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海外市場に強い企業へ!DeNAが思い描く、グローバル戦略の今後とは?

2021.12.09

世界のゲーム市場にDeNAのDelightを届けるため、2019年7月に新設されたグローバルプロデュース戦略室。現在はグローバル戦略部と名称を変え、サービスの海外展開に向け、各部署と連携しながら旗振り、プロセス策定とさまざまな支援を行っています。

このグローバル戦略部を率いるのは、アメリカやカナダでキャリアを積んできた谷口 潤(たにぐち じゅん)。彼が今まで海外のゲーム業界でどんな経験をしてきたのか、どんな学びを経てDeNAに入社したのか、そしてDeNAの海外展開についてどのような未来を描いているのか、話を聞きました。

「海外×エンターテインメント」に辿り着いた原体験

▲ゲーム事業本部グローバル戦略部 部長 兼 ゲーム事業本部マーケティング統括部エンターテインメントサイエンス 副部長 谷口 潤(たにぐち じゅん)
海外貿易実務からキャリアをスタート、海外営業を経てゲームの開発に携わる。ゲームデザイナー(企画)として、37歳で米国ワシントン州へ。その後カナダ・バンクーバーにてモバイルゲームの開発スタジオの立ち上げに参画し、開発統括に。プロデューサー・ビズデブ・プロマネなどを担当し、DeNAへ2019年7月に入社。趣味はアウトドア全般、車、自転車、水泳、サッカー。

ーーバックグラウンドからお伺いします。海外での経験が長いそうですね。

谷口 潤(以下、谷口):学生時代、オーストラリアにワーキングホリデーで約1年滞在しました。ゲーム会社に就職し、37歳で渡米。以来、アメリカとカナダでそれぞれ約6年勤務し、海外経験としては約12年になります。

生まれは横浜、育ちは大阪と、生粋の日本人なのですが、7言語操っていた叔父への憧れから海外を意識するようになりました。それが、自分探しの一貫だったワーキングホリデーでより顕在化されました。

ーーゲーム業界を志望するようになったきっかけは?

谷口:高校の卒業時にサッカー部仲間とあるテーマパークへ初めて行った時の感動が強烈で、もう、男同士でスキップしちゃうくらいでした。「次は感動を提供する側に回って!」という気持ちが抑えられず、翌月にはそこでアルバイトを始めました。

担当したアトラクションで、自分の一挙一動でお客様の笑顔や反応が大きく変わることを知り、“喜んでもらう”ということへのやりがいを覚えたのです。自分はこのようにエンターテインメントを届けたいんだと感じ、この経験こそが、のちにゲーム業界を目指すキッカケになりました。

これらの経験から「海外×エンターテインメント」をキャリアの根幹にしていくことを決意し、1社目は当時、海外との関わりが大きいゲーム会社に就職をしたのです。

多くの失敗から得た教訓は「焦らず、奢らず、怯まずに」

ーー海外への転職というのは、どういった流れで?

谷口:最初の2年間は海外貿易実務や海外営業を担当し、3年目からは開発に携わるようになりました。ゲームセンターに置かれている、レーシングゲーム機の制作プロデューサーです。海外リリース前提なので、開発初期に海外に出向いてカーレースを見たり、世界でのゲームの遊ばれ方を視察するなど、ロケーションハンティングを積極的に行っていました。

ただ、働く拠点は日本だったので、海外で働きたいという想いはずっと持ってました。腐らず英語の勉強を続けていたかいもあってか、37歳の頃に米国に本社がある会社へ転職する好機が訪れ、海外勤務が実現しました。

ゲーム市場や開発の主流が日本からアメリカに変わってきた時代で、潮目を感じたということと、北米でのゲーム開発が凄まじく進化していくのを見ていたので、現場で修行をしたかった、というのが動機です。転職を機に、プロデューサーから開発側のゲームデザイナー(企画)にジョブチェンジもしました。

ーー37歳でのジョブチェンジというのは、大きな決断ですね。

谷口:「アメリカ企業の本社で英語での勤務」「ジョブチェンジでやったことのない職務を0から」「家族を連れてのアメリカ生活」といった初めての環境が3つ重なったので、筆舌に尽くし難い状況でした。

特に、言葉の壁。英語はそれなりに自信があったのですが、行ってみるとミーティングに追いつくこともままならず……。事前に自分の発言内容を英訳、ミーティング中は会話をメモ、事後はメモ内容を調べてキャッチアップ。最初はひたすら非効率なことばかりしていました。

3年くらい経った頃には言葉や振る舞いなど自然と馴染んできて、アメリカならではのサッパリした文化がむしろ心地よく感じるようになっていましたね。

ーー仕事を進める上で、日本とアメリカの文化の違いを感じることはありましたか?

谷口:アメリカではビジネスの場において、“言葉”が契約書と同等の重みを持っていたりします。時にボスが発した言葉がそのまま最終結論になるので、後から再度確認しようとすると、“I told you.(さっき伝えたでしょ)”って返ってきます。一度託された言葉を、何度も確認して聞き返すということはありません。それくらい言葉に重みがあります。

それでいて、「昨日はああ言ったけど、今の時点でのベストな対策はこれだ」と、朝令暮改してしまうフレキシビリティーもあります。対して、日本の職場では「あの時こう言ったでしょ、なんでできないんですか?」と、“武士に二言はない”といった言質をとるような心理が働きやすいように感じます。

アメリカはポジティブ志向な国民性なので、コップに半分入った水を見て「あと半分しかない」と捉える人がまず少ないです。チームがネガティブな感情に覆われそうになったとしても、誰かがリーダーシップを取って「次はこのプランが最善だ」「次はこうしよう、そしたらベストな方向に進むから」と、チームのマインドを常に前に向かせます。

振り返りはするのですが、その時もネガティブ度合いは薄いですね。過去の失態のお詫びよりも未来の最善策へのアクションに価値を見ています。一方でネチネチしていませんが、しっかりと失態の責任は取らされます。

ーー仕事を進める上での、信念みたいなものはありますか?

谷口:ゲーム業界に長くいるなかで、浮き沈みも散々経験してきました。関わったゲームが売れた売れないという話だけではなく、恥ずかしい失敗も数知れず……。その中で培った自身への教訓としての言葉が、「焦らず、奢らず、怯まずに」です。

たとえば、納期やプレッシャーに焦らないこと、成功しているときも決して奢らない気持ちでいること、苦境に怯むことなく常に新しいものやおもしろいものを提供していくチャレンジの姿勢でいること。調子がいいときも悪いときも、常にこの3つのキーでバランスよく自制することにしています。

精神的に追い詰め合ったり、お互いを批判するような言動や環境からは、正しい答えは生まれてきません。感情やしきたりに縛られて協議している時間が無駄だという考え方は、アメリカのビジネスから学んだことでもあります。

アメリカのプロマネには、万が一のときの打ち手を、あらかじめ考えておくことが求められます。フォールバックプラン(Plan B)という、最悪のシナリオの中での最善策を用意しておくんです。そうすれば、想定の範囲内のプランは既にあるということになり、必要以上にうろたえる必要もなくなります。米軍やNASAが実践しているプロマネと共通する方法です。

海外展開の成功に向けた良きガイド役に

ーー数々の経験を経て、DeNAへ入社した決め手は?

谷口:会社を見る上で私が重要視しているのは、人を集めることができるブランド力と人です。ゲームは1人では作れないので、同じ志を持った優秀な人達と一緒に働けるかどうかですね。「志」「企業カルチャー」「一緒に働く仲間」に共感できたことが、決め手となりました。

海外に積極的に挑戦していくDeNAの志と熱意を伺って、私の信念や経験を大きく活かせると確信しました。

もともとDeNAには明るい企業イメージと、優秀な方がいるイメージを持っていました。実際に入社してみてイメージは変わってないですし、入社して正解だったなと感じています。

あと、これまでの北米での経験とDeNAの間の企業カルチャーギャップが少ないことには、正直驚いています。DeNAはフラットなコミュニケーションから意思決定して直ぐにアクションする会社だと思います。

私個人の志としては、ゲーム・エンターテインメント業界に身を置く以上、「革新的なもの・ことを届けるエンターテイナーでありたい」と思っています。ゲーム史や音楽史を振り返ってみても、完全に新しいものの発明はなかなかないくらい難しいことだとは思うんですけど。エポックメーキングを成し遂げたいですね。

ーーグローバル戦略部のミッションについて教えてください。

谷口:グローバル戦略部の全体ミッションは、グローバルスペシャリストとして海外市場にDelightを届けるということにしているのですが、そのためにまずグローバル対応の礎を築くという中長期の全体的目標があります。

ーー具体的な業務内容は?

谷口:海外配信において重要な品質を担うローカライゼーショングループでは、対応言語への翻訳コーディネートに関わるさまざまなローカライゼーション業務を行っております。また、海外マーケティンググループでは、海外配信されている地域でのマーケティング活動を米国や韓国の海外拠点とも連携しながら行っています。

正直、まだまだDeNAは海外市場に強いと言える企業ではないため、中長期を見据えて、グローバル市場で存在感を示していくためにもやらなければならないことが山積している状況です。

また、グローバル戦略部には“グロ戦ness”という視点があります。自ら手を挙げて積極的に参加し、率先して貢献・協力していく自走の姿勢、周りからのフィードバックに傾聴し、自己の向上心に繋げていくこと、仕事への情熱や意欲を自らモチベートしドライブしていくこと、という視点です。これに共感いただける方には、とても働きがいのある職場かと考えます。

ーーリモートワークが中心になりますか?

谷口:現在は、渋谷スクランブルスクエアのWeWorkにオフィスがあるのですが、基本はリモート勤務となっており、必要に応じて出勤しているといった勤務状況です。

ーー最後になりますが、谷口さんがグローバル戦略部で働いていて楽しいと思う瞬間について教えてください。

谷口:「DeNAのゲームって海外でも凄く成功しているんだね」って皆さんに感じてもらうところまではまだまだ辿りつけていませんが、まず社内で徐々にアウェアネス(意識)が上がり、さまざまな海外対応や海外市場を意識した動きが着実にでてきていることを日々実感しています。グローバルを意識した社内の仲間が増え、その仲間と共にグローバル市場へ目線とアクションが向かっていることを感じられるその時その時にやりがいを感じますね。

世界市場で成功を収めている日本の会社は多いとは言えない現状があり、多くの会社が何かしらの世界の壁を感じていると認識しています。ただ、DeNAの皆が一丸となってやってできないことはないはずと信じており、仲間と共に大きな手ごたえを感じ始めています。ただし、私の海外経験から、成果を一朝一夕に求めるのは性急過ぎると思うので、目前の結果だけで決めつけない意識を持って取り組んでいきたいです。

グローバル戦略部は海外市場での飛躍を担うこともミッションにしています。海外展開の成功に向けたガイド役を努め、影になり日向になりながら貢献し、「海外対応ってもう常識だよね」と、社内の仲間の意識が自然と海外に向く流れをつくっていきたいと思っています。

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。
※本インタビュー・撮影は、政府公表のガイドラインに基づいた新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインに沿って実施しています。

執筆:難波 静香 編集:フルスイング編集部

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