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独自のカルチャーを醸成するオセロニア運営の挑戦。「オセロニアンダブルス」に込めた想い

2021.01.21

2020年12月5日、『逆転オセロニア』(以下、オセロニア)史上初となるダブルス戦の公式大会「オセロニアンダブルス」(以下、ダブルス)が熱狂のうちに閉幕しました。

リリースから5年目を迎えようとしているオセロニアは、自らを「オセロニアン」と称するプレイヤーのコミュニティと共に創り上げてきたタイトルです。コロナ以前は毎年全国各地で年間約30回のリアルイベントを開催。年一度の公式全国大会ではオセロニアンの猛者が一堂に集い、熱い戦いを繰り広げていました。

「コロナ禍でもリアルイベントの体験を届けたい」。今回コミュニティチームが新たに挑んだのは、コンビで参戦する新ルールの2対2バトル。タイトル史上初のオンライン全国大会でした。

本大会を開催するまでの道のり、そして現在の心境について、3人の運営メンバーに当時を振り返ってもらいながら、オセロニア運営の本質に迫りました。

コロナ禍でもこだわり続けた「みんなで盛り上がる」体験づくり

――「オセロニアンダブルス」はタイトル初のオンライン全国大会でした。プロジェクトオーナーにアサインされたときはどんな心境でしたか?

川口 美咲(以下、みさきち):これまでで一番胃が痛かったです(笑)。オセロニアらしい大会として成立するのか、プレイヤーの皆さんに楽しんでもらえるのか。当初は自分の中で答えを持たないまま進めていく不安がありました。

――今回なぜダブルス形式の大会をやることになったのですか?

みさきち:始まりは、プロデューサーのけいじぇいさんの「ダブルス形式で全国大会をやったら面白いんじゃないか」という言葉でした。

コロナ禍でリアルイベントの開催が難しくなる中、オンラインで大きな大会を実現できるのか。なにより大会を通して「オセロニアらしさ」をどう具現化するかが課題でした。

みさきち
▲ゲーム事業本部マーケティング統括部UXブースト部コミュニティマーケティンググループ 川口 美咲(かわぐち みさき)@みさきち
2019年に新卒入社。入社以来『逆転オセロニア』のコミュニティマネージャーを務め、リアルイベントの企画・運営を担当。昨年の全国大会を始め、数々の施策オーナーとして経験を積む。また今回タイトル初のオンライン全国大会となった「オセロニアンダブルス」でもオーナーとして奔走した。

――「オセロニアらしさ」とはどんなものなのでしょう?

みさきち:オセロニアでは、熱心なプレイヤーのことを「オセロニアン」と呼ばせていただいているように、コミュニティをとても大事にしているタイトルです。対戦して勝敗を競うだけでなく、リアルイベントで交流したり、情報交換したりする交流要素が一番のオセロニアらしさであり、人とのつながりをとても大切にしています。

――「人とのつながり」をオンラインでどうかたちにしていくか、ということが課題だったと。

みさきち:はい。けいじぇいさんやコミュニティチームのメンバーでアイデアを細かく出し合いながら、検討していきました。

その結果、2対2のダブルス形式にすることで、コンビで対戦中に相談する機会が生まれ、オンラインでもオセロニアらしい人と人とのつながりを感じられる大会に出来るのではないかと確信しました。

――海野さんはこのプロジェクトでどのような役割を担ったのですか?

海野 悠
▲ゲーム事業本部マーケティング統括部UXブースト部コミュニティマーケティンググループ 海野 悠(うみの はるか)
2019年に新卒入社。学生時は教育心理学を専攻。ヒューマンリソース本部人材開発部新卒グループにてエンジニアの新卒採用を担当後、2020年10月にゲーム事業本部に異動、ゲームのマーケティング業務に携わる。本大会ではみさきち等と共に大会運営を担う。趣味は写真撮影と散歩。

海野 悠(以下、海野):2020年10月にゲーム事業本部に異動して、最初に経験したプロジェクトがこの「ダブルス」でした。大会の運営メンバーとして活動したのですが、オセロニアのコミュニティ運営を体験できるとても良い機会でした。

――上田さんは?

上田 隼平
▲ゲーム事業本部マーケティング統括部UXブースト部コミュニティマーケティンググループ 上田 隼平(うえだ しゅんぺい)
21卒内定者インターンとして2019年11月よりDeNAで活動。最初はデライトベンチャーズにて新規事業立案を行う。2020年3月にマーケティング部にジョイン、オセロニア担当として配属され、4月にコミュニティマーケティンググループに異動し「オセロニアンダブルス」の運営メンバーとして活動。DeNAにはビジネス職で内定、元は学生エンジニア。

上田 隼平(以下、上田):私は主に、勝敗管理を行う大会専用のWebアプリの制作を担当しました。4周年を記念するリアルイベント「オセロニアンの祭典 4th Anniversary」に参加した際、会場の熱量に感動したので、オンラインでどこまでその熱量を再現できるか挑戦することは、自分のモチベーションになりました。

「オセロニアンダブルス」で実現したかったこと

――オンラインで大きな大会を運営することに壁はありましたか?

みさきち:システマチックにルールを整備して開催するだけなら、大きな大会も比較的早期にできると思いました。けれど、オセロニアのイベントらしく、オセロニアンへのホスピタリティを保てるか。トレードオフにならないようバランスをとるのが難しかったです。

「オセロニアンに楽しいと思ってもらえるか」を想像しながら大会ルールを決め、仕様を詰めていく。着手から半年かかりましたが、そこは妥協なくこだわり抜いたところです。

上田:オセロニアらしさを追求するに当たって、「ゲームアプリ」「対戦管理」「Zoom」の3つを連携する必要がありました。実際のオペレーションに落とし込んで、3つのバランスを整える。オフラインのやりかたを踏襲しつつ、それをオンラインにどう転化させるか。この3点のバランスを最良のかたちにするために、いろんな観点で実装しましたね。

海野:私は、異動直後ということもあって、運営メンバーとしてしっかり動けるようにすることが一番の課題でした。大会スタッフとしてオセロニアンと接する際には、言動、姿勢、一つひとつが「運営メンバーの顔」として伝わるため、とにかく丁寧に対応することに集中しました。

そして大会当日、プレイヤーの皆さんとコミュニケーションを取る中で「やっぱりオセロニアの運営さんってすごいね」という言葉をいただいて。ホスピタリティマインドを持って最高の体験を届けようとする運営の姿勢の強さと、その歴史の積み重ねが信頼につながる片鱗を垣間見ることができました。

――それぞれプロジェクトにかけた想いが伝わってきます。この大会で一番叶えたかったこと、印象深かったことはありますか?

みさきち:コロナ禍でオフラインでは開催できなくなった、年一度の公式全国大会「オセロニアンの戦」に代わるコミュニティの場をプレイヤーの皆さんに提供し、遜色なく楽しんでもらう体験をつくりたかったのが一番ですね。あえて新しいかたちの大会で、今までとは違うファイナリストやチャンピオンが生まれる場をつくりたかったというのもあります。

海野:今回の「ダブルス」では、一つのゲームを通じてただ対戦するだけでなく、ペアで参加することで新たなコミュニケーションが生まれたり、本人たちでさえ自覚・想定しなかったことの連鎖が起こるシーンが多くみられました。人と人が影響し合うことで起こりうる楽しさ、面白さを発見できたのは大きな収穫です。

上田:印象深かったのは、どこまでもプレイヤーのことを一番に考える運営の姿勢でした。大会に向けての準備期間、オンラインイベントのノウハウ、こだわり、勘所を吸収しようとアンテナを高く張って情報のキャッチアップに努める中で見えてきたのは、オセロニア運営の「意思決定基準」。『プレイヤーの皆さんがどう思うか』がすべてということでした。マーケティング施策はROI(費用対効果)などが論点になることが多いと思いますが、いつの間にかユーザーインサイトを軸に物事を考える習慣が自分の中にしっかり定着しましたね。

オンライン×ダブルスの相乗効果

――ところで、大会に対するオセロニアンの反応はいかがでしたか?

みさきち:ここは大会の振り返り資料の製作を担当した上田さんからお願いします。

上田:はい(笑)。反応はすごくよかったです。アンケートの結果、5段階評価で90%以上の方が「とても満足」「満足」を選んでくださり、オンラインでも楽しい体験ができたとたくさんの声をいただきました。「いろんな人と喋れてよかった」というコメントもあって、課題の一つだったオンラインでのリアルイベントっぽさ、つながり、交流目線などのユーザー体験は一定届けられたのではないかと思います。

みさきち:この大会を実現するために社内外のいろいろな方に力を借りてきたので、この結果は本当に嬉しかったです。新たな改善点も見えているので、次にまた「ダブルス」で大会をやるとなったらそれらをどうやって乗り越えるか。ハードルは一段と上がりますが、そのチャレンジは楽しみでもあります。

――ではこの大会を経てコミュニティに変化はありましたか?

みさきち:タイトルリリース当初から積み上げてきたものなので、一朝一夕で変わるものではないと思いますが、今回オンラインで開催することで、これまでは地理的にリアルイベントの会場に行けなかった方たちに参加してもらえたり、若い層の参加もありました。

今回のファイナリストの最年少は10代オセロニアン。最年長では40代の方もいて、そういう方たちが共通点を見つけ合って、「今後一緒に何かしましょう」という雰囲気が生まれているのが嬉しかったです。コミュニティにおけるイベントの価値を実感しました。

上田:参加者の中には、おじいちゃんとお孫さんのペア、オセロニアで知り合ったカップルのペアなど、その顔ぶれはバラエティに富んでいて、ゲームを通してリアルな人と人のつながりができているのはすごいなという驚きと同時に、何とも言えない感動がありましたね。

海野 悠

海野:確かに。エントリー時にTwitterでペア募集しているオセロニアンも散見され、大会を通して新たな人のつながりができるのはオセロニアの醍醐味だと実感しました。

マーケティングの域を超えたやりがい

――みさきちさんと海野さんは19新卒、上田さんは21新卒の内定者。運営のメインとして動くプレッシャーはなかったのですか?

みさきち:意思決定はもちろん重い仕事です。でも、入社1年目からオーナーとしていろいろなイベントに参加し、たくさんのオセロニアンと出会い、その高い熱量を体感してきました。「これは彼らにとって楽しいだろうか、喜んでもらえるだろうか」という変わらない判断軸があるのと、周囲のあたたかいサポートのおかげでブレずに意思決定ができるのだと思います。

海野:誰も経験したことのないコロナ禍で、新しいことをするのはチャレンジングな面もありますが、「オセロニアンファースト」がチーム全体に浸透していることで、全員の意識合わせがスムーズで一体感があるのが私たちの強み。これからこのチームでいろいろな挑戦をしていくのはすごく楽しみです。

上田 隼平

上田:あらためてみさきちさんや海野さんがまだ新卒2年目ということに驚きました(笑)。圧倒的な量の仕事を平然とやっていたり、勇気を持って意思決定したり、これが2年目なのだなと。よい刺激になりました。

みさきち:上田さんは、インターン生という気がしなくていろんな相談、お願いができる頼れる存在でしたし、海野さんは、途中参画にも関わらず、タスクを自らどんどん巻き取ってくれて、前を向くマインドとエネルギー量がDeNAらしいなと感じていました。この勢いでオセロニアチームはまだまだ攻めていけると思います。

――個人として、チームとして成長できたことはありますか?

海野:個人的には、大会を経てよりリアルな存在としてプレイヤーの皆さんを感じられるようになったことです。コロナ禍でチームが新しいチャレンジをして成功体験ができたことは、この先への大きな一歩です。

上田:インターンとしてジョインする前は、DeNAは強い「個」で突破していくイメージだったのですが、実際中に入ってみると「チーム」として新しいチャレンジに向けて歩を進めている。今回の大会も前例のないところで「オセロニアンファースト」を掲げ、とことんプレイヤーに寄り添う文化の中でつくり出されました。サポートは強大、プレッシャーはよい負荷となって面白さをつくりだす追い風になっていると思います。

みさきち:海野さん、上田さんほか、新しいメンバーを迎えて「オセロニアンダブルス」に向かって真っすぐにみんなで取り組めたことは間違いないし、コロナ禍であるにも関わらず全く新しい大会をプレイヤーの皆さんに届ける経験ができたのは貴重。悩んだし、難しかったし、楽しかった。またやりたいです。

――最後に。リアルとオンラインを経て、新たなリアルイベント構想はありますか?

みさきち:リアルイベントをいつ、どう復活させられるか、まだ論じられません。でも、今回「ダブルス」をやってみて、2対2が面白かったとか、若い世代が来てくれたとか、そういうエッセンスはオフラインが復活した後も活かしていきたい。コミュニティ、人と向き合うことを大切にその成功体験を積み上げてきた結果、今の私たちがあります。

これからも「オセロニアは攻めたことやるよね」とゲーム業界の中でも一目置かれる存在であり続けたいです。

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※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

執筆:さとう ともこ 編集:川越 ゆき 撮影:小堀 将生

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