

2018年12月6日、渋谷ヒカリエのDeNA本社にて「DeNA re:Invent 2018 報告会」が開催されました。
2018年11月26日から30日までの期間にアメリカ、ラスベガスで開催された「AWS re:Invent 2018」(※1)に参加したDeNAの6名のエンジニアが、報告会と称してライトニングトークを行なった本イベント。
それぞれのエンジニアが注目した技術について、あらゆる視点からご紹介しています。それでは、さっそくレポートを通して、イベントの内容を追っていきましょう。
※1……AWS の年次カンファレンス。2019年は12月2日から12月6日の日程で開催予定。
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クラウド移行に向けた取り組み「AWS re:Invent 2018」
現在、約3,000台のオンプレミスサーバを用いて、サーバー環境を整えているDeNA。
2018年から2020年までの3年間の期間を経て、クラウド移行を完了させる見込みです。
このクラウド移行に伴って、今回DeNAからは事業部門やインフラ部門から十数名のメンバーが「AWS re:Invent 2018」に参加。リアルな知見を溜めることで、今後のクラウドシフトに向けて活用していこうと考えています。
さらにその後、技術的なテーマを対外的にも発表する場を設け、知見を社外にも共有していこうと考えました。
本イベントでお届けするのは、そんなクラウドシフトに関わるメンバーたちが「AWS re:Invent 2018」に参加することで感じた技術の進化などについて。
さまざまな技術に日々触れているDeNAのエンジニアの目線から見た「AWS re:Invent 2018」は、いったいどのように映ったのでしょうか?
AWSが知る、AWSの裏側を語る
当日のライトニングトークを順番に見ていきましょう。はじめに登壇したのは、ゲストとしてお招きしたアマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社の吉田 英世(よしだ ひでよ)氏。
「ソリューションアーキテクトから見たre:Invent2018」として、「re:Invent2018」期間中の新技術について、実例を基に語ります。裏側のサービスに関する発表もあり、AWSを知る人物だからこそのセッションとなりました。

機械学習初心者がワークショップに飛び込んでみた話
オートモーティブ事業本部の岡田 一起(おかだ かずゆき)はフルスタックエンジニアの目線から、re:Inventでの機械学習ワークショップに参加した感想をライトニングトークとして、まとめています。
機械学習関連のサービスがAWS上に続々追加されていて盛り上がりを見せており「業務に活かすために、そろそろ知っておかないととまずそうだ」と、危機感を感じてワークショップに参加したとのこと。

岡田「僕自身、機械学習の事前知識は本当に少なく『表情を認識できたり、キャラクタ画像が生成できたりする』といった程度でした。今回は僕のような機械学習の専門家以外でも理解できるワークショップが開催されていたので、急遽予定を変更して参加してきました。」
実際に飛び込んでみると、意外な気づきや発見がありました。まったくの未経験だとしても、なにかしらの形にはできるほどのものではあったそうです。
岡田「あるワークショップでは、実際に自動運転ロボカーを使用し、機械学習の1つである強化学習を実際に体験することができました。」
「また、別のワークショップではAWS上にすでにあるサービスを組み合わせて、カメラから人の表情をリアルタイムで認識して感情をスコアリングし、時系列のグラフをつくるなんてことを2時間で構築したりしました。」
re:inventでのワークショップへの参加は、新たな分野の技術獲得へ大きなきっかけとなったようです。
▲イベント内発表資料(カーソルを合わせるとページをめくれます)
最適なデータベース環境を考える
前半のトークセッションの最後にライトニングトークを行なったのは、オートモーティブ事業本部 モビリティインテリジェンス開発部クラウドチームを担当する森下 篤(もりもと あつし)。
「AWSが提示するDatabase FreedomからジャストなDBを考える」をテーマに、エンジニアにとって使いやすいデータベースについて語ります。

森下「Database Freedomとは、ユースケースに合わせたDBを選択する自由とDBインフラの運用から解き放たれる意味を示した自由とがあります。」
多くのデータベースサービスを持つAWS。複数のデータベースを紹介する中で、自分自身や組織にとってぴったりのデータベースを見つけることが可能となるのだそう。
森下「モビリティのサービスを運用する上では、オペレーションのために使える環境構築や将来的なスケールを考えた際の環境構築など、希望を踏まえた選択ができます。」
「現在時刻の車両分析や行動分析など、モビリティサービスの未来を考えた際のジャストなデータベースはそれぞれありそうです。」
さらに、今回新しく発表されたAmazonTimestreamが、モビリティのユースケースにマッチしそうだと期待を述べていました。
▲イベント内発表資料(カーソルを合わせるとページをめくれます)
クラウド移行の最適解となるか?「Transit Gateway」の特徴
イベント内では、ここで休憩を挟んで後半戦へ突入。後半1発目を飾るのは、システム本部IT基盤部ネットワークグループ矢島 大資(やじま だいすけ)のトークです。
「Networking for Cloud-Migration」として、社内のクラウド移行に役立つ情報を「re:Invent2018」内で見つけたのだそうです。

矢島「AWS Transit Gateway(※2)の特徴を見てみると、Routing Tableの分離が行え、最大5,000のアカウントを利用可能などといったものがあります。これにより、現時点でのベストな構築環境が見えてきました。」
※2……AWSが提供するAmazon Virtual Private Cloud (VPC) とオンプレミスネットワークを単一のゲートウェイに接続できるようにするサービス。
▲イベント内発表資料(カーソルを合わせるとページをめくれます)
Keynoteから広がるアイデアの数々
次にライブ配信にてセッションに参加したオートモーティブ事業本部スマートタクシーシステム開発部第三グループ花村 和弥(はなむら かずや)。
最近発表されたばかりのAWS新サービスを用いて、花村自身が広げたアイデアを語ってくれます。

花村「今回発表された「Amazon Timestream(※3)」を使うと、状況に応じてデバイスをコントロールしやすくなります。例えば、室内ライトやブラインドを天気などに応じてコントロールしやすくなるでしょう。」
※3……IoT および運用アプリケーションに適した、高速でスケーラブルな完全マネージド型の時系列データベースサービス
花村「また、FreeRTOS(※4)を組み込んだデバイス同士でペットの行動を分析したり、Amazon Textract(※5)を使って法例の自動判定をやるなど、アイデアを実現するために技術を知るという一点だけでも、Keynoteを視聴・体験する価値は大きいと感じます。」
※4……組み込みシステム用のオープンソースリアルタイムオペレーティングシステム
※5……電子化したドキュメントからテキストとデータを自動抽出するサービス
▲イベント内発表資料(カーソルを合わせるとページをめくれます)
学びを社内外に共有し続ける
今回は、合計7つのライトニングトークを交えて、イベントを開催。今後、社内のクラウド化に向けてさらに挑戦を続けるDeNA。
「AWS re:Invent 2018」での学びを社内外に共有しつつ、社内での開発もより良いものへと変化させていきます。
※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。
執筆:鈴木しの 編集:小野寺 琴美・榮田 佳織 撮影:本山 隼人