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日本のIP×中国拠点でグローバル市場を狙うーー「DeNA China」が生み出す新しい価値

2021.07.06

DeNAの中国法人「DeNA China」の勢いが止まりません。『SLAM DUNK』『BLEACH』『聖闘士星矢』といった日本の人気IPのモバイルゲームアプリが大ヒット。特に『SLAM DUNK』は簡体字圏や韓国、繁体字圏などでも次々にリリースされ、17ヶ国に及ぶファンに愛されています。

牽引するのは、クロスボーダー推進統括部の中国事業推進部。「DeNA China」と強固に連携し、日本のIP(キャラクターなどの知的財産)を獲得、現地で開発・パブリッシングする戦略を進めています。

「まだまだ伸ばしていくし、超えるべき山も多い」と語るキーパーソンの2人に、柔軟な発想でIPの価値を広げる現場の実態と展望について聞きました。

実は伸びている、DeNAの中国事業

――DeNAが開発・運営する『SLAM DUNK』のゲームアプリ『灌籃高手 SLAM DUNK』が中国で大ヒットしているそうですね。

崔 大宇
▲株式会社ディー・エヌ・エー 執行役員。クロスボーダー推進統括部 統括部長 兼 DeNA China
IP事業部 VP 崔 大宇(チェ テウ)

東京大学大学院 工学系研究科卒業。2010年DeNAに新卒入社。 エンジニアとしてソーシャルゲーム開発に携わった後、中国など海外拠点での組織開発を担当。その後エンタメやメディア、AI領域での新規事業立ち上げを経て、18年4月よりヒューマンリソース本部 本部長、19年4月よりコンプライアンス・リスク管理本部 本部長を兼任。2020年4月より現職。最近は中国の歌を聞くことにハマっている。

崔 大宇(以下、崔):ありがとうございます。2019年12月にリリースし、その後、2020年5月に台湾、7月に韓国、11月に東南アジア、南米、ヨーロッパ地域での配信スタートと、グローバル展開を進めてきました。昨年1周年を迎えた中国版は、2020年12月時点で合計ダウンロード数が700万を突破、その後も高い人気を維持しています。ここに至るまでの道のりは長かったですが、DeNAが中国での事業を辛抱強く継続して取り組んできた結果だと思います。

――中国にはすでに15年前に進出し、事業展開されてきました。

張本 龍司(以下、張本):はい、日本でガラケー用の「モバゲータウン」を運営していた頃、同じようにSNSの形で中国でも展開できるのでは、と2007年頃にスタートさせました。

当時日本で流行っていた『怪盗ロワイヤル』を移植する形でリリースし、2011年頃には、日本と同様にモバゲープラットフォームをオープン化しました。もっとも、直近の6年間は日本のIPを中心にゲーム事業を分厚く展開させています。

――「DeNA China」の現在の組織体制について教えてください。

張本 龍司
▲クロスボーダー推進統括部中国事業推進部 部長 兼 DeNA China IP事業部 IP游戏部 部長  張本 龍司(ハリモト リュウジ)
中国生まれ、日本育ち。東京大学大学院 工学系研究科卒業後、2014年にDeNA新卒入社。マーケティングプロデューサー、ゲームプランナー、シンガポールへの出向を経てゲームプロデューサー、マネージャーに。複数本のIPアプリタイトルの運用責任者を歴任し開発スタジオの副部長に就任。自身としてもさまざまなIPタイトルの立ち上げ、プロデュース、中国との共同開発を実施。2020年4月より現職。趣味は子育て&子どもの写真を撮ること。

張本:スマホゲームの開発とパブリッシングの拠点として、上海をベースに約400名体制で事業を展開しています。開発や運営、マーケティングはもちろん、インフラ、カスタマーサポート、QA、法務といった、日系企業としては唯一、ゲーム開発に必要な全機能を備えています。

――開発体制について、もう少し詳しく教えていただけますか。

張本:基本的には、IP戦略を軸にしたゲーム開発を行っています。さまざまな優良IPを獲得し、内製(1st)と協業(2nd)の開発スタイルで、グローバル市場に向けたIP中心のパイプライン戦略を推進しています。特に最近では、中国国内の優れたゲームエンジンを有するさまざまな協力会社様との2nd開発の割合が高まってきていますね。

また2nd開発において、近年急速にクオリティレベルが上がっているアート部分を担う「アートセンター」や、安定したゲーム環境の実現のために「テックセンター」を社内に設置。各タイトルの開発推進チームと監修チーム、版元さまの窓口を担うBusiness Developmentチームなどが、密に連携しながら開発を進めています。

――やはり中国市場は魅力的ですか?

崔:そうですね。2020年の中国のゲーム市場は4兆円を超え、スマホゲーム市場に限っても約3兆円と言われています。今後もさらなる成長が予測されているので、中国企業はもちろん海外の会社も中国市場を魅力に感じています。

ただ中国は特殊な市場環境で、企業がゲームを配信するには政府の許諾が必要だったり、独自のゲーム文化があったりするので、魅力的である一方、容易にはいかない市場です。

――撤退や縮小をしてきた競合が多いと聞きます。その中で、DeNAが粘り続けてきた理由は?

崔:競争は厳しくともやはり外せない成長市場であることが1つ。加えて、DeNAがIPを用いた日本でのゲームづくりのノウハウと実績を持っていたことも大きいと思います。

日本の漫画やアニメは海外でも人気が高く、もちろん中国においても大きな人気を博しています。中国拠点を持っている我々と共に「中国市場を開拓したい」というIPホルダーの方々も多いのです。双方の強い思いが1つになり、挑戦を後押ししていただきました。

結果として、『聖闘士星矢』や『BLEACH』など、これまで120以上のタイトルを粘り強くリリースし続けてきて、じわじわとその評価が高まってきた感があります。

――その中で、『SLAM DANK』がここまで大ヒットした理由は何でしょうか。

崔:やはり中国では『SLAM DANK』の認知度も高いですし、多くの熱狂的ファンがいます。これは事前の市場調査でも顕著にあらわれていました。

その上で、中国の方に受け入れもらえるUIを目指し、ファンの皆さまにより楽しんでもらえるように、開発会社や版元の担当の方々と一緒にゲーム内容をしっかりつくりこんだことがヒットに繋がったと思います。

IPのゲーム開発は、世界観やキャラクター設定を大事にしながらも、いかに現地で受け入れられるものにするか「塩梅の調整」が肝になります。そのクオリティをコントロールし、また現地のユーザー特性に見合う内容でグローバル配信できるよう、開発を外部任せにせず、社内でもフォローできる体制を整えてきました。

前述の「アートセンター」「テックセンター」なども、さまざまなサポート体制の一環です。また、中国には50以上のプラットフォーム(以下、PF)がありますが、そのPFに一括でリリースできるSDKを自社開発し、そのSDKを用いて、配信機能を強化するといった施策もユニークなサポート事例の1つです。

張本:中国現地におけるノウハウの集積とナレッジの蓄積を継続し、業界随一の万全な体制を構築してきたことが、版元さまに安心して版権を預けていただけることに繋がっていると思います。

この大切な日中の架け橋の役割を担っているのが、中国事業推進部であり、DeNAの中国事業が日の目を見てきた要因だと自負しています。

スムーズな日中連携ができるワケ

DeNA China

――中国事業推進部の役割を詳しく教えていただけますか。

崔:まずDeNAにおいて、ゲーム事業は主力事業で、まだまだ成長できる事業という位置付けです。主要な開発・運営拠点が東京と上海の2ヶ所にありますが、それぞれが各国向けだけに開発・運営をしているわけではありません。あくまでも、ゲーム事業としての大きな戦略のもと、開発・運営ラインが2拠点あり、それぞれが1つのスタジオのような形で開発・運営を推し進めています。

具体的には、版元さまからライセンスを受けること、そしてIPの世界観やよさを活かした開発をすること。その中の、IP戦略に関連する部分については日中連携し、版元さまと開発運営部隊をブリッジすることがミッションです。

――その中での、お2人の役割を教えてください。

崔:私は執行役員兼クロスボーダー推進統括部長として、ゲーム関連部署の海外連携全体を管掌しています。また、中国拠点である「DeNA China」のVice President(VP)も兼務しており、中国事業そのものの事業推進も同時に行っています。その為、日中連携という意味では、両サイド共に責任者をやっている形です。

張本:私は中国事業推進部長として、現場のマネジメントを行っています。現場を差配して、必要に応じて崔さんにレポートし、承認を得るといった流れです。また私も「DeNA China」のIP事業部の部長を兼務し、日中の現場を統括しています。日本と中国はミラー組織のようになっていて、どちらも責任者は崔さん、実行責任者は私が担っています。

――日本と中国のどちらかに偏るのではなく、両国ともに現場の要をお2人で握っているからこそ、日中連携がスムーズに進むのですね。ところでお2人はなぜこの事業にジョインしたのですか?

崔:これまで多くの事業を経験してきましたが、ここに来る前の数年間は、ヒューマンリソース本部長として全社の人事領域を担当していました。ただ、2013年頃に今と似た海外ゲーム関連プロジェクトに参画していた経験や、また、伸びている中国事業を更に伸ばし、自ら会社の業績を伸ばしていきたいという思いも抱いていました。そして約1年前、会社の方針、中国事業の方針についての議論を重ねる中で、人事を離れ、こちらに異動してきました。

――張本さんはどのような経緯でジョインを?

張本:私も崔さんと同じ1年前に異動してきました。

新卒で入社後、シンガポールで日本のゲーム事業の開発に携わり、数々のタイトルをリリースしてきました。私は幼少期を中国で過ごしていたので中国語が話せますし、いつかは中国事業に貢献したいという思いをずっと抱いていました。それが会社からのオファーにも繋がり、異動が叶いました。ちなみに、崔さんはインターン時代のメンターなんです。同じタイミングで同じ部署にジョインし、7年ぶりの再会でした。

崔 大宇

崔:そう(笑)。そしてまた、我々が異動してきた1年前は、部署を大きく再編成したタイミングでした。中国事業に対して投資額も更に増やし、収益を盤石なものとするにあたり、日中の開発拠点・版元さまを繋ぐ日中ブリッジが重要になると。そこで、日中ブリッジができる人材や部署を社内からグッと集めて、今の新体制をつくりました。

これまで以上に中国市場の重要性・事業成長チャンスをつかもうとする中で、2大拠点という位置付けで、当時「ゲーム事業部(日本)」と「中国事業部」という組織編制がされたのです。

今後の展望と中国事業成長のカギ

――中国事業推進部の事業戦略を教えてください。

崔:大きく2つの戦略になっています。

まず1つ目は「中国市場でのシェア拡大」です。中国では日本の漫画やアニメなど、いわゆる2次元モノに対する熱狂度が非常に高まっています。ひと昔前は、コンテンツ規制などの影響で、テレビで放映できる日本のコンテンツはごく一部でした。しかし今では動画プラットフォームの「bilibili」など、テレビ以外のメディアもあり、ほぼリアルタイムで日本のコンテンツを観れるようになっています。これも、20〜30代の2次元熱がここまで高まっている1つの要因です。

――日本のIPものゲーム市場がもりあがる土壌がさらに急速に拡大したわけですね。

張本:はい。だからこそ当然競合も多く、「Tencent」や「NetEase」など、中国国内の巨大資本の寡占状態です。彼らが日本のIPを取ってくることもあります。

崔:しかし、我々には今まで積み上げてきたノウハウや版元さまと築いてきた信頼関係がありますし、運営面にも自信がある。これらを巧みに絡め合わせれば、中国市場でまだまだ成長できる可能性があると思っています。

張本:リリース前なので具体的なタイトルは言えないのですが、今も複数本の大型IPのゲーム開発を進めています。また、向こう2〜3年で片手ではおさまらない数のタイトルをリリースすることが決まっており、年間複数タイトルをリリースできるよう仕込み中です。既出のタイトルはもちろん、今後のリリースにも注目していただきたいですね。

――2つめの戦略は?

崔:「中国をレバレッジポイントとしたグローバル展開」です。日本のIPと中国の開発会社という日中の国境を越えた協業体制で、一緒に東南アジア市場や欧米市場を狙っていく。中国における競合他社も、中国のみならずグローバルの売上比率を高めていますので、我々も日本のIPを軸に、同じポジションを取っていくような動きを更に加速させたいと考えています。

――競合と比較して、DeNAはどのような点が強みなのでしょうか?

崔:「Tencent」や「NetEase」などのグローバルトップ企業群と比べたら、投入できる予算額は大きく差をつけられます。短期的な目線で、版権ライセンスが高騰することもありますし、人材の取り合いが起きることもあるかもしれない。

しかし繰り返しになりますが、IPの扱い方や版元さまとの信頼関係を築き上げていることや、『SLAM DANK』をはじめとしたタイトル実績を着実に積み上げていっていること。これは彼らに比べてアドバンテージがあると考えます。

版元さまがIPをどのように扱ってほしいかを汲み取り、期待に答える形でヒットに持っていく。これを粘り強くできるのが我々の強みだと思っていますし、日中を跨ぐブリッジの役目を組織として強化してきているからこそだと思います。

張本:他社と比べても、このブリッジ体制は稀有な存在です。この役割は、組織というよりも個人単位で担っている企業が多いですが、我々は組織として2段階、3段階の体制を敷いています。

現地の開発会社にグッと入り込む中国拠点、版元さまの意図を汲み取る日本拠点、蓄積されたノウハウを組織的に横連携するという体制です。今までのノウハウ、この強固な体制が、IPを獲得し、その世界観を保ったままローカライズできることに繋がっていると思います。

――その積み重ねが、『SLAM DUNK』のヒットという成功に繋がっているのですね。

崔:他社からも日本のIPでの成功事例が出てきている中、DeNAとしても1つの大きな成功事例を出せたことは正直ホッとしています。今まで以上に、日本のIPホルダーから信頼していただける実績だと思います。

――売上はもちろんですが、信頼を獲得できたことは、長期的に見ると大きな財産ですね。

張本 龍司

張本:そうですね。やはり日中の間に立ち、双方を繋ぐコミュニケーションがうまく取れるか。中国の開発側も日本の版元さまも、本気だからこそどうしても意見の相違が起き、話が平行線になってしまうことも多々あります。

たとえば「このキャラクターは中国ではこのような見せ方をすると受け入れてもらいやすいし、ゲームへの満足度も高まるのでは」という開発側の意見。その一方で、「キャラクター設定がある中で、その見せ方をすると世界観が崩れてしまう」という版元さまの思い。このままでは解決の糸口も見いだせない。だからと言って、ただ単にキャラクター設定を忠実に守ったゲームにしてしまっては、やはり現地の方には受け入れてもらえない。

――では、どのように解決を?

崔:そこで、いかに落としどころを見つけ、解決に導くか。これが、ブリッジ組織の腕の見せどころです。

両者の本質的な意図をしっかり見極めて理解し、双方に伝える。場合によっては、こちらから逆提案をすることもあります。そうすることで、「なるほど。じゃあ、この見せ方なら、版元さまの意図を崩さないまま現地にも受け入れてもらえる設計になるのでは」という歩み寄りが生まれます。両者の意見を尊重しつつ、最善の方法を見つける橋渡しができる基盤は、結局は信頼関係だと考えています。

――日中どちらかに偏らないようにということですね。

崔:そうですね。日中の2大拠点体制であり、両方を兼務しているようなポジションだからこそ対等にできると思っています。先ほどお話した通り、日中拠点を跨いで組織化している我々ブリッジ部隊はミラー組織であり同じ組織役割を担っているものの、やはり毛色は異なります。中国のメンバーは開発運営側の目線、日本のメンバーは版元さまのパートナーという目線に近い。だからこそ、開発運営と版元さまの意見の相違を部内ですり合わせて、解決に導くことができます。

IPホルダーのパートナーとして、ゲームの枠を超える

――先ほど、グローバル展開の話も出ましたが、今後、中長期的に考えていることはありますか?

張本:グローバル展開の話で言うと、中国発のグローバル展開は市場の1つのトレンドになっています。実際、東南アジア圏のトップ10のタイトルを見ると、7〜8割が中国産タイトルです。やはり日本よりも中国から展開した方が、言語的に近い台湾などの繁体圏に展開しやすいですね。さらに、マーケティング手法を現地ナイズしているので、その現地化のノウハウを活かして、さらに別の地域展開への足がかりにしやすいです。

――マーケティング手法も現地ナイズして、ということですが、そのノウハウはどのようにして蓄積していっているのでしょうか。

張本:海外のマーケティング活動については、現在、韓国と北米に拠点があり、台湾では協力会社と連携しながら推進しています。

DeNAはグローバルで戦えるIPを多く獲得できていますし、開発から監修、運営までスムーズに行えるノウハウを持っていますので、グローバルで戦える土壌は整ってきていると思います。

ただ、版元さまにとっては、IPをどのように流行らしていくかということが命題であり、あくまでもゲームはその1つの手段に過ぎません。どの地域で、どのゲームが流行るかという観点ではなく、版元さまのパートナーであるべきだと思っています。

――パートナーとしてあるべき姿とはどのようなものをイメージされていますか?

崔 大宇

崔: IPを全世界の人々に知ってもらいたい、ファンになってもらいたいという版元さまのニーズに対し、解決策はゲームだけではないはずです。ゲームは期待収益のボラティリティが高いので、ヒットをだせば売上インパクトも大きい。ただ、それに必要な投資金額は、市場に出るゲームのクオリティや、それに伴うユーザーの期待度によって年々大きくなっています。また、広義のエンターテインメント領域においては、これら以外のビジネスチャンスもまだ眠っているはず。

そこで、版元さまと一緒に、IPの流行らせ方自体を模索して1つの型をつくりたいなと思っています。やはり永久ベンチャーを掲げるDeNAらしく新しい事業展開、新しい提案ができる部隊でありたいですね。

求めているのは、野心のある尖った人材

――この仕事の醍醐味は何ですか?

張本:大きな挑戦の最前線に立てること、ですね。

中国のゲーム市場は今や日本の3〜4倍あり、非常に大きな市場でダイナミックな仕事ができます。さらには中国のみならずグローバルに展開しているため、ユーザー数も大きくなりますし、さまざまな国のユーザーから日本のIPを楽しみにしているという声を聞けることにもとてもやりがいを感じます。

崔:私も「ダイナミズム」が醍醐味だと感じます。

大きな成長市場に身を投じている自分を、肌で感じられる。その環境に魅力を感じます。目の前にある大きな山をいかに越えていくか、そして越えた先にはどのような景
色が見えるのか――。もしかしたらDeNAの中でもっと大きな割合を占める事業になる可能性や、この事業スキーム自体が日本企業としての大きな成功事例になる可能性も秘めています。

もちろん一筋縄ではいかないし、困難に直面することも多分にありますが、それもひっくるめて、非常にワクワクします。

張本 龍司

張本:大きな壁に向かっていくこの感じは、永久ベンチャーであるDeNAっぽさを感じますし、ポジティブな意味でエキサイティングですよね。

――このチャレンジを推進するために、新しい仲間を募集しているとのことですが、どのような業務を担っていただくイメージでしょうか。

崔:この事業部の大骨格である、日本IPの開発タイトルはどんどん増えていますので、ここを主体的に担っていただきたいと思っています。IPを獲得して開発し、それを運用するところまで、要は上流から下流まですべてを牽引できる人材を求めています。かなりハードではありますが、大きな醍醐味を味わえる仕事だと思います。

――そのためにはどのようなスキルが必要でしょうか?

崔:1つ目は「何か突出した強みを持っていて、それを活かしてリードできること」です。

たとえば中国のマーケティング経験を活かして、中国のマーケティングチームと一緒に開発会社と版元さまとの落としどころを見つけ、版元さまと交渉するとか。ゲームの運営経験を活かして、運営チームと一緒に企画を練ることで、版元さまへ説得力のある説明をするとか。営業経験を活かして、どんなに難しい課題であっても、相手への説得や交渉を行うとか。

このような尖った人材がいることで、ブリッジ組織としてプロ集団になれると思います。

誤解が生じないように言うと、組織としてブリッジ体制を強化したいのであって、ブリッジができる人材を求めているわけではないということです。

――ただ単に「繋ぎ合わせる人材」が欲しいのではないと。

崔:はい。我々はよく「伝書鳩状態」と呼んでいるのですが、右から左へただ言語を翻訳するだけでは、何の意味もありません。双方の本質的な意図をしっかり理解した上で、そのギャップを埋める最善策を自ら見つけて引っ張っていけることが一番大事なスキルです。

張本:互いを高めあい、補完できるような、日本と中国をまたにかけて躍動するプロフェッショナル集団であることを目指しています。

崔:2つ目は「熱いパッションを持っている」ことです。日本のIPを広めたいとか、グローバルなコンテンツをつくりたいとか。チャレンジ精神が旺盛で、その過程も楽しめて、全力で目標に向かって自走できる、そうゆう迫力と野心のある方がいいですね。

――中国語のスキルは必要ですか?

張本:実際、日常的に中国語は使うことは多いですね。会議でも中国語が飛び交いますし、本質的な意図を理解するためには、言語が分からないとやはり壁になってしまうかもしれません。

崔:そうですね。話せるのがベター。しかし、いま習得していなくても「1年で話せるようになります!」といった気概がある人は当然大歓迎です。

――ちなみに、チームはどんな雰囲気ですか?

張本:風通しがよいチームだと思います。意思決定もスピーディーですし、階層の壁も感じず、みんなが気軽に話せる関係性です。実は1年前に新しい体制になったと同時に、新型コロナの影響で完全リモート勤務になってしまったので、リアルで集まったことはまだ一度もないんです。

崔 大宇

崔:確かに。まだ一度もリアルで集まれてはいませんが、仕事以外でもたまにオンラインで集まったりして交流を深めています。そこでも中国語と日本語が両方飛び交うので、やっぱり中国語は早期に習得していただく必要がありますね(笑)。

――では最後に、改めてこの仕事の魅力を教えてください。

崔:DeNAにおいて、ブリッジという言葉から想起される以上の、大きな原動力になる部署だと思います。一緒にチャレンジしたいという挑戦者をお待ちしています!

張本:自分が主体者となって、先頭に立って事業を大きくできる仕事だと思います。自分たちの手で、事業を拡大していくぞという気概のある方は、ぜひ参画してください!

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

聞き手:箱田 高樹 執筆:日下部 沙織 編集:川越 ゆき

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