スマートフォンやPCで出品・落札ができるインターネットオークションサービス「モバオク」にて、認定NPO法人テラ・ルネッサンスが主催する「チャリティーオークション〜憧れのあの人と一緒に元子ども兵の自立を応援!!〜」が、4月15日から5月12日の間、開催されました。
チャリティーオークションで得た収益は、「元子ども兵社会復帰プロジェクト」に関する同法人の活動資金になるという、社会的意義の高いオークションです。
このチャリティーオークションの実現に向けプロジェクトを牽引した、モバオク カスタマーサービス部の白倉 新之助(しらくら しんのすけ)に話を聞きました。
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2020年より公募開始。積極的にチャリティーに取り組むように
ーー「元子ども兵社会復帰プロジェクトチャリティーオークション」が開催されました。まず、このオークションの企画の発端と目的について教えていただけますか?
モバオクでは以前よりチャリティーオークションを開催していますが、特に昨年から一段と力を入れて取り組みを進めています。以前は提携先の企業・団体さまとの単発的な取り組みでしたが、2020年からモバオクのサイト(https://www.mbok.jp/)とは別にチャリティ専用のドメインを用意(https://www.promo.mbok.jp/)し、広く公募も受け付けるようにしました。いくつか取り組みを進め、実績を残していった中で、この度、認定NPO法人テラ・ルネッサンスさまよりチャリティーオークション開催のご希望をいただきました。
ーーこのチャリティーは、公募から始まったということですね。
はい、そうです。今年の2月末に、4月を目途に開催希望とご連絡いただきました。企画主旨などの打ち合わせをすぐに開始し、準備を進めてきました。
チャリティーオークションの目的は、主催者さまの意向によってさまざまですが、今回の「元子ども兵社会復帰プロジェクトチャリティーオークション」については、『認定NPO法人テラ・ルネッサンス創設20周年を迎える記念事業』として、活動の認知向上と、新たな支援方法の創出を目的としています。またかねてより同法人によって行われている「元子ども兵社会復帰プロジェクト」をはじめとする紛争や災害で被害を受けた方々の支援にも活かされます。
ーー今回のオークションの中身を教えてください。
同法人の活動に賛同されている著名人の方々の貴重な私物が出品されています。
たとえば、紺野美沙子さん(俳優・UNDP親善大使)、染谷西郷さん(FUNKIST)、瀧本美織さん(女優)、廣瀬俊朗さん(元ラグビー日本代表)、森友嵐士さん(T-BOLAN)、仲村トオルさん(俳優)、石原さとみさん(女優)、ダルビッシュ有さん(メジャーリーガー)など、各界著名人の方からの出品、および認定NPO法人テラ・ルネッサンス理事からの出品です。
ーー豪華なメンバーがそろいましたね。
はい。4月15日~5月12日まで、1週間ずつのオークションを4回にわたって開催しました。オークションの収益は、同法人の支援活動に活用されます。
ーーオークションへの参加は誰でも可能なんでしょうか?
今回の「元子ども兵社会復帰プロジェクトチャリティーオークション」は終了してしまいましたが、実施中の企画については、「チャリティ×モバオク」に取り組みの詳細、出品の内容等含めて公開していますので、こちらからご参加いただけます。
ちなみに直近で言いますと、「引退馬支援Thanks Horse Project(サンクスホースプロジェクト)」」のチャリティオークションを5月13日から5月19日の期間で開催します。
なお、入札にあたっては、モバオクの有料登録(月額330円 ※アプリ課金の場合は360円 ※初月無料)が必要です。上記ページより会員登録にもお進みいただけますので、有料登録していただければ、ご希望の出品に自由に入札参加いただくことが可能です。
実質、準備期間は1ヶ月。出品内容がなかなか固まらず、焦ることも
ーー今回の「元子ども兵社会復帰プロジェクトチャリティーオークション」実施に関して、苦労された点はありましたか?
今回の取り組みにあたり、ご賛同いただける方への呼びかけはゼロからのスタートでした。2月末に企画がスタートし、4月開催のスケジュールでしたので、準備期間は約1ヶ月間。なかなか出品内容が確定に至らず、主催のテラ・ルネッサンスさまも大変ご苦労されたと思います。
我々としても少しずつ決まっていく出品内容を受け取っていく中で、さまざまなケースを想定した上でランディングページ(LP)の制作や、企画の練りこみを行ってきました。またそうやって決まった出品について、オークションの出品ルール上どうしても断念していただかなければならないといったものもありました。
ーー何があったんでしょうか?
具体的にはテラ・ルネッサンス理事の方が選定された「カンボジアのオーガニック石鹸・リップ」など、画像もいただいており素敵な商品だったのですが、個人製造の化粧品等、法的に出品できないものに該当し、出品を取り止めました。
たとえばスポーツチームが主催するチャリティーオークションですと、所属する選手の皆さんがまとめてユニフォーム等を出品いただけるので、出品情報の確定はスムーズです。しかしながら、今回の取り組みではこの出品内容確定に至る点がなかなか大変な部分ではありました。それでも先方のご尽力のおかげで、このようにしっかりと開催に至ることができました。
ーー今までになくこだわった点など、実行を推進したオーナーとして"私だから話せる"点を含め、企画の裏側について教えてください。
恥ずかしながらテラ・ルネッサンスさまの取り組みについて、今回のお話をいただくまで詳しく知らなかったのですが、準備の過程でいろいろ伺っていく中で、大変有意義な取り組みを多数行われているということを認識しました。
東日本大震災で被災された大槌町の刺し子(布地を綴り縫いや刺し縫いする針仕事)プロジェクトや、ウガンダやカンボジアでの事業など、理事の方から出品されるアイテムにはそうした取り組みに紐づくストーリーがありました。
普段我々が制作するオークションLPは、出品一覧とオークションへの参加方法が分かりやすいことを一番に考えていますが、今回についてはテラ・ルネッサンスさまのお取り組み自体についてもLPで是非紹介していきたいという思いが湧いてきました。
できることには限りがあるものの、本チャリティーオークションに興味を持っていただいた方には、商品だけでなく、その商品の裏にあるストーリーも目に留まることを願ってページ作成、出品を行っています。
モノの持つストーリーが価値を生み、社会貢献に
ーー今後、モバオクのチャリティー企画に関して、どのように発展させていきたいとお考えなのか、今年度中など近い将来と、その先の大きな展望など、白倉さんが思い描く未来について教えてください。
もともと「チャリティー」と「オークション」の親和性は極めて高いです。
昔テレビでやっていた「ハンマープライス」などもそうでしたが、なかなか手に入らない貴重なアイテムに、その価値を知る人が競り合って高値をつけていくというのが本来オークションの仕組みであり、オークションには「モノ自体の価値ではなくストーリーに価値がつく」という特徴があります。モノ自体は高価な物ではなくても、著名人の方からの出品にはファンが感じるストーリーがありますし、著名人の方でなくても今回の取り組みのように背後にあるストーリーから価値を感じていただけるケースもあります。
モノとしてはすでに使用されていてボロボロになって使い道がないかもしれない。けれど本来モノとしての価値がなくなったアイテムにストーリーやドラマが感じられれば、そこに価値が生まれ、お金を払っても欲しいと思う人が出てくる。スポーツ選手のユニフォームなんかまさにそうですよね。
出品する側としては「役目を終えたもの」「もともと高価ではないもの」が、誰かにとっては「本当に欲しいもの」になる。そのギャップに生じる金銭的価値が支援に回されるという構図は、出品する方、購入する方、そしてチャリティー支援を受ける方の「三方良し」状態になり、その意味で親和性が高いと言えます。またこの考え方はまさにサスティナブルでもあると思います。
ーー確かに。今話題のSDGsに繋がる考え方ですね。
オークションプラットフォームをサービスとして提供している我々にとって、チャリティーオークションは「やらなくてはならない使命」の一つであり、SDGsの達成のためにも積極的に推進すべき取り組みだと考えています。
そのためにまずは我々の取り組みを地道にアピールしていき、もっと多くのチャリティーオークションを開催していくこと。その先には「チャリティーと言えばモバオク」と広く認知していただけるようになりたいと思っていますし、取り組みが大きなうねりとなってチャリティー支援のハブ的役割をモバオクが果たせるようになれればと思っています。
また、「オークションはストーリーに価値がつく」という面白さに多くの方に再度気づいていただき、「自分もオークションに出品してみようかな」「この人のストーリーは面白いから買ってみようかな」というように一般の方同士のオークション参加がもっと活性化されることも望んでいます。というか、それこそが本来モバオクがサービスとして展開しているものですので、是非!
お客さまにもクライアントにも支援先にも喜ばれる贅沢な仕事
ーーモバオクのチャリティーを運営するチームにはどんなメンバーがいてどういう動きをしているのか。また、みなさんがどんなやりがいを感じているのかなど、ぜひ教えてください。
モバオクのチャリティースキームは、LPの作成から出品、落札された方とのやりとり、そして商品の梱包から発送まで全てを請け負うというなかなか大胆なパッケージです。これを遅滞なく、正確に、満足度の高い企画として一つひとつ提供していくには、当然多くのメンバーの協力が必要です。
発送等の実作業をやっていただいているアルバイトメンバーの方、広報担当・サイトデザイン担当・法務担当など各プロフェッショナルの方、その他ステークホルダーの方々、そしてもちろんクライアントの方々。多くの方々と密に連携しながら「社会貢献」という大きなテーマに向かって動いていく。規模の大小はあれど、一つひとつの案件がまさに「プロジェクト」と呼べるものです。
特に主力で動いてもらっているのがモバオクCSの藤井真人さん。チャリティーオークションのスキームが確定して以降、オペレーションのかなりの部分を担ってもらっています。
チャリティーオークションの取り組みの楽しい点、やりがいについては、その藤井さんに聞いたところ、
・成功させるためにクライアントと企画を練り上げて、いくらで落札されるのかと想像しながら出品作業をすること
・落札したお客様からお礼の言葉をいただけること
・さらにクライアントからもお礼の言葉をいただけること
がプロジェクトに関わる喜びにつながっていると話してくれました。
確かに、お客様とクライアント両方から感謝の言葉をいただける仕事はそうそうありませんし、なかなか経験できません。
つながりやストーリーを感じられるサービスにしたい!
ーー支援先の方にもきっと喜んでいただけているでしょうね。
はい。そしてもちろんモバオクも、社会貢献に活用していただけてこんなに嬉しいことはないです。
比較的ショートタームで複数展開していく取り組みではありますが、そこに毎回多くの方との協力関係と、結果として生まれる多くのデライトがある。これこそがチャリティーオークションのやりがいですし、意義だと感じています。
ーーモバオクがサービスを行う上で、大切にしていることって何でしょうか?
ECの世界の潮流としては「スピーディーに、シンプルに、余計なやりとりなど行わず売買ができる」というところだと思います。しかしモバオクとしてはそんな潮流に逆行するような、「つながりを感じられる」「ストーリーを感じられる」「ワクワクできるような」マーケット体験を提供したいと考えています。もちろん、利用される方に無駄な手間をかけさせてしまうようなUIは改善していくべく取り組んでいます。
また人と人との距離が開いていってしまっているこのコロナ禍において「ふれあいを感じられる取引」をモバオクを通じて行っていただければと思っています。
チャリティーオークションもそうですが、本来モノを売ったり買ったりする行為には連綿と続くバックストーリーがある。取引体験からその価値あるストーリーを排除せず、むしろストーリーごと楽しんでいただけるものにしていくことが、モバオクの目指すところの一つです。
ーーストーリーごと楽しむ。素敵な目標ですね!
ご利用いただいている方にこの想いが届くようにしていくには、まだまだ弛まぬ努力が必要ですが、できればサービスユーザの皆さんと一緒にこの理想に向かってつくり上げていきたい。
現在もモバオクを使っていただいている方、過去に使ったことがあって離れてしまった方、全く知らなかったという方、皆さんから声をいただきよりよいサービスにしていければと考えていますので、是非一度モバオクというマーケットに遊びに来ていただければ嬉しいです。
※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。
※本インタビュー・撮影は、政府公表のガイドラインに基づいた新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインに沿って実施しています。
写真提供:認定NPO法人テラ・ルネッサンス 編集:フルスイング編集部