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CULTURE

20.05.29

音楽×ITのコラボで「おうちで楽しむ」音楽祭を実現。その内容は?

数々の有名ミュージシャンを手掛けてきた音楽プロデューサー・亀田誠治氏が実行委員長を務め、DeNAも製作委員会の一員として2019年から取り組む新しい音楽フェス『日比谷音楽祭』。東京・日比谷公園全体を会場とし、入場料無料で開催された音楽祭は、多くの人に開かれた音楽フェスとして話題を呼び、第1回となる昨年は2日間で約10万人が来場しました。

そして第2回目となる今年。さらなる趣向を凝らし準備を進めていましたが、残念ながら新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止に。

けれどそこで終わる日比谷音楽祭ではありませんでした。「お客様に音楽祭を届ける」ために、本来会場で遊ぶ内容としてリリース予定だったアプリの内容を急遽変更。「おうちで楽しむ」音楽祭アプリへとアップデートさせたのです。

「おうちで楽しむ」音楽祭アプリとは一体どのようなものなのか?また、コロナ禍という誰も予想できなかった逆境において、アプリの内容変更へと舵を切り、限られた時間でどのように問題に向かっていったのか?プロジェクトオーナーの藤沼隼弥に聞きました。

※「日比谷音楽祭公式おさんぽアプリ2020」のダウンロードはこちら

音楽のライブ体験をアップデート

ーー『日比谷音楽祭』は、昨年が初開催。亀田誠治さんと組んで始まった新しいかたちの音楽フェスですよね。

藤沼 隼弥
▲株式会社Mobility Technologies プロダクトマネジメント部 藤沼 隼弥(ふじぬま じゅんや)
2016年DeNAに新卒入社。EC事業本部で大手小売とのネットスーパー運営、保険領域の新規事業を4人目のメンバーとして立ち上げ、インキュベーション事業部では事業責任者として新規事業の立ち上げからクローズまで経験。オートモーティブ事業本部では『MOV』(タクシー配車)のPdMを担当し、現在はMoT(Mobility Technologies)でDRIVE-CHART(AI ×ドライブレコーダー)と日比谷音楽祭のPdMを担当。

はい。「フリーで誰もが参加できる、ボーダーレスな音楽祭」として、日比谷公園全体と隣接する東京ミッドタウン日比谷までを会場とする、これまでにない音楽イベントとして始まりました。

世代もジャンルも超えて、ミュージシャンが参加するライブやワークショップを行ったり、「格差やハードルをフリーにする」という狙いでパラリンピックの選手に参加してもらって小さな運動会のようなゲームを楽しんだり。誰しも自由に気軽に音楽と出会える場として『日比谷音楽祭』が生まれたんです。

DeNAが担当したのは会場で使えるスマホアプリ開発。昨年は、無料とはいえチケット制だった野音のコンサートのチケット事前抽選機能や公園マップなどの基本機能の他、当日ふらっと訪れた人でも野音のステージを観賞できるチャンスとして「チケット当日抽選機能」や、公園内を回遊しながら楽器の音をスタンプラリーのように獲得できる「音楽のカケラ集め」の仕組みをつくり、子どもから大人まで音楽祭に参加できる機能を持たせました。

ーー当日のチケット抽選機能で気軽にミュージシャンのライブを観賞したり、亀田さんプロデュースの「本物の音」に遊びながら触れられるなど、音楽祭の評判は上々だったと聞いています。

はい。Twitterなどでも非常にご好評をいただきました。ただ、いくつか課題が残ったんです。それは、音楽祭の事前の盛り上げと公園内の回遊施策である「音楽のカケラ集め」の参加率です。昨年は「知る人ぞ知る音楽フェス」で止まってしまったんですね。だから、今年は事前の盛り上げにもっと力を入れたかったんです。

そこで、今年は事前の盛り上げをつくるためにシェア数を1つのKPIとして定めて、アプリに「診断」機能を追加しました。これは、12問の簡単な診断に答えると自分の分身であるバーチャルバンドマンを作成することができる機能です。たとえば「冷静で動じないベーシスト」や「魂で演奏するギタリスト」など4楽器4種類、計16種類あって、「やっぱり私はこのタイプよね」とか「なるほど、こういう一面もあるのか」など、楽器を演奏したことがある人もない人も共感できるような内容にしています。

16パターンのバーチャルバンドマンは、19新卒のデザイナーが中心になってつくってくれました。面白いイラストやアニメーションになっているので、そのクリエイティブも楽しんでほしいですね。

日比谷音楽祭公式おさんぽアプリ2020
▲「日比谷音楽祭公式おさんぽアプリ2020」の画面イメージ

ーーDeNAの得意なゲーム性を追加したということでしょうか?

そうですね。さらに昨年好評だった「音楽のカケラ集め」を「バンドマン集め」にアップデートしました。これは、当日公園内に設置されたさまざまなQRコードを読み込むと、実際に出演したミュージシャンのアバターを入手できる機能です。

「バンドマン診断」と「ミュージシャン集め」によって、自分のアバターと豪華ミュージシャンのアバターを同じバンドに入れ、擬似的に共演することができる仕組みです。「公園内を散歩してミュージシャンを集め、実際に演奏を見たミュージシャンと自分を共演させる」、それがスマホ上で可能になれば面白いよねというコンセプトでした。

ユーザーをただの観客にするのではなく、『SHOWROOM』(※1)や『Pococha』(※2)のようにユーザーも演者に巻き込んでいくことで、音楽のライブ体験をアップデートしたい。単に見るコンテンツではなく、インタラクティブで参加できるコンテンツに昇華することで音楽をもっと身近に感じ、興味を持ってもらう。これが今回求めたコア体験でした。

※1……インタラクティブなライブ動画ストリーミングプラットフォーム。アイドルやアーティストとリアルタイムで交流できる仮想ライブ空間
※2……みんなのハッピーがつながるライブコミュニケーションアプリ。誰でもいつでもライブ配信と視聴ができる

若手とシニアの混合チームでアプリ開発を推進

ーーしかし突然、新型コロナウイルスの感染拡大によって音楽祭は中止。それでも、アプリというバーチャルの空間で音楽祭を楽しんでもらうことを選びました。中止するという選択肢はなかったのでしょうか。

「こういう状況だから仕方ない」という雰囲気もありました。でも、せっかくここまでやってきたのだから音楽祭を楽しみにしていただいていた方々に何かしら届けたいという想いが強かったし、アプリ開発を担ってくれた若手メンバーに「プロダクトを世に出して、何かしらの反応を得る」体験をしてもらいたかったんです。

また、IT企業として、こういう状況下だからこそ家でも楽しんでもらえるコンテンツを提供すべきだとも思いました。公園を歩かなくても獲得できるインタラクションで、元のコンセプト通りスマホでのコラボ演奏を実現できないか、我々はそこを求めるべきなのではないかと。

ーーイベントの方針転換はすぐ決まったのですか?

大枠のところで言うと、方針は転換していないんです。なぜなら、フェス中止によって公園内を散歩しながら音とミュージシャンを集めてもらうことはできなくなったけれど、アプリを介してバーチャル空間を散歩してもらうことも、広義の意味では“おさんぽ”と言えるのではないかと思いました。そしてそれはQ&Aのフォーマットなら可能になるのではないかと。

具体的には、日比谷音楽祭や参加ミュージシャンにまつわるクイズを出題し、参加者は答えを探すために、日比谷音楽祭やミュージシャンの公式ウェブサイト、YouTube、SNSなどを訪れて答えを探します。コンセプトは変えないまま、QRコードをクイズに変更し、「日比谷公園内のおさんぽ」から「バーチャル空間上でのおさんぽ」へと表現を変えたわけです。

日比谷音楽祭公式おさんぽアプリ2020

「バーチャル空間とリアルな公園内の散歩は、ちょっと違うんじゃない?」という意見も出ましたが、そこはしっかりと話して共感してもらいました。フェスは中止になってしまったけれど、今年は日比谷音楽祭の種をまく年にしませんかと。今年はアプリを通じて日比谷音楽祭のコンテンツにしっかり触れてもらって、来年に繋げようと。

ーーどのようなチームで制作をしたのでしょうか?

今回は20新卒、21新卒の内定者がメインの開発を担っていました。20新卒のメンバーは4月に入社して以降それぞれ別のプロジェクトにアサインされるので、途中からは21新卒の内定者がメインになります。でもそこは、企画段階でメンバーといろいろアイデアを出し合うことで妥協することなく開発を進めることができました。

CTOの小林も言っていますが、DeNAのモノづくりを強化するためには、若手とシニアの共創は不可欠です(※3)。新卒と言っても、しっかりとした技術力があって、アプリをつくった経験もある即戦力のメンバーばかり。もちろんチーム開発という点では不慣れなところもありますが、そこはリードする我々の意識でカバーできます。

実際、彼らのフェス に対するユーザーとしての解像度も高く、より良いユーザー体験を提供するために考え尽くして開発に携わってくれました。今回、裏目標として「若手人材の育成」を掲げ、デザイナーはメインを19新卒、アニメーションを20新卒が担当し、シニアのメンターがサポートという形に。またエンジニアはアプリとサーバーそれぞれシニアと20新卒、21新卒の内定者というメンバー構成にして、若手とシニアの混合グループでプロジェクトに向かいました。そこに内定者やベテランといった垣根はなく、一貫して「もっとこういう風にしたらユーザー体験をより良いものにできるのでは」と、積極的な意見のやりとりが展開されていました。個々のモノづくりに関わるプロ意識を強く感じましたね。

※3……「DeNAのモノづくりを強化するために、エンジニアの探究心を刺激し続けたい」と語るnekokakことCTO 小林篤の所信表明記事はこちら

ーー若手もベテランも垣根なくプロジェクトに向かえるのはなぜでしょう?

それがDeNAのカルチャーだと思います。基本的に年功序列がなく、「誰が言ったか」ではなく「何を言ったか」で判断するし、気持ちいいくらい「ことに向かう」ことを自然と出来る人たちの集まりです。

それが新卒であろうと内定者であろうと、DeNAに入社する人は元々DeNAカルチャーの火種を持っている人だと思います。同じ火種を持っている人同士が集まると当然その火は大きくなりますし、僕ら社員側が少し風を送ると、凄い勢いで彼らはDeNAカルチャーを体現しモノづくりを推進してくれました。なので、我々は環境さえつくれば良かった。とても頼もしく安心して「ことに向かう」ことができました。

▲プロジェクトメンバーの面々

リモートワークでのコミュニケーションで意識した3つのこと

ーーアプリ開発はすべてリモートで行われたそうですね。

内定者が地方に住んでいたので、コロナとは関係なく最初からフルリモートで開発していました。今年1月20日のキックオフと懇親会で顔合わせはしましたが、逆に言えば、ほとんどの人とは、直接会ったのはその1回だけ。意外とリモートでもイケるな、というのが今回の所感です。

もちろん、難しいなと感じたこともあります。ひとつは、速度を持ったリアルタイムのコミュニケーション。やはりテキストよりも口頭でのやり取りの方がインプットとアウトプットが早いなと。またオンラインだけだと必要最低限の会話になりがちで、雑談から生まれる偶発的な意見なども生まれにくいと最初は思いました。

もうひとつは、対面でのコミュニケーションではないため、表情やジェスチャーなどで喜怒哀楽を上手く伝えられないことでした。

ーー新卒の若いメンバーを相手にする際、特に心がけたことなどありますか?

意識したことは主に3つです。1つ目は、即レス。夜遅くても些細な内容でも2時間以内には返信するから遠慮なく聞いて、と心理的安全性を高めて意見を言える環境をつくりました。

2つ目は、あえて表現を過剰にして伝えるようにしました。Slackでのコミュニケーションはテキストだけだと無機質になりがちなので、Slackのスタンプを使って喜怒哀楽を表現したり、感情の見える化を意識しましたね。

最後は、意思決定の理由をしっかり伝えること。今回私がプロダクトマネージャーの役割を担って、アプリとして与えたいユーザー体験を決めること、またそれをアプリとして落とし込む中で自分の意思決定の軸を共有することを重視しました。

「これは良い・これはだめ」ではなく、「なぜこれは良くて、これはだめなのか」をしっかり言語化して伝えることで、メンバーはどうすればもっと良いユーザー体験に出来るかを考えてくれました。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、理由をしっかり伝えることで、皆が自発的に良いアプリにしたいというムードが自然と出来上がっていったように思います。

ーーオンラインでの会議やコミュニケーションで意識したことはありますか?

3つあって、1つ目はリアルタイムで議事録を取り、議論を可視化すること。議論を可視化することによって、今何の話をしているのか全員が見える状態にしました。たとえ聞き逃しても議事録を見ればすぐに追いつくことができます。

2つ目は、意図的にすべてのメンバーに意見を聞くこと。質問の場を設けたり、参加者全員にバランスよく話を振るようにしました。

3つ目は、話す内容をあらかじめ共有しておくこと。この打ち合わせが何のためのものなのか、目的は共有なのか決定なのか。これらに気をつけることで、問題なくフルリモートでもプロジェクトを進めることができたと思います。

藤沼 隼弥

コロナ前後で、物理的な価値のルールが変わった

ーーフェスの中止、アプリの変更、フルリモートでの開発、これらを経て、藤沼さん自身、仕事に対する意識の変化はありましたか。

コロナ前後という話があると思いますが、今回、明確に物理的な価値に関するルールが変わったと思うんです。

アプリ開発も、「フルリモートで進める」という前提で開発メンバーに最初からQA(Quality Assualance)に入ってもらい、品質チェックの観点からもレビューをもらってPRD(製品要求仕様書)の精度をあげていきました。「これさえ見れば誰でも開発できる、誰がどう見てもこう解釈できる」、そんな状況をつくれたことは大きかったと思います。

ーー最後に改めて、このアプリに期待することは何でしょうか。

ぜひ、「バンドマン診断」で自分のタイプを出して、亀田誠治さん他、日本のトップミュージシャンが演奏した日比谷音楽祭オリジナル楽曲のコラボ演奏を楽しんでほしいです。また、クイズに答えてミュージシャンを全員集めると出現する、シークレットミュージシャンのアプリでしか聴けないスペシャルセッションも必聴ですね。アプリ限定の、しかもリリース後3ヶ月間しか聴けないとても貴重な音源です。

日比谷音楽祭は、「フリーで誰もが参加できる、ボーダーレスな音楽祭」です。今回のアプリを通して、演者と参加者の垣根をなくし、音楽をより広く楽しめるものにしたい。来年の日比谷音楽祭に向けて、ミュージシャンと参加者をシームレスにつないでいけたらいいなと思っています。


 

プロジェクトに参加した21新卒内定者の声

岸 直輝さん

岸直輝さん

入社前からプロジェクトに関われるのは貴重なので、中心メンバーとして成果を出す意気込みで参加しました。開発当初からリモートだったのは、地方在住者としてはありがたかったです。初対面のメンバーとは、早期からSlackに個人チャンネル「#times」をつくって、進捗や身の回りのことを気軽に投稿しながらチャットしやすい環境づくりを意識しました。自分が開発したサーバーサイドだけでなく、プロダクトオーナーやデザイナーの方など、コミュニケーションしながら一緒にプロダクトをつくっていく一連の流れを体験でき、今後につながるよい気づきを得ることができたと思います。社内勉強会など、プロジェクト外の活動にも触れることができ、働くイメージが具体的に持てました。

 

砂賀 開晴さん

砂賀開晴さん

「20新卒・21新卒の内定者メインで、フルリモートで開発かつFlutterを使用する」との話を聞いたときは、すごく挑戦的だな、というのが第一印象でした。リモート開発では、話や文章の意図が正確に伝えづらいと感じたことがあったため、特に技術的な部分に関しては、多少文章が長くなってもあえてわかりやすい文章を書くように心がけました。このプロジェクトへの参加を通して、アプリ開発、サーバーサイド開発、QC、デザイナー、PMの方々とどのように関わりながら開発を進めていくのかを実感することができ、加えて会社の雰囲気や社員同士の関係も知ることができ良かったです。来年からDeNAで働くことが楽しみになりました。

 

鹿内 裕介さん

鹿内裕介さん

入社前から開発の中心として、また学生のチームでプロジェクトに参加できるなんて、絶対に良い学び、経験になると感じました。フルリモートでの開発に関しては、ほとんどのメンバーと初対面だったので、オンラインでのコミュニケーションとはいえ、初めは社員データベースを頼りに顔と名前が一致するように心がけました。また1日の終わりには必ずNextActionをメモで残して、コミュニケーションが最小限でもやることが明確になるように意識して取り組みました。今回のような働き方はこれから増えていくと思いますが、DeNAにおけるリモートの、リアルな働き方のイメージがつかめたことも有益でした。

 

※「日比谷音楽祭公式おさんぽアプリ2020」のダウンロードはこちら

 

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

執筆:山田宗太朗 編集:フルスイング編集部 Zoom撮影:小堀 将生

 

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