

DeSCヘルスケアと住友商事が合弁で立ち上げた『KenCoM』は、「楽しみながら、健康になる。」をテーマとした健康増進支援サービス。
日本では現在、国民皆保険制度により国民全員が少ない自己負担で医療を受けられますが、今後、膨らむ医療費を社会保障で支えることが困難になると予想されています。
そんな課題に対し『KenCoM』が目指すのは「健康寿命を延ばし、医療費の削減に寄与する」こと。
今回はそんな『KenCoM』に関わる人達の中でも2018年1月に立ち上がった、健康診断機関向けチームにスポットを当てます。
役割も経歴もバラバラなメンバーですが「事業を成功させる」という同じ目標に向かい、日々全力を出す様子はまるで大会で優勝を目指す部活のチームメンバーのよう!
熱く仕事に燃えるチームづくりのルールとは? マネジメント、営業、企画、開発担当の4人に語ってもらいました。
――チーム力を強化する上で、大事にされていることや意識されていることを教えてください。
高見 隼悟(以下、高見):まずはみんなの目線を合わせることですね。枕詞を揃えると言うか。
――枕詞を揃えるって、どういうことですか?
高見:役割が違うメンバー間でも、全員が「事業として」を枕詞に「どうやったらできるか」同じゴールに向かって話せるようにする、ということです。
自分の役割に閉じて発言していると「開発が遅れたから」「マーケの戦略が間違っていたんじゃないか」など他責な発言もでてきかねませんよね。そうなると事業も人も、成長しなくなってしまいます。
それではどうするのか、というとゴールを明確にするんですね。
口頭で伝えるだけではなく、資料として可視化します。全体のゴールとしてのKGI、営業、企画、開発のKPIを示したうえで、タスクとして、誰が・いつまでに・何を・どのように、ということを明確化しています。
そうすれば、全体のゴールに向かって、自分が何の役割を果たしていてどういう影響があるのかわかりやすくなってきますよね。

――大事なことですが、そこまで可視化ができているチームは少ないかもしれないですね。
高見:そうかもしれません。ただ、一番重要なのはその前に時間をかけてメンバーそれぞれと信頼関係をつくることです。そこには最も時間を割いていますね。
信頼関係も無いままに「これをやれ」って言われてもみんな反発しますから。
上條 孝二(以下、上條):さらっと言うけど、高見さんが僕らに費やしている時間は尋常じゃないんですよ。僕に対してだけでも半年のうちにかなり対話の時間を持ってくれました。飲みに行ったり、移動中にも雑談したり。そんな場を何回も持ってもらいました。
山田 大志朗(以下、山田):あと高見さんって「事業としてどうなのか」って繰り返し問いかけてきますよね。
高見:そうだね。何度も伝えてマインドセットしていくことは意識してるね。
山田:僕が「企画としてはこうです」と言うと、高見さんから即時に「その企画のKPIを達成したら、事業としてどうなるの?」と問われるんです。
「あれ、目線低かったかな」ってハッとしますね(笑)。日常的にそう話しているから、目線が引き上がっていきます。
――目線を引き上げた後に、自分の範囲外のことも考えられるよう心がけていることはありますか?
高見:良いことも悪いこともすべて共有していますね。
特に、失敗こそ共有すべきだと思っています。状況を全員で正しく把握して改善のアクションを早く取れたほうがいいと思うからです。
たとえば、営業成績は100件以上あるすべてのステータスをスプレッドシート上で可視化しています。エンジニアなど、他の職種でもチーム全員が常に営業進捗を見ることができる状態なんです。
本当は、営業担当は契約を取れそうな案件だけ報告したいと思うんですよ。だけど、うまくいかなかった理由を共有することで企画や開発に活かされる。逆に共有されないと実態がわからないので、お互い想像で間違った解釈をしてしまうことってありますよね。そうなると、本質的な課題改善に向かえず事業推進の助けにはなりません。
良いことも悪いことも共有して、それを前提知識としたうえで目標達成のためにどうするか皆で考えようよ、という感じです。
――それは、営業サイドとしてはどういう気持ちですか?
上條:初めは嫌でしたよ(笑)。みんなに何言われるんだろうって怖かったです。

――そうですよね。
上條:でも、やってみると営業活動がなかなか進捗しないときでも「それは営業が悪い」と他責にする人は誰もいなかったんです。
「じゃあどうしたらできるかな」と、達成に向けて開発や企画も一緒に考えてくれるんです。「こんな営業活動ができるんじゃないか」という営業へのアドバイスもあれば、「機能がこう改善したらいいのかも」という開発視点のアイデアも出ます。
今日もステータスを更新した5分後にエンジニアからメッセージがあったんですよ! 営業活動に関する改善提案でした。そうやって自分ごととして考えてくれているので、僕も奮い立ちますね。
――営業活動がうまくいっていないときは報告を躊躇しませんか?
上條:いい質問ですね(笑)。僕たちは報告に定型のフォーマットを利用しています。報告って表現次第で「進んでいるように」見せることもできますよね。プレゼンのようなものなので。
でも共有するフォーマットも決まっていると脚色もできない。「うまく報告しよう」と考える隙が生まれないんですよね。
現実を直視して、何が起きているのかを正しく把握しようという思考になります。
――みんなで同じ目標に対してまっすぐに向かえる土台を整えていっているんですね。
池松 恭平(以下、池松):そうですね。それから、高見さんは「事業を成功させる」意識がとんでもなく強いんです(笑)。
「事業を達成することは勝つことだ」と言っていて。「勝ち」にこだわる言動がとても多いですね。それが、みんなに影響してます。
山田:「勝つことは息を吸うことだ」と、高見さんはいつも言っていますよね。
一同:そうそう(笑)。
山田:しかも高見さんは言うだけじゃなくて自分で実行までできるし、本当にやりきる人だから。みんながやらないなら1人ででもやると思う。その熱量と本気度が周りに伝わるんですよね。
高見:勝ちにこだわるのは、もちろんそのほうが楽しいっていうのもありますが、何よりもみんなに好きなことをさせてあげるために勝ちたいんです。
スポーツでもそうだと思いますが、上手な人のほうが自由にやれますよね。結果を出すほど、自分の裁量を増やすことができるんです。
上條:高見さんは「勝ち」の質っていうか、中身にも手を抜かないですよね。単純に達成しただけでは喜んでくれないときがある(笑)。
高見:目標を達成したら、もちろん褒めることはします。が、その質が伴っていないと本当に悔しいんですよ! 勝ち方は大事ですね。
――目標は達成しているが、質が伴っていないというのはどういう状態でしょうか。
高見:たとえば営業目標を定めておいたとして、営業担当が目標値を達成したとします。
でも目標設定した際には正しかろうと考え設定した項目や数値が、実は事業の推進に対する影響は低いものだった、という経験があります。こうした時、数値達成は全力で褒めているのですが、自分がもっと早く思考できていればもっと意義のある活躍をさせてあげられたのに、と思うんです。メンバーにはその力があるのに、正しい方向に向かわせてあげられなかった自分が腹立たしくなりますね。悔しくて夜眠れなかったりもします(笑)。
――本当に悔しいんですね……! その悔しい気持ちはどうするんでしょうか。
高見:原因を特定して、新しいアプローチの仕方を検討します。その上でロジックに落として相手に対する「自分の行動」を変えますね。
自分の行動を変えないと事業は推進しないので。
――悔しいという感情を次のアクションに変えていくんですね。事業を推進する上でのアクションスピードも速いんでしょうか。
高見:速いと思います。僕がせっかちだからかもしれないけど。基本的に僕は、「今のこの人が普通にやったらこれくらいかかるだろうな」という見込みの半分ぐらいのスケジュールを伝えます。アクションに対し、2倍のスピードで負荷をかけるんです。現状の力を100%とすると、200%にストレッチするという感じですね。
――現状100%を200%にストレッチするのは、なかなかすごいですね!
山田:えっ! 200%もストレッチされているなんて気づいていませんでした(笑)。そう聞くとちょっと驚きますね。自分1人で頑張っても、いきなり2倍の速さで目標にたどり着くのは難しいと思います。でも高見さんのアドバイスをもらうと今まで考えつかなかった「できる方法」があったりする。成長を感じられるので楽しいですね。

高見:もちろん、ミドル層がやった場合の半分のスケジュールではなく、山田のように、新卒の社員がかかるであろうスケジュールの半分を設定して200%ストレッチするんです。
壁にもぶつかるだろうけど、そこでわからないことがわかるようになるのが成長。その繰り返しですね。
――他にメンバーをストレッチさせるために実践してことはありますか。
高見:目標設定というか、各メンバーへの問いかけは2週間単位で変えています。
2週間に1回、1 on 1でマインドセットして、メンバーがいい方向を向き始めたなと思ったところでまた次の打ち手を打つ。次の目標のマインドセットをして、またうまく行き始めたときに、次の打ち手を打つ。これを2週間単位でやっていきます。
――なぜ2週間なんですか?
高見:人って1カ月同じことしていると飽きるんですよ。組織では1カ月、2カ月単位で目標を設定しますが、個人では成長角度をつけることも考えて、2週間単位でそれぞれの今後のアクションを変えるコミュニケーションを取っています。
――どんなコミュニケーションを取るんでしょうか。
高見:上條、池松、山田では方法が異なりますが、難しい目標に対して「やれない」、「できない」という気持ちを受け止めるだけでは終わりません。「わかった。じゃあどうするの?」と問いかけますね。
彼らの中からできる方法を引き出す。そんなコミュニケーションをみんなにしています。
――チーム全体のパフォーマンスを上げる上で気をつけていることはありますか?
高見:それぞれのコンディションをフルスロットルの状態に保つことですね。
みんながフルスロットル、つまり全力を出せていたらその掛け合わせでチームとしてはすごい力になると思っています。
だから、彼らのコンディションやモチベーションが最も良い状態に保たれているかは、常に気にかけていますね。
なんか元気なさそうだな、行き詰まってそうだなと思ったらすぐ声をかけるし、必要であれば何時間でも話を聞きます。
上條:確かにそれはいい状態ですね!どういう人たちと一緒にいたら一番楽しいかを考えたら、全員がフルスロットルのときだと思いました。
高見さんには見抜かれているんですけど、僕は平均点以上取れていればいいかなと思っていたところがあって。でも、それくらいの力の出し方だと全然おもしろくないんですよ。
組織としてみんながフルで向かっているときはすごい相乗効果があるので、それを維持したいです。

高見:そうだね。僕はみんながやりたいことやらせてあげられる組織にしたいと思ってるんです。
やりたいですと言われて、やってみろとは誰にでも言えます。
けど、そこに予算を張ってあげられるのは、ちゃんと結果を出した組織と人だけ。誰がチーム入ってきても、頑張ったぶんだけ自分の想いを形にする機会と環境を与えてあげたい。だから勝ちたい。
そして勝つためには、難しい目標を達成するには、みんなが同じゴールに向かってフルスロットルの掛け合わせの力を出せることが必要なんです。
――熱い思いを感じます。スポーツに燃える青春漫画のようで楽しそうにも見えますね。
山田:そんなところはあるかもしれません。
事業計画を達成するという目標にみんなで向かっているので、「どうしたらできるのか」自分のこととして考えて実行に移せる人たちの集まりであり続けたいと思っています。
そんな思考の人だったら、新しくこのチームに入ってきてもとても楽しく働けると思うし大歓迎です。
池松:僕は、本気で勝ちに行くということを、口だけではなく、実行に移して結果を出せるチームにしたい。それだけです。
高見:1カ月前の池松は、そういうことを言語化する人ではなかったな(笑)。
池松:ちょっと前まではロジックの整合性に気を取られてましたね。でも今は、本気で勝つには何が必要か、どうやらなきゃいけないのかをまず考えようと、頭が切り替ったんです。
高見:こうやって人も、そして事業も成長していく瞬間に立ち会えるのがとても楽しい。
僕たちが目指すものに共感してくれて、フルスロットルな力を出したいという方にはぜひ仲間になってほしいなと思います。

DeSCヘルスケア株式会社 健診ビジネス部 部長 Biz Dev責任者
高見 隼悟
新卒で建築系コンサルティング会社に入社。独立して立ち上げた会社を売却。外資系IT商社で投資・海外ITツールの日本法人化。その後医療系事業会社で新規事業の責任者として3事業を立ち上げ、うち2社は退職後に子会社へ売却されている。2017年2月にDeNAに入社&DeSCヘルスケアに出向。健診『KenCoM』チームの責任者。

DeSCヘルスケア株式会社 ヘルスケア健診ビジネス部
上條 孝二
2017年4月、住友商事株式会社より出向。住友商事ではITベンチャー投資に従事。企業の評価にとどまらず実際に自ら事業を推進する力をつけたいと、DeSCヘルスケアへの出向に自ら挙手。健診ビジネス部では営業として新規顧客開拓をメインに担当。

DeSCヘルスケア株式会社 開発部 プラットフォームグループ グループリーダー
池松 恭平
2014年、ディー・エヌ・エー新卒入社。『チラシル』の開発に携わり、『趣味人倶楽部』ではリードエンジニアを務める。セキュリティレベルが高いものや開発規模のより大きなサービス開発を希望して、DeSCヘルスケアに出向。健診プロジェクトのリードエンジニアとして参画し、現在はプラットフォームグループのリーダー。

DeSCヘルスケア株式会社 ヘルスケア企画部
山田 大志朗
2018年新卒入社。学生時代に1年半、インターンシップで『KenCoM』のユーザー分析に関わる。入社を決めた理由は「一番燃える会社に行きたかったから」。ヘルスケアやオートモティブなど、日本の産業の変革に挑むことに興味を持った。入社後は、健診チームのプロダクトオーナーとして、健診『KenCoM』の企画や分析に携わる。
※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。
執筆:さとうともこ 編集:榮田佳織 撮影:小堀将生