DeNAのゲーム開発の現場には、どんな人が働いていて、どのような思いを持って仕事に取り組んでいるのかーー「ナカノヒトTalk」は、社内のさまざまな職種の人へのインタビューを通して「人となり」をお伝えする特集です。
今回の「ナカノヒトTalk #004」では、分析部でマネージャーを務めるアナリストの中川友喜に、社内で驚きの声も多かったKaggle初挑戦でのメダル獲得に関して、お話を伺いました。
最近では新設されたユーザーインテリジェンス部の業務も兼任し、今年3月には待望のお子さんも誕生。公私共に忙しいながらも充実した毎日を過ごしている、彼の人となりをのぞいてみましょう。
分析部マネージャーとユーザーインテリジェンス部を兼務
ーーお忙しい中ですが、本日はよろしくお願いします!まずはじめに、最近のお仕事について教えてください。
これまで担当してきた分析部でのマネージャー業務に加えて、4月からは新設されたユーザーインテリジェンス部で、さらに幅広く分析の仕事を兼務するようになりました。
もちろん、引き続き分析部のマネージャーとしても、組織の課題解決やメンバーのサポートを担当しています。
――ユーザーインテリジェンス部では何を?
新規開発中のゲームタイトルに対して、投資承認の場で関係者が皆納得した上で、よりよい意思決定を行うための支援をすることをミッションとしています。経営の意思決定に直結する業務が多く、単純に分析力だけではなく、より良い意思決定を行うにあたって、理想的なプロセスとはどういうものであるかなど、深く考えることが必要になっています。
※ユーザーインテリジェンス部:ゲーム事業の開始や継続に関する情報を提供し、意思決定の精度を向上させることを目的とした新設の部署。社内ではユザイン部と呼ばれている。
――兼務で大変だと思いますが、中川さんが仕事を進める上で、大切にしていることはなんですか?
自分が関わっている業務の中で、いかに付加価値を高めるか、ということを意識しています。組織としての成長だけでなく、個々の仕事に対しても、少しずつでもレベルを上げていくために、小さなチャレンジを重ねています。
Kaggle初挑戦で金メダルを獲得
――それでは本題です! 今年の3月にKaggle初挑戦で金メダル(9th place)を獲得したことについて、苦労した部分や気づいた部分を教えてください。
自分が初挑戦したKaggleのコンペは、いわゆる電線と呼ばれる「架空線」に取り付けられたセンサーの信号データから、異常を検知する仕組みを作って、その精度を競う内容です。
このコンペには、全世界で約1,500人ほどの参加があり、自分はチームではなくソロ(1人)で挑戦して、その中で9位を獲得しました。
今回の挑戦は、まったくの未経験からのスタートだったため、まずはKernelsやDiscussionなどに公開されている他の参加者の解法やソリューション、議論を参考にしました。
また、コンペのお題に似ている「信号から異常を検知する」トピックや、それに関連する論文に目を通し、ネットや本で情報を得ながら、ひたすら試行錯誤を繰り返したことを覚えています。
――かなり勉強されていたのでしょうか?
DeNAでは、業務時間中にkaggleに時間を使える制度(kaggleランク制度)があるのですが、対象はいわゆるkagglerと呼ばれるAIシステム部のデータサイエンスチームになります。
自分はその対象外なので、業務外のプライベートな時間を使ってコンペにチャレンジしたんですが、その費やした時間が、トップランクのKagglerと同じくらいと、周りにツッコまれてしまいました(笑)。
――相当な労力をかけてメダルを獲得したということですね。そういえば、中川さんって8ヶ国語を操ると聞いたんですが……。
学生時代に必要にかられて勉強していただけですよ(笑)。普段は日本語で、Kaggleの勉強のときは英語を使っています。
――金メダルを獲得してから、その後の周囲の反応はどうですか?
獲得したばかりのときは、社内だけでなくSNSでつながっているKaggleコミュニティの人たちから、お祝いの言葉をたくさんいただきました。社内では「突然現れた新人がメダルを獲ったぞ!」とザワついていたようです(笑)。
獲得してから以降も、自然言語処理(NLP)や音声認識、画像認識など、引き続き複数のコンペに参加して、メダルを複数獲得することができました。
――現在では、どのくらいKaggleに時間を費やしていますか?
これまでは、家に帰ってKaggleをやって寝る、休日もほとんどKaggleをするような生活だったのですが、子供が生まれたことと、担当する業務量も増えてきているので、最近はなかなか時間を使えていませんね……(泣)。
――社内のKagglerたちとも仲良くなり、Meetupにも参加しているとお聞きしましたが。
以前DeNAで開催した「Data Analyst Meetup」に参加しないか、と声をかけていただき、一緒にパネルディスカッションをさせてもらいました。
おかげさまで社外のアナリストとも交流することができ、仕事内容や課題、チャレンジしていることを共有することができました。
――当時、Kaggleに挑戦しようと思ったきっかけは?
社内では2018年にKaggle制度が導入されましたが、当時はKaggleの存在は知っていたけれど、あまり興味はなかったんです。
そんな中、分析部内でもスキル向上のためにKaggleを始める人が増え、今後さらにバリューを発揮するために、積極的に挑戦していく動きになっていきました。
自分はマネージャーとして、必要な知識として習得しておかなければいけないと考え、スタートしたのがきっかけですね。気付いたら思っていたよりハマってますが……(笑)。
――ちなみに、Kaggleをはじめて自分の中で変わったなと思うことはありますか?
これまでは、Kaggleで扱うデータサイエンスの問題に対しての知識・知見がほとんどなかったので、ノウハウを蓄積できましたし、Kaggleに関連した新しい人脈も作ることができました。
もちろん、成績ではまだまだトッププレイヤーの足元には及びませんが、Kaggleで習得した解法を仕事に生かすことができたり、課題の整理や、これまで解決できなかった難題を解けるようになったことは嬉しい限りですね。
――今後チャレンジしていきたいこと、考える将来像などを教えてください。
これまでも分析部は組織として事業の課題解決に貢献してきたと思っていますが、今後はさらに分析を通じて解決できる課題の領域やレベルを拡大していきたいと考えています。
そのために、部として最重要視している「ビジネスに貢献する」という価値観を守りつつ、広く深く分析技術を習得した上で、これまでうまくアプローチできていなかった課題解決にも取り組んでいきたいと考えています。
またDeNAの分析部を、取り組んでいる分析の技術レベルが高いというだけでなく、そういったハイレベルな分析を当たり前のように事業の意思決定やサービスの改善に還元できている世界を作り、社内外に誇れるような組織にしたいと考えています。
子供が生まれて生活にも変化が
――ちょっとプライベートなお話をさせてください。待望のお子さんが生まれたと聞きましたが?
そうなんです!今年の3月に子供が生まれて、だいぶ生活が変わりました。昼間は妻が子育てをしてくれていて、休日は2人で協力して子育てを頑張っています。
分析部では去年がベビーラッシュで、パパママ社員が増えました。子供が生まれる前は「プライベートと仕事」のバランスを重視し、働きやすい環境を作ることは大事だと、頭では理解していたんですが、実際に自分の子供が生まれたら、より実感がわきましたね。
――小さい子供を持つ社員が多いチーム内で、残業を減らすことに対して何か工夫をしていますか?
去年マネージャーに就任したときから、メンバー全員で業務の効率化や残業時間を減らす取り組みは続けていて、グループとしてかなり改善してきたな、と思っています。
開発・運用タイトル数の増加に合わせて、工数も増えていくので、削減の仕組みやアサインの調整など、効率化を考えて全体で取り組んでいます。
――ちなみに、お子さんをアナリストややKagglerにしたいと思いますか?(笑)。
今は特に考えてないですね(笑)。本人がやりたくて、のめりこめることができればいいな、と考えています。メンバーに対しても「これをやりなさい」という強制はしないですし、得意なこと、仕事としてやるべきことを自分で判断し、そこに全力でコミットして欲しい、というスタンスです。
――今日はありがとうございました。