DeNAの「人」と「働き方」の " 今 "を届ける。

若手デザイナーに訊いた。「なぜ私たちはDeNAを選んだのか」

2020.07.20

エンターテインメントと社会課題解決の2大テーマを軸に幅広な事業を手がけるDeNAの中で、最も横断的な活動をする部署と言えば、デザイン本部。「UX/UIを磨き上げたい」「ユーザーフレンドリーなUIにしたい」という想いで、各部署のメンバーと共にデザインの力でプロダクトやサービスを盛り立てます。

2017年新卒でデザイン本部に入った松岡苑子(まつおか そのこ)と19年新卒の平瀬亜由美(ひらせ あゆみ)。2人は入社後、どんな歩みをしているのか。DeNAのデザイナーの実態を、2人の会話を通じて紐解きます。

「やりたいこと」は口に出す、率先して手を上げる

――まずは、デザイン本部がどんなところなのか教えてください。

松岡 苑子(以下、松岡):デザイン本部は、デザイナーが6割、エンジニアとディレクターがそれぞれ2割という構成です。時代とお客様をとらえ、クオリティを探究し続けるクリエイティブチームであることを目指し、プロダクトを通して世の中にデザインの力・新たな価値を提供することをミッションとしています。

平瀬 亜由美(以下、平瀬):さまざまな事業を展開するDeNAにおいて横断的にデザインを手がけるため、デザイナーが関わる案件の幅も必然的に広くなり、エンターテインメント、オートモーティブ、ヘルスケアなどその範囲は多岐に渡ります。

松岡:私も平瀬さんもそうですが「さまざまな事業のデザインを手がけたい」という方にはとてもいい環境だと思いますね。

――今はどんな案件を手がけていますか?

松岡 苑子
▲デザイン本部サービスデザイン部第三グループ 松岡 苑子(まつおか そのこ)
芝浦工業大学プロダクトデザイン学科卒業。2017年新卒入社。入社後は、マーケティングデザイン部でゲームやオートモーティブ、新卒採用など幅広い領域でのプロモーション・ブランディングに関するデザインを担当。2019年11月末からタクシー配車アプリ『MOV』でユーザーアプリや後部座席タブレットのデザインを担当。

松岡:私は株式会社Mobility Technologies(※1)に出向して、タクシー配車アプリ『MOV』のデザインを担当しています。

タクシーを配車するユーザーアプリやタクシーの後部座席に搭載するタブレット、新たなプロダクトの開発も手がけています。「アプリからスムーズにタクシーを呼べる」サービスなので、「どうすればスムーズに操作できるか」「不安を感じさせないか」を重視して、UIを磨いています。

※1……タクシー配車アプリ『JapanTaxi』や『MOV』など、モビリティ関連事業を行う企業。DeNAの持分法適用会社。

平瀬:私は主にデザイン本部内のサービスデザイン部に籍を置いていますが、2019年10月以降はDeSCヘルスケア株式会社にも出向し、兼務で新規サービスの立ち上げに向けて動いています。

――そうした幅の広い案件には、自分で手をあげるんですか?それとも上長がアサインを?

松岡:どちらもありますが、前者が多いですね。やりたいこと、興味があることを普段から意思表明していると、思った以上にやりたい領域を任せてもらえます。平瀬さんも、入社前から「ヘルスケア領域のデザインをやりたい」って言っていましたよね。

平瀬:はい。私はもともと「デザインで社会課題を解決したい」という想いでデザイナーを志しましたし、またそれがDeNAでデザインの仕事をする道を選んだ理由でした。

届けたいサービス体験や価値を、最大限伝えられるデザイナーに

――平瀬さんがデザイナーを、特に社会課題解決型のデザイナーを志したきっかけは何だったのですか?

平瀬 亜由美
▲デザイン本部サービスデザイン部第四グループ 平瀬 亜由美(ひらせ あゆみ)
京都工芸繊維大学大学院修了。2019年新卒入社。入社後は、マーケティングデザイン部でゲームや全社横断型のサービスのプロモーション・ブランディングに関するデザインを担当。2019年10月から兼務でグループ会社であるDeSCヘルスケア株式会社に出向し新規サービスのUIデザインを担当。並行して、『日比谷音楽祭2020』の公式アプリのUIデザインを担当。

平瀬:もともと明確な目標があった訳ではなく、大学受験のときに「手を動かす仕事っていいな」程度の軽い気持ちで、デザインの世界に飛び込んだんです。

大学ではデザイン、経営マネジメント、エンジニアリングと幅広く学んだのですが、その中で、見た目をよくすることにとどまらない、より広義的な、体験やサービスそのものをデザインすることに興味を持ちました。

特に実感したのが、フィンランドに留学し、アアルト大学で学んでいたときのこと。世界中から集まってきた学生と、多様性の中で喧々諤々の議論を重ねながら「スタートアップ企業がデザイン思考を取り入れるにはどうすれば」という広義の課題解決に取り組んだんです。それにワクワクする自分を感じて。

――そのワクワクがDeNAでも継続してできると?

平瀬:そうですね。あとは課題解決をしたいと考えたときに、ITを活用することでより解決策の幅が広がると思いました。ヘルスケアなどの社会課題領域にまで踏み込んで事業展開する企業を探すうちにDeNAにたどり着いたという訳です。

――松岡さんはどういう経緯でデザインの世界へ進んだのですか?

松岡:きっかけは消しゴムです。

――消しゴム?

松岡:はい(笑)。小学生の頃にコクヨさんから発売された『カドケシ』を手にしたとき、とても衝撃を受けたんです。たくさんの「角」があって、いつまでも消しやすい。かっこいいし便利だし。『カドケシ』との出会いで、そういった見た目がスタイリッシュでかっこいいものを考えついた人、プロダクトの裏側にいる人のことを考えるようになりました。

と同時に、「なぜ世の中には使いやすさを追求して生み出されたものと、そうでないものが存在するのだろう」という疑問も芽生えて……。前者を増やし、後者が減った世の中になったら良いのに、と思っていました。それで工業大学に進学して、プロダクトデザインを学んだんです。

――プロダクトデザインを学んだ方がなぜDeNAへ?

松岡:モノや情報が溢れている今の時代において、つくったものを「伝える」ところまでやって初めて使ってもらえると思ったんです。

そこで「デザイナー職」があって、モノづくり、サービスを提供する「事業会社」であること、そして「多くの人に伝えられる、使われる仕事」ができること。この3本柱で考えたとき、IT業界が最適だと考えました。平瀬さんに似ているけれど、生活必需品として私たちの生活に欠かせないアイテム、スマホが一番身近で、そこに生活がある、と。

――なるほど。それで掲げた3つの柱を有するDeNAへ入った訳ですね。

松岡:もう一つ大きかったのはインターン、メンターさんの本気度でした。参加したメンバーを学生としてではなく、一緒につくる仲間として見てくださっているのが伝わってきて、手がけた課題に対して実務レベルのフィードバックをぶつけてくれるんです。

平瀬 亜由美

平瀬:わかります!学生だとか関係なくて、実務目線で真剣にフィードバックをくれて。その熱量に圧倒されながら、でも必死に課題に向かう中で形にする難しさと楽しさを感じることができました。得るものが多くて、選考に落ちたとしても受けてよかった、と思えたインターンでしたね。

松岡:同感。フィードバックをもらいながら「もっとこのプロダクトをよくしてやるんだ」という気持ちで取り組んでいました。また「こんな本気の人たちと働きたいな」という感情も湧いてきて。この環境に自分の身を置いて、いろいろなことにチャレンジすることが自分をストレッチさせる、と確信を持ってDeNAを選びました。

新卒MVP受賞を支えた「理解とコミュニケーション」

松岡 苑子

――そんな成長を望んで入ったDeNA。1年目は実際どうでした?

松岡:壁だらけでした(笑)。周囲はゴリゴリにアプリやWebサービスをつくってきたような人が多かったけれど、私は全然でしたから。

ただ逆に迷うこともなくて。イチから積み上げていこうという気持ちで、「グラフィック力を鍛えたいです」と配属を希望し、現在のマーケティングデザイン部へ。以来、本当に多種多様なデザインを手がけてきました。

――最初はどんなものを担当したんですか?

松岡:『デュエル エクス マキナ(DUELS X MACHINA)』(※2)というスマートフォン向けカードゲームのファンキットで、ファンの方々のTwitterアイコンとして使ってもらう小さいサイズのグラフィックを担当しました。

※2……デジタルトレーディングカードゲーム。2019年10月にサービス終了。

競合となるカードゲームにはどんなものがあるのか、ゲーム内容やファン層にはどんな違いがあるのか、など、リサーチを重ねながらデザインやスタイルの方向性を見極めていったのですが、大事にしたのは「自分がゲームを楽しみ、理解する」「ファンの方に喜んでもらえるクオリティで表現する」ということ。

また何かの役に立つかな?と初めは軽い気持ちでゲームをやり始めたのですが、やり込むほどにその面白さにハマっていきました。つくり手や使い手に対して理解も深まり、デザインのアイデアも膨らんで。デザインの可能性を洗い出し、考えられるパターンをすべて形にしようと、途中先輩にも教えてもらいながらデザインしていきました。

実際につくるとき、デザインの方向性を明確にしておくと、たとえば「大理石みたいな質感をつくるためにはどうすればよいですか?」などと具体的に質問することができます。グラフィック力を鍛えたくて希望した配属だったので、「表現したいものを、正確に表現する」ことを常に意識していましたね。それだけに、Twitter上でファンの方が実際にアイコンに設定してくれているのを見ると嬉しかったです。「中途半端なクオリティだとファンの方には受け入れてもらえない」と、公開前はドキドキしていましたから。

その後もアプリやWebサービス、また車両ラッピング、Tシャツ、チラシといったオフラインのデザインまで、幅広いデザイン業務を手がけていきました。依頼者の要望を正確に、かつ詳細に掴み、それらをデザインに落とし込む。表現の幅を広げたいという想いで積極的にいろいろなデザインを引き受けた結果、1年目の目標にしていた「グラフィック力の強化」に繋がり、デザインすることがさらに楽しくなったと思います。

――まさに多彩な経験を重ねて「新卒MVP」を受賞されたんですね。デザイナー職で初めてだったとか。

松岡:嬉しい反面、まさか自分が!?と信じられない気持ちでいっぱいでした。でも、関わった先輩や他の部署の方々から「要望も取り入れてくれて、かっこいいデザインでリリースすることができた」「松岡さんが入ってくれたおかげで仕事がスムーズにまわった」「早めにラフを見せてくれたのでチーム全体のゴールがクリアになって助かった」と嬉しいコメントをいただく中で、コミュニケーションに関する言葉が胸に響いてきて……。ふと大学時代の恩師にもらった言葉「デザインはスキルじゃない。理解とコミュニケーションだ。」を思い出したんです。

当時は正直ピンとこない言葉だったのですが「そうか、このことか!」と腑に落ちた瞬間でもありました。

平瀬:「デザインはコミュニケーション」って、共感しますね。私もこの1年ですごくそのことを実感した1人です。

平瀬 亜由美

『日比谷音楽祭2020』公式アプリの裏側で

――平瀬さんが「デザインはコミュニケーション」を実感した理由は?

平瀬:私は2019年にDeNAに入社後、自社のポータルサイトのリニューアルが初めての仕事で、そこから広告やイベントグッズの制作、DeNAのカレンダーや年賀状など、さまざまな領域のデザインにチャレンジする機会を得てきました。

その中で、昨年10月から亀田誠治氏が実行委員長を務める音楽フェス 『日比谷音楽祭2020』のスマホアプリのデザインを担当したのですが、じつは前年の担当者は松岡さんで。イベント当日、松岡さんと一緒に会場の日比谷公園に出かけて、そのアプリをいろいろな世代の人が使っている姿を見て、「私もやってみたい」と話していたんです。

松岡:そう。それで今年もアプリを制作することを聞いたとき平瀬さんがやりたがっていたことを伝えて。

平瀬:まさに「手をあげた」らアプリのデザインを担当することになって。でもそこからが大変でした。

プロダクトマネージャーと連携して企画段階からつくるスタイルだったのですが、アイデアを発散させ盛り上がる段階ではうまくコミュニケーションが取れていたと思っていたのが、収束フェーズではなかなか合わず。ミーティングでの議論にもスピード感にもついていけなかったんです。

「本当はこう伝えたい」「反論したい」局面でも上手く伝えられず、悶々としている時期がありました。

――どうやって乗り越えたんですか?

平瀬:松岡さんの仕事ぶりを参考に、デザイナーとしての自分の強みを活かすコミュニケーションをしようと考えたんです。

松岡:そうだったの?

松岡 苑子

平瀬:そう(笑)。言葉の議論だけだと相手との共通イメージを持てないまま認識のズレが生じてしまって……。どうしようかなと思ったとき、松岡さんが会議やミーティングでリアルタイムで話の内容を「ビジュアライズ」して周囲と情報を共有しながら案件を進めていることにヒントを得て。

松岡:確かによくやりますね。私たちは部署横断での業務が多いため、事業内容によっても、プロダクトマネージャーやエンジニアといった職種によっても、独自の言語やコミュニケーションがあるため、議論した内容を理解に齟齬なく同じイメージを持てるよう、ビジュアルに落とし込むことを徹底しています。

平瀬:まさにそれをマネしました(笑)。ミーティング中に出てくる話題を、その場でUIに落とし込んで「さっきのってこんな感じですか?」といった具合に都度可視化して互いのイメージを確認するようにしたんです。

すると、コミュニケーションのズレがなくなって、チームの制作スピードもグッと早くなりました。コロナ禍でリモートワークになった後半のタイミングでは、オンラインでの打ち合わせ内容をリアルタイムで可視化しながらSlackで共有し、「こういうことですよね?」「AとB、どちらがいいですか?」などとコミュニケーションを重ねていきました。

最終的に今年の音楽祭は中止になりましたが、「アプリの仕様をかえてお客様に音楽祭を届けよう!」と急遽内容を変更して「おうちで楽しむ」音楽祭アプリへとアップデート。リリースに向けて慌ただしく制作が進む中、「ビジュアルがあるからめちゃくちゃやりやすい」とプロダクトマネージャーやエンジニアの方々に言われたのは感慨深かったですね。

来たれ!本気でいろんなデザインを楽しめる人

――DeNAのデザイナーとして、今後どんなキャリアビジョンを描いていますか?

平瀬:まずは今担当しているヘルスケアアプリをリリースさせて、お客様の反応を追いながらさらに質のよいサービスの提供に向けて改善していきたい。『日比谷音楽祭2020』の公式アプリはイベントアプリという性質上、期間限定でバージョンアップをする機会はありません。今手がけているヘルスケアアプリを通して、「育てていく」経験を積みたいと思っています。

あとはKPIを追いながらデザインの改善によってサービスをより成長させる実績を積み上げていきたいと考えています。デザインというものの価値を着実に、もっと証明していきたいです。

松岡:私は、まだまだ自分がやったことのない領域にチャレンジして、デザインに止まらず、デザイン以外の領域にも活動の場を広げていきたいと思っています。入社して3年経ったらできることが増えるかなと思っていたら、むしろやりたいことがもっと増えている状況なので(笑)。

あとはやっぱり、便利であることも気づかないような「当たり前品質」、でもお客様にデライトを届けられる暮らしに馴染むプロダクトデザインをやっていきたいですね。

――では最後に、どんな仲間と一緒に切磋琢磨していきたいですか?

平瀬:私は「これには自信がある」という自分の武器を持ったデザイナーの方ですね。デザイン本部は、幅広にいろいろなデザインをやりながらも、動画が得意とか、グラフィックが得意とか、個性あるメンバーが集まる場所。だからこそ、何を聞いてもアイデアのヒントがもらえるし、それぞれが個々の強さを倍増させていると実感しています。

松岡:私もいまだに壁にぶつかりながらも、本気でデザインを楽しんでいるという自負があります。新しいチャレンジに躊躇なく没頭できるのは、それが自分のパワーアップにつながると実感できているから。DeNAには、共に刺激し合い、高め合う仲間が集っていると思います。そんな環境を思いきり楽しめる方に、ぜひ来てほしいです。

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

執筆:箱田 高樹 編集:川越 ゆき 撮影:内田 麻美

■こちらの記事も読まれています
「濃い、だから面白い」入社2年目のデザイナーが新卒研修を振り返る
ゲームクリエイターとして描く次のステップ。新卒2年目のデザイナーがマレーシア視察で得た学び

open menu