クリエイティビティを強みにして事業戦略や組織づくりに貢献。UI/UXデザイナーが考えるキャリアプラン
「事業成長に貢献する存在として、よりデザインの価値を上げていけるデザイナーを目指しています」と語るのは、キャリア入社4年目の徐 愛琳(じょ あいり)。
ライブコミュニケーションアプリ『Pococha』のUI/UXデザイナーとしてプロダクトを成長させる役割を担いながら、デザイナーの新卒採用にも深く関わりDeNAの未来をつくる活動にもコミットしています。
転職を志して企業リサーチするまではDeNAに対して「モノづくり」のイメージがなかったという徐が入社を決めた理由、成長のきっかけとなったプロジェクト、社内で求められるデザイナーの役割など、産休に入る直前の徐に、余すところなく語ってもらいました。
デザイナーと採用、2つの業務を遂行
――『Pococha』のデザインチームはDeNAの中でも少し特殊だと聞いています。まずはその体制から教えてください。
はい。DeNAでは通常1つのサービスに対してデザイナーは多くても3名程度で、デザイン業務全般を担います。一方『Pococha』チームには現在、20名近くのデザイナーが在籍し、プロダクトやイベント、コミュニティ、広告、アイテム、「POCOTOMO(ポコトモ)」など、各ラインにデザイナーがアサインされ、担当領域のアートディレクションやデザインを担当しています。
制作物が多岐にわたることもありますが、サービスの成長に伴って急激にメンバーが増えましたね。
――その中で徐さんはどのような役割を?
UI/UXデザイナーとして、プロダクトチームにアサインされています。企画を担当するビジネスメンバーやエンジニアと一緒に、プロダクトの機能デザインについて初期検討の段階から関わり、最終的なアウトプットまでをメイン業務としています。
他にもチームのミッション・ビジョン・バリューのカルチャーブックデザインやアートディレクション業務など、分野を制限せずに幅広く関わりを持ちながら、携われる領域を広げていっています。
――一気通貫でモノづくりに携わられる一方で、デザイナーの新卒採用業務も担当されていますよね。そちらではどんなことをしているのでしょうか?
インターンプログラムの企画・実施と、選考に関する面接やメンター業務、アトラクト戦略の設計に携わっています。
インターンプログラムではプログラムオーナーとして、コンセプトやプログラム全体の設計、イベントの進行などを担当しています。どんなスタイルが効果的なのか、検証も含めて毎回切り口や形式を変えて開催しているのですが、DeNAの良さや魅力を学生さんにより知っていただけるよう、デザイン本部のデザイナー3名と新卒部から1名、計4名のメンバーでチームを組んで運用しています。
選考の方は、主にアトラクト戦略の設計ですね。たとえば、候補者の学生さんが求めている情報やWillをスピーディーに見極めて社内デザイナーとのコミュニケーションをアレンジしたり、HRメンバーやマネージャーとの連携を強化したり、といったようなことをしています。
――デザイナーと採用、異なる2つの業務を遂行する上で、どんな力が求められると思いますか?
採用業務ではチームのリーダーとして施策を企画・実行するため、レイヤーの異なるメンバーと対等に議論する力が必要です。でも、さまざまな領域の知識を横断的に身につけることが求められるところはデザイン業務も一緒かなと思います。プロジェクトによって立ち回りや携わる領域も変わるので、刺激が多くやりがいがあります。
またデザイナーと採用という2つの大きな軸を得て、視座高く物事を見る大切さに気づき、各業務をスムーズに推進するために必要な段取り力や調整力もつきました。といっても、まだまだできていないこと多く、大変さを感じる日々なのですが(笑)。
クライアントワークではなく、自社プロダクトと共に成長する
――入社前のお話を聞かせてください。徐さんには、DeNAはどのような企業に見えていたのでしょうか。
正直に言うと、「DeNA=プロ野球チーム」のイメージしかありませんでした(笑)。前職ではさまざまなクライアントのWebサイトやグラフィックのデザイン、ディレクションを担当していましたが、自分がDeNAでデザイナーとしてどのような活躍ができるのか、当初はまったく想像できませんでした。
――では、どのタイミングでDeNAへの転職を考え始めたのでしょう?
クライアントワークではなく、自社プロダクトを制作する会社で働きたい、と思うようになって。企業リサーチをしていくうちに、DeNAは幅広い分野で自社サービスを展開していることを知りました。また、縦割りではなく横断した組織編成なので、デザイナーとして異なる事業領域のサービスにチャレンジできるところも魅力的に映りました。この会社だったらプロダクトをつくり、プロダクトと共に成長していけるのでは、と思ったんです。
――転職先を選ぶ際に重視していたことはありますか?
デザイナーとしてどんなキャリアを描いていくか、はもちろんですが、「どんな人と一緒に働くか」ということも転職活動のとても大事な軸でした。
DeNAの面接ではマネージャーや先輩デザイナーと話をする機会があり、みんなフラットで対等な立場で話せる会社なのだなと感じました。また、業務の詳細を聞いていくうちに、デザイナーが関わる範囲やサービスの広さ、そして「自分もこの人たちのように活躍したい!」と心惹かれたことが、入社の後押しになりましたね。
今も「この判断は間違っていなかった」と思っています。メンバーは気さくで話しやすく、どんな些細なことでも相談できる風通しの良さがありますし、マネージャーとの距離も近くてとても働きやすいです。
よいプロダクトをつくるためのDeNAの環境とは
――DeNAへの入社後、意識して行ったことはありましたか?
まずは、チャンスがあれば自分から積極的に動くこと、自分のやる領域をあらかじめ決めないこと、を意識しました。DeNAには社員の年齢、経歴、性別、職種関係なく、誰でも平等にチャンスをもらえるカルチャーがあります。未経験の業務であっても「やりたい」「成長できる」と感じたら手を挙げるようにしていました。
――これまでのキャリアとはまったく異なっていたということでしょうか?
前職は10数名の小規模な制作会社で、デザイン以外にもさまざまな業務を担当していました。クライアントの窓口として案件全体を管理したり、要望をヒアリングして要件に落とし込んだり。DeNAのデザイナーは、決められた仕様に沿ってデザインするのではなく、プロジェクトの立ち上げ段階から積極的にコミットすることを求められます。この点に関しては前職での経験が活きているのを感じました。
と同時に、エンジニアやビジネスメンバーとプロジェクトを進める中で出てくる技術的な専門用語への理解が追いつかず、入社当時は苦労しましたね。
――勝手も分からないし、不安になりますよね。どのように克服したのでしょう?
最初はただただ頷きながら言葉を聞き漏らさないよう必死でした。でも話をきちんと理解できないと議論に参加することは難しいですし、より有効な会議の場とはなりません。それでミーティング終了後にエンジニアの方を捕まえてわからないことは徹底的に聞くようにしたんです。
どのメンバーも面倒がらず、毎回ホワイトボードに図を描いて説明してくれるなど、丁寧に教えてくれるんです。学校の補講のような感じでしたね(笑)。それからは、エンジニアと合同で勉強会を開催したりして、デザイナーとしてよりエンジニアリング周りの知識を理解するよう工夫を重ねました。
じつはその逆パターンもあって。他の職種の方からデザインについての質問を受けることもありました。職域に止まらず、メンバーが一体となって互いの専門分野を理解し、リスペクトし合うのはDeNAならではのカルチャーだと思います。
――そのような過程を得て今に至るわけですが、現在、仕事をする上で心がけていることはありますか?
「相談しやすい空気をつくる」「文字だけで解決しようとしない」の2つでしょうか。いいプロダクトをつくるには、プロジェクトメンバー間で考えていることをフラットに言い合える環境が不可欠です。違う職種のメンバーであっても、デザイン面で違和感があればそれを率直に話す。なので「相談しやすい空気をつくる」ことを大切にしています。
そして「文字だけで解決しようとしない」。DeNAでは現在、リモートと出社のハイブリッドな働き方に移行し、ほとんどの社員がリモートワークで業務に就いています。リモート環境下では文字でのコミュニケーションが中心になりますが、短時間でもいいのでサクッと会話できる時間をつくるように意識しています。これによってメンバー間の距離が縮んだり、スピーディーに物事が解決できたりしていると感じます。
――リモートワーク中心の働き方について、徐さんはどのように感じていますか?
自身の裁量で場所を選ばず働けるのは、とても魅力的だと感じています。また、DeNAの社員は、仕事に熱心に取り組むことはもちろん、プライベートも全力で楽しんでいる印象があります。たとえばお子さんがいる方は、男性も育児休暇を取得しますし、学校の行事などにも積極的に参加しているという話をよく耳にします。それがさらにやりやすくなったのは、リモートのメリットだと思います。
ただ、私も含めてデザイン本部は出社率が低く、メンバーと対面で会う機会は減りましたね。そこはリアルで会う機会を増やしたり、コミュニケーションの場をつくっていきたいと考えています。
クリエイティブと事業の戦略にかかわる未来像
――徐さんがDeNAに入社して4年が経ちます。自分が「変わった、成長できた」と思う出来事はありますか?
タクシーの配車アプリ『MOV(現:GO)』の後部座席タブレットのプロダクト開発に携わったことは、仕事への意識が変わった大きなきっかけだったと思います。
入社後初めて1人でデザインを任されたプロダクトで、プロダクトマネージャーやエンジニアと二人三脚で開発を進める中、デザイナーとして積極的にアイデアを提案したり、議論したり、エンジニアと実装の細部にこだわったり。よいプロダクトを世の中に届けたい一心でいろいろと失敗もしながら全力で取り組みました。
実際にプロダクトがリリースされた時は、退社してすぐにタクシーを拾って乗車して。言葉にならない感動に包まれて帰宅したのを覚えています。開発途中では自分のデザインが本当に世の中に資することになるのかわからなくなる時もありますが、実際に街中で使われるシーンを見かけると、プロダクトづくりの楽しさを確信しますね。
――では、今後もUI/UXデザイナーとしてキャリアを深めていこうと?
そこは限定せず、UI/UXデザイナーとしてプロダクト開発に携わりながら「よいプロダクトをつくる」という軸を持っていろんなことにチャレンジしていきたいと思います。クリエイティビティを強みにして組織づくりや事業の戦略に積極的に携わり、事業成長に貢献する存在としてよりデザインの価値を上げていける「デザインの領域にとらわれないデザイナー」に成長していきたいです。
――これから産休に入られますが、今後チャレンジしたいと思っていることがあったら教えてください。
復帰後の話になりますが(笑)、出産・育児を通して得た新しい経験や視点を仕事に活かしていけたらなと考えています。特定の領域にとらわれず、さまざまなチャレンジをしてきたことがこれまでの自分の成長に繋がったと実感しているので、今後もチャレンジするマインドを大切にその道のりを楽しみたいと思っています。
――ありがとうございました!復帰後の活躍も楽しみにしています。
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※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。
※本インタビュー・撮影は、政府公表のガイドラインに基づいた新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインに沿って実施しています。
執筆:片岡 靖代 編集:川越 ゆき 撮影:石津 大助