません。

 

その課題を解決するため、スマホで撮影した写真をGoogleドライブに直接アップロードし、端末内部に残らないようにできるMTG写真共有アプリ「Shatto」を内製で開発。7月より社内展開しました。

 

参考記事:スモールスタートのアプリ開発を成功させた理由。MTG写真共有アプリ「Shatto」が大切にした3つのノウハウ

 

請求書授受業務の電子化

2017年10月からは、請求書授受における紙やPDFのやり取りにクラウドツール「BtoBプラットフォーム 請求書」を利用し始めました。実はこの導入は、一年ほど前にサイバーエージェント社が導入されていることをきっかけとして、同社にヒアリングをしつつ進められた取り組みです。今回お集まりいただいた各社のなかにも、導入しているところがいくつかあるようでした。

 

Slackエンタープライズ版の全社展開

DeNAでは以前よりSlackを全社的に活用していたのですが、セキュリティやコンプライアンスの強化を目的とし、エンタープライズ版を導入。2018年3月にすべてのチームの移行が完了しました。今後は、他のシステムとのインテグレーション(機能連携)やAPIを利用した機能拡張を進めていきます。

 

参考記事:トイレの空き状況もチャットで確認。Slackエンタープライズ版が創る未来|連載・しもじーが行く

 

システム操作マニュアルのクラウド化

2017年12月より、マニュアル作成ツール「Teachme Biz」を活用。システム操作マニュアルのクラウド化を推進しています。

 

IT・人事・総務の社内サポート窓口の統合

2018年1月からは、IT・人事・総務の社内サポート窓口の統合を進めています。これまでは窓口がバラバラだったため、何か起きた際に社員がどの部門に問い合わせればいいのかわからないケースも多かったそう。しかし、統合によりその不便さが解消されました。施策の評判は良く、社員からポジティブな声をもらうことが多いそうです。

 

2018年度のビジョン

続いて、2018年度の全社IT戦略の柱について語りました。大きく掲げていたのは3つです。

 

 

1つ目は「環境整備で組織パフォーマンス向上」。テクノロジーを駆使して、生産性と創造性を高め、組織として高いパフォーマンスを発揮できるようにしていきます。

 

2つ目は「情報セキュリティの徹底でビジネス基盤を強化」。ビジネス基盤を改めて強化することで、IT企業としての“守りの力”を伸ばすことが目標です。

 

3つ目は「AIカンパニーとしての土壌作り」。コーポレートビジョンにもあるとおり、DeNAはインターネット×AIカンパニーとしての未来を描いているためです。社内の各種業務に対し「AI適用の余地があるか」を模索し続けていきます。

 

今後は、AI技術の研究・開発に力を入れている「AIシステム部」と、AI活用施策の立案やAI新規事業計画の策定やパートナー様とのAI活用事業創出などを手がける「AI戦略推進室」という2つの部隊と力を合わせ、全社横断で取り組んでいく構えです。

 

 

続いて、2018年度の具体的なプランを話しました。

 

AI社内問い合わせチャットの拡充

 

2017年12月より開始し拡充を進めているのが、AI社内問い合わせチャット。社員からヘルプデスクへ来ていた問い合わせを、AIが代わりにチャットで自動応答してくれるものです。

 

余談ですが、アイコンに使用している犬のマスコットキャラクター「まりちゃん」は、IT戦略部のメンバーの名前に由来しているのだとか。

 

ワークフロー承認機能の一元化

 

DeNAでは、財務会計システム「NetSuite」、経費精算システム「Concur」、汎用ワークフロー「kintone」などのクラウドソリューションを用いて各種申請のワークフローを構築しています。しかし、ツールが分散しているために承認が煩雑だという課題がありました。それを解消するため、Slack上で承認作業をすべて完結できる状態を目指しています。

 

ビジョン実現のため、その他にも数多くの施策を実施

その他にも、資産管理ツールの刷新やQA業務効率化に向けたAIによる校正支援、次世代セキュリティツールの適用、外部との発注書・契約書の電子化など、数多くの施策を予定しています。また2017年度に推進していたRPA導入やSlack活用についても、より適用領域を拡大し続けていく考えです。

 

社員がフルスイングできる地盤をつくるのは、社内IT部門

 

最後に、次回はリクルートテクノロジーズ社にてIT施策共有会が開催予定であることが発表され、盛況だったイベントは幕を閉じました。

 

DeNAをはじめ各社の取り組みが語られた本会。いずれの企業のIT部門も自社の課題やビジョンを踏まえたうえで施策を実施し、事業の屋台骨を支えていました。

 

普段はなかなかスポットライトが当たることの少ない社内IT部門。ですが、彼らが縁の下の力持ちとして社内環境を改善してくれるからこそ、社員が仕事に“フルスイング”できるのです。その意義が十分に感じられた会でした。

 

▲システム&デザイン本部 デザイン戦略部の和波里翠による、会の内容をまとめたグラフィックレコーディング。

 

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執筆:田中嘉人 編集:中薗昴、榮田佳織 撮影:本山隼人