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入社1日目からプロジェクトの最前線へ。迷わず「こと」に向かえた理由

2020.03.10

子宮頸がんから女性を守るための検査薬を提供するロシュ ・ダイアグノスティックス。2019年、DeNAはロシュ社と共同で、子宮頸がん検診の受診率向上を目指す『Blue Star Project(ブルースタープロジェクト)』をスタートさせました。本連載では、プロジェクトリーダーである西村 真陽(にしむら まさや)とメンバーとの対談を通して、プロジェクトに参画する上で大切な要素を探ります。

第1回の対談相手は、渉外統括本部ビジネスアライアンス一部マーケティングコミュニケーショングループに所属する池端 美咲(いけはた みさき)。化粧品会社で女性向け商材のマーケティングに携わっていたとはいえ、入社初日に本プロジェクトに関わることを告げられた彼女は、それをどう受け止め、プロジェクトの最前線へと向かったのか。DeNAのミッションであるプロジェクトベースで働くことの価値や面白さ、取り組む姿勢など、池端にとってのBlue Star Projectを掘り下げます。

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DeNA入社初日のプロジェクトアサイン。なぜ「私」だったのか

池端 美咲
▲株式会社ディー・エヌ・エー 渉外統括本部ビジネスアライアンス一部マーケティングコミュニケーショングループ 池端 美咲(いけはた みさき)
化粧品メーカーでオフライン全般のマーケティングに約5年従事した後、2019年にDeNAに入社。Blue Star Projectではキービジュアルの制作とオフラインのプロモーションに関わる渉外業務を担当。普段は横断部門としてゲーム、ソーシャルLIVE等の各事業でTVCMをはじめとしたオフラインマーケティングに携わる。

池端 美咲(以下、池端):一度聞いてみたかったのですが、西村さんはなぜこのプロジェクトのリーダーを務めようと思ったのですか?

西村 真陽
▲DeSCヘルスケア株式会社 事業開発部 アライアンスグループ 西村 真陽(にしむら まさや)
2016年DeNAに新卒入社。健康経営推進部署・CHO(Chief Health Officer)室の立ち上げや、ドコモ・ヘルスケア株式会社と共同で開発、運営しているウォーキングアプリ『歩いておトク』のプランナーを経験。現在は『Blue Star Project』のリーダーを担当。

西村 真陽(以下、西村):Blue Star Projectをはじめた経緯からお話すると、日本における子宮頸がんの検診率は42%程度(※1)と欧米諸国の70〜80%という数字に比べるとかなり低く、罹患率の高い20〜30代は私と同世代です。実際周りの人に聞いてみると検診を受けていない人が多く、同世代の検診意識が低いことは明らか。ロシュの方から子宮頸がんの現状について教えてもらうにつれて、「すべての人が健康でいられる社会の実現」 を目指す企業として何らかのかたちでコラボレーションできないかとずっと検討していました。

子宮頸がんは体質や遺伝が原因ではなく、ほとんどの場合、ヒトパピローマウイルス(以下、HPV)というウイルスに感染する事が原因です。HPV感染から子宮頸がんになるまではおよそ5年から10年、少なくとも2年に1回定期検診を受けていれば発症する前の状態で発見できることを知り、「同世代の女性たちにぜひ自分ごと化して検診を受け、自分の体を大事にして欲しい」という想いでBlue Star Projectのリーダーを引き受けることにしました。

(※1)2016年 厚生労働省「国民生活基礎調査」及び「OECD Health at a Glance 2015, Nov2015」より

池端:私自身、Blue Star Projectにかかわる前は、子宮頸がんになる原因について知りませんでしたし、健康診断の項目にあるから検診を受けておこうという程度でした。「女性向け商材マーケの知見」を期待いただきプロジェクトの話をいただいた認識はしていたのですが、入社初日で社内実績がない状態でアサインされたので、期待に応える動きができるか少し不安になったのを覚えています。

池端 美咲

西村:池端さんには、入社初日にこのプロジェクトに参加してもらいましたよね。外部の方との打ち合わせにもすぐに入ってもらって慌ただしかったと思います。実は、このプロジェクトを立ち上げるにあたり、大型マーケティングの実行部隊がヘルスケア事業部内になくて、社内のいろんな部署にあたりながらキーマンを探っていった経緯がありました。

子宮頸がんの検診率を増やすには、人々の意識を変えていかないといけない。行動変容を起こすさまざまなアプローチを検討していくなかで、今回我々と縁の深い横浜市から後援をいただき、自治体の協力も得ながら啓発プロジェクトをスタートさせることになったわけです。

相手を信頼して「大きく任せる」球体型組織を体感

池端:私が担当したのは、主にキービジュアルの制作と交通広告(横浜駅構内でのポスター掲示、京急線・相鉄線の電車内広告など)、リーフレット制作とターゲットに合致するサンプリングルート先の選定・提案でした。

西村:率直に、プロジェクトをやってみてどう感じました?

池端:まず驚いたのが、会社のミッションやビジョンに紐づく行動指針・DeNA Quality(DQ)をプロジェクトメンバー全員が体現していたこと。行動指針がただ掲げられているだけでなく、現場でしっかりと実践されているのはすごくいいことだと思いました。各人がオーナーシップをもって「こと」に向かい、限られた時間のなかで背景や目的の共有がしっかりなされていたのでとても気持ちよくプロジェクトに向かえましたね。

西村 真陽

西村:その言葉を聞いて安心しました。ところで、入社前にこのプロジェクトの話は聞いていましたか?

池端:いえ、まったく(笑)。でもすぐに対応できたのは、やはりプロジェクトの背景や目的、今後のビジョンにいたるまで、最初に全体像をしっかり共有してもらえたことが大きかったです。

キービジュアルの制作にしても、込めたい要素を具体的に提示してもらったり、その根拠となる市場調査結果の共有も密度が濃かった。考える材料を十分に渡してもらえたのはスピード感を保つ一助になりましたね。

西村:入社早々このプロジェクトに引き入れた側としては、そう言ってもらえると救われます。プロジェクトを進めるに当たって、メンバーとのコミュニケーションは問題なかったですか?

池端:「こと」に向かうためには明確な意見を持っていないといけないし、その意見のもとになるエビデンスや仮説が必要ですよね。逆に言えば、それさえあれば誰でもフラットに意見を出して議論できる。目的に沿った提案であればしっかり通してくれる。新しい環境でもまったくストレスなく、「こんなに受け入れてくれるんだ」と新鮮に感じました。

ただ、ひとつ気になっていたのは、入社したての社員をメンバーに入れることに懸念はなかったのかということ。仕事ぶりを実際に見ていないのに、本当にできるかどうか不安はなかったのかなと……。

西村:それはまったく考えなかったですね。大切なのは、プロジェクトのビジョンやゴールに共感してもらえるかどうかだと私は思っています。実際、池端さんが参加してくれたことで当初のプランニングの数倍の施策が実現できました。実はキービジュアルの制作は池端さんがアサインされた時点では諦めようと思っていた施策だったんです。でもアサイン後すぐに知見やアイデアを出して超特急で対応してくれて、期待を2倍も3倍も上回るクオリティを出してくれた。ビジョンを共有した上で、プランニングは大胆に任せることの醍醐味を実感しましたね。

ブルースタープロジェクト

「個」のアイデアを結集して新しい価値をつくる

池端:今回、大きな妥協なくプロジェクトのローンチに間に合わせることができた実感がありますが、大変だったポイントも。ひとつは、ヘルスケアや女性向けサービスはDeNAにおいてまだ十分にナレッジが溜まり切っていない分野で、手探りで進める部分もありました。でもその分各メンバーがフラットに意見を出し合っていたので、一つひとつのミーティングがとても濃いものになったと思います。

もうひとつは時間的制約。今回のキービジュアルは、空がひとつのポイントでした。美しい青空とモデルさんの自然な表情を一体化したいと考え制作を進めていましたが、撮影時はちょうど台風シーズンで。撮影日も雨予報……、でもリスケしたらローンチに間に合わない。たとえ雨が降ろうとこの日に撮影しなければならない。雨天の場合の「B案」を携えて撮影にのぞんだのですが、結果、撮影の時間だけ晴れましたよね。

ブルースタープロジェクト

西村:朝6時からの撮影で、撮影するほんのひとときの間だけ青空が広がって……。神がかっていましたよね。晴れ間が出た瞬間、社外のパートナーさん含め現場の誰もが盛り上がって。結果的にものすごくいいムードの中で撮影にのぞめました。撮影が終わったらすぐに雲が立ち込めまた雨が降りだして。奇跡みたいになんとかなったことばかりでしたが、やっぱり今後は心のゆとりも考えて、もう少しスケジュールに余裕を持って進めていきたいですね。

ところで、他の業務とのバランスはどうでしたか?Blue Star Project以外にも、ゲームアプリやソーシャルアプリのCMなども含め、日々いろんなキャンペーンやマーケティングに携わっていたと思いますが……。

池端:Blue Star Projectはもちろん、こんなにバラエティに富んだ商材のマーケティングに関われることは今までなかったので、むしろ楽しんでやっていました。

Blue Star Projectについて言うと、「未病」という考え方には個人的にすごく共感しているんです。病気になってからではなく、なる前に何ができるか。それによって女性のQOLを上げることができる。そういうプロジェクトに関われること自体がモチベーションになりました。

共感できる仕事は、シンプルに楽しい

西村:池端さんは今後、Blue Star Projectをどのように成長させていきたいと思いますか?

池端:このプロジェクトをきっかけに、子宮頸がんについて、また検診についての理解を深めてもらい、女性が自分から子宮頸がん検診を受けようと思ったり、男性がパートナーに検診を勧められるような世の中づくりの一助を担うようなプロジェクトにしていきたいです。

また、より多くの方に子宮頸がん検診の重要性を理解してもらうためにも、他の企業や行政も巻き込んでいける規模にしていきたいですね。

西村:そんなふうに言ってもらえるなんて嬉しすぎますね(笑)。Blue Star Projectのメッセージが広く深く浸透していって子宮頸がん検診の受診率が上がり、がんになるリスクを確実に減らしていくことが我々のミッションだと思っています。

池端:一方で、社内では女性向けプロモーションやエリアマーケティングという考え方、自治体との取り組みなど、ゲームやソーシャル、その他の事業にも応用できるところはしっかり横展開して、会社全体にメリットになることをやっていきたいです。

お世辞みたいに聞こえてしまうとよくないのですが、西村さんが一途に「こと」に向かっているがゆえに、周囲が自然と目線を1つにする雰囲気ができている。メンバーが働きやすい環境をつくってくれているなと感じます。

西村:素直に楽しいんですよ。私は、自分が1番楽しいと思えなかったらリーダーはやらないと決めているんです。強いて言えば「自分が誰よりもプロジェクトを楽しんで、目的に向かって進んでいくこと」が自分のマネジメントスタイルなのかもしれません。

ブルースタープロジェクト

横浜DeNAベイスターズ主催試合にて、『Blue Star Project Women's ナイター』が開催される予定です。当日は、大型ビジョンを含む各種ビジョン、ブース出展、関連グッズの配布等を通じて、ご来場の皆さまに『Blue Star Project』の取り組みをお伝えするほか、始球式を含む試合前の各種イベント等も予定しています。詳細はこちらをご確認ください。

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

執筆:山田宗太朗 編集:川越 ゆき 撮影:内田 麻美

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