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「DeNAって激務なんじゃないの?」高野秀敏(キープレイヤーズ)が聞いてみた|ホントはどうなの?DeNA#1

2018.09.03

「DeNAって激務で残業時間が多いのでは?」

「IT企業だし、社員は若い人が多いんじゃないの?」

「 仕事と家庭は両立できているの?」

などなど、転職先として検討する上で会社の実態を知りたくても、面接ではなかなか聞きにくいことってありますよね。

そこで、今回は日本を代表する転職エージェントとしてベンチャー・スタートアップ企業の採用支援を中心に活躍するキープレイヤーズ代表の高野 秀敏(たかの ひでとし)さんが登場。求職者の視点に立って、気になることをDeNAのヒューマンリソース本部でキャリア採用グループのマネージャーを務める、大西 絵満(おおにし えま)に斬り込んでもらいました。

求職者からのDeNAのイメージって?

高野

どうも。キープレイヤーズ、高野です。

大西

こんにちは。DeNAヒューマンリソース本部の大西です。

わー。なんだか緊張しますね。

高野

いやいや(笑)。今日のテーマはDeNAの実態を『さらけ出してもらう』ことなので、リラックスして、ざっくばらんにお話いただければ。

大西

わかりました! では、高野さん! 求職者の方々はいま、わたしたちDeNAに対してどのようなイメージをお持ちでしょうか? 転職エージェントをされている中で、リアルな声も聞かれていると思うのですが。

高野

うーん……(あれ、私の方が斬り込まれている?) 逆転オセロニアのようなヒットゲームやオートモーティブ事業に手を広げると同時に、もちろん、ベイスターズの存在もあって、知名度は抜群だし、優秀な方が多いという印象が定着していますね。ただ事業も会社も今、御社はものすごくメディアでPRをするようなフェーズでもないですよね。

実際、私も日々たくさんのニュースを追いかけていますが、御社の情報は比較的、少ない印象です。対して、最近はIT系のベンチャーやスタートアップの数が増えたことで、そうすると相対的に本当のDeNAの実態や魅力が伝わっているかというと、伝わっていないかなという気はしますね。

大西

なるほど。では、ぜひそのあたりも遠慮なく、ざっくばらんに斬り込んできてくださいね!

高野

わかりました!(なんだか形勢が逆転している……?)

斬込1:DeNAは本当に激務なのか?

高野

では、さっそくですが、DeNAといえば激務というイメージがあるようなんですが……残業時間は多いんですか?

大西

すごく生々しいところから、ですね(笑)

高野

はい(笑)。というのも、面接だと残業について聞くのはどこかタブー視されているのが現状です。採用候補者も気にされている点ですが、勇気を出して聞いても、きれいごとしか返ってこないので、結局、入社してから確認されることが多いんですよね。

高野

口コミサイトをのぞいてみても、本当に激務なのかはよく見えてこず悶々とする……。という声もよく聞きます。なので実態をぜひ伺いたいなと。

大西

はい。ではきれいごとなしで(笑)。確かに、かつては夜遅くまで働いている人も多く、私自身も終電ギリギリで帰宅することが度々ありました。ただ、年々残業時間は着実に減っているんですよ。ここ3年間で言うと、月間平均残業時間は2015年は23時間程度だったんですが、2016年は19時間20分、昨年の2017年は12時間13分、という感じの推移ですね。

高野

右肩下がりで減っていますね。これは何か具体的な取り組みを?

大西

はい。2013年あたりから『長時間労働を減らそう!』と経営陣発信で決まりました。これには経営陣、人事共に、「仕事で常に高いアウトプットを出し続けるために、健康管理時間をきちんと守って働こう」という想いがあったんです。

高野

お題目としてそう伝えるところは多いと思いますが、なかなか実態はついていかないのでは……。

大西

ですよね。だからDeNAではお題目で終わらせないよう、執行役員が責任をもって、長時間労働が続いてしまっているメンバーに理由を聞き、改善の流れをつくります。

担当執行役員が、必要ない長時間労働について現場と一緒に考えながら改善してもらう流れになっています。ただ『労働時間を減らす』と決めるだけではなく『こうすることで労働時間を減らしましょう』と具体的な行動につなげるところまで実施しています。

高野

そこまでするんですね。御社のように、受託事業型でなく自社事業型の会社は、比較的ワークライフバランスは実践しやすいと思いますが、事業の柱のひとつにゲーム事業がありますよね。新規事業もたくさんやられていますし。さきほど話も出ましたが、リリース前など深夜残業が発生しそうなイメージがあります……。

大西

はい。長時間労働のイメージ、ありますよね(笑)。

高野

ええ。意識しないと激務になりやすいというか。そんな中で残業を減らしているのはとても強い意思を感じます。

大西

たとえば、採用候補者の方でしたら、夜の面接などで弊社にお越しいただければわかると思います。20時以降はオフィスがガランとしていますから。もちろん、リリース前などで立て込んでいるチームもありますが、ほとんどが時期的な要因です。急な仕事がなければ、できるだけ早く帰社することが全社的には当たり前の感覚になっていますね。

高野

なるほど。適正な労働時間になってきているということですね。

斬込2:ガツガツ働いている人が多そうだけど、有休消化はされているの?

高野

ではこれはどうでしょう? 有休消化率!

大西

まず数字でいうと、昨年の正社員の有休消化率は83.0%です。

高野

昨年、日本企業の平均有休消化率は49.4%(※1)。平均と比較して大幅に上回っていますね。

※1....厚生労働省の平成 29 年就労条件総合調査による。
URL:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/17/dl/gaikyou.pdf

大西

『有休をしっかりとっていこう』という機運は、残業時間の取り組み以前から、高まっていたんですよ。有休取得を促す、1week off制度を利用して、例えば自分のプロジェクトが終わった後に「1週間海外旅行に行ってきます!」なんていう社員も普通にいます。あとは、2017年から副業を解禁させたことも、もしかしたら影響しているかもしれません。

高野

副業のために有休を使うのですか?

大西

いえ。実際に副業をするか否かは別として、会社の仕事以外の時間も充実させて、本業にフィードバックしてほしい、と人事から社内に伝えている、という流れもあり、有休が取りやすいと感じる社員も増えているかもしれません。

2017年度以降、会社の取り組みや人事施策を見直すなかで、『社員ひとりひとりが輝く』というのが大きなテーマになりました。その中で、個人が熱意を持って働ける環境をつくったり、会社の業務以外のコミュニティづくりや技術的な試みを支援したりする取り組みは避けられないなと。

高野

なるほど。その流れで、副業解禁があったと。

大西

ええ。正直、ドキドキしながらの解禁でしたけど(笑)。結果的には『副業での経験を本業に活かせている』とか『副業OKじゃなかったら会社をやめていたかもしれない』と話してくれる社員もいて、解禁して良かったなと実感しています。

斬込3:若い社員が多いイメージだけど、実際はどう?

高野

では、次の斬り込みへ。若くフレッシュな社員が多いイメージは、多くの方が持っている気がします。社員の平均年齢は、実際どれくらいなんですか?

大西

直近の2017年は34.6歳でした。ここ数年変わっていなくて、34歳〜35歳という感じですね。

高野

え、もっと若い方が多いのかと!

ちなみに新卒と中途の比率ってどれくらいになるのでしょう? 一般的に、新卒入社の方が出世が早い『新卒型』の会社や、優秀な中途社員を採用して経営陣に抜擢する『中途型』の会社など、その会社の方針やカラーがあるかと思うのですが。

大西

弊社は新卒が27%、中途が73%という割合ですね。ただ、どうかな......。この比率からみて高野さんがおっしゃる『中途型』の会社か? と言われると、その認識は、ほぼないんじゃないでしょうか。

高野

あまり、そんな“色”はない感じですか。

大西

はい。たとえば歴代のヒューマンリソース本部の本部長は中途入社社員が多かったのですが、現在の本部長は2010年DeNA新卒入社の社員です。いずれにしても、新卒か中途かという属性では誰も見てないし、感じさせない雰囲気はありますね。それは会社の方針でもあるんです。

高野

全社的な方針?

大西

そうですね。弊社は、一般的なピラミッド型組織ではなく、球体型組織だというイメージをもっていて、社員全員が「球の表面積」を担っているという共通意識が全社で浸透しています。

高野

「球の表面積」とは具体的にどういうことでしょうか。

大西

球には、見る面によって無数の真正面があるんですよね。誰もがその正面に立っていて、誰かの後ろに隠れることはできない。つまり、担当領域において、自分は自分の会社を代表する一人であると認識し「DeNAは私の会社である」という意識をもつことです。その中で、上司や立場の上の人の顔色を気にして仕事をするのではなく、自分の仕事自体に向き合い、行動することを大切にしているんです。

これには、社歴も関係ないんです。中途入社で日が浅い社員には小さな表面積。ベテランの社員には大きな表面積と、担う面積の差はあれど、全ての社員に入社したその日から表面積を担ってもらいたい。

大西

だから、属性によって「偏った見方をしない」んですね。性別や国籍、年齢、もちろん新卒か中途かも含めて、そういうステータスは関係ない。その人がもっている、世の中を喜ばせたいというパッションだったり、何かを成し遂げたいという強い想いを重視してみています。それは創業以来ずっと、一貫した信念ですね。

高野

おー。なるほど。それが全社的に浸透しているとはすごいですね。

大西

高野さんにそう言ってもらえると、嬉しいですね。ちょっと当たり前に感じすぎていたかもしれません。それくらいDeNAでは自然なことなんですよね。

斬込4:女性社員は、家庭と両立できている? 育休復帰率は?

高野

そう考えると、次の斬り込みは愚問かもしれませんが、女性社員の家庭との両立はできているのでしょうか?

大西

数字で言うと、昨年2017年の育休復帰率は91.7%になります。

もっというと、復帰してない8.3%というのは「1人」なんですよ。それも規定上、育休は「本人希望」で2歳半まで延長可能なので「もっと育児に向き合いたい」という理由でお休みをとっているんですね。

高野

おお。すごいですね。では、出産をきっかけにやめるという選択をした方はゼロだと。

大西

もうここ数年、ずっとゼロです。最近はマネージャーや、多くの男性社員が育休を取っているということも特徴的です。ちなみに、私自身、昨年4月に育休から復帰しました。子どもを育てながら仕事を頑張る社員が増えているなかで制度面も手厚く、『育休復職サポート手当』(※2)や『ベビーシッター補助』制度(※3)など、本当に充実しています。

※2...産前・産後休暇を取得した女性社員、または連続して2ヶ月以上の育児休業を取得した男性社員の復職に際し、子どもが満1歳6ヶ月になるまでの間、保育料として子ども1人あたり毎月2万円を支給する制度。
※3....入会金、利用料の一部を会社が負担する形で、会社が提携している病児/通常保育を行っているベビーシッター会社のサービスを安価で利用することができる制度。

▲育休明け前の社員に実施される「育休ワークショップ」の様子。大西は育休からの復帰経験者として、アドバイザーとして参加。
高野

これは今のトレンドでもありますが、『個々人に合わせた多様な働き方ができる』ニーズが高まっています。求職者の方にヒアリングすると『リモートワークができる職場』や『育児制度が充実している職場』を求める傾向があります。先の副業解禁、福利厚生も個人によりそったものになっていますね。

大西

福利厚生に限らず、DeNAの社風かもしれませんが、社員の声から制度や施策が進んでいいくことが多いんです。逆に「これはいらないでしょ」と廃止される制度もあって、人事制度をつくったり、運用したりしていく側としては気を抜けないのですが(笑)。

高野

そういう姿勢も含めて、個々人に合わせた対応をされているんですね。

斬込5:平均勤続年数はどれくらい?

高野

勤続年数はどれくらいの方が多いのでしょう? これも求職者の気になるところだと思います。

大西

今は約4年ですね。これに関しては、よく『短い』と評されてしまいます(苦笑)。

高野

これはどう分析されています?

大西

ぜひお伝えしたいのですが、実は4年前にちょうど人事制度を刷新し、採用を強化したタイミングだったんですね。特に2016年以降、それまでの年よりも約100〜200名も多く入社したので、全体平均の勤続年数が短くなっているんじゃないかなと思っています。

高野

今、採用マーケット全体でもエンジニアの求人案件が多く、エンジニアは引く手あまたの状況です。IT界隈では更にエンジニア採用が激化し、転職する機会自体も増えている。他の業界と比較すると、エンジニアの離職率は一般的に高いでしょうね。

大西

やはりエンジニアの方の転職や独立が多いのは、IT業界の常なのですかね。ちなみに、いわゆる『出戻り社員』が多いことは、弊社の特徴かもしれません。

高野

ほう! 一度やめた方が御社に再入社するということですよね?

大西

はい。よく聞くのは、一度DeNAを辞めて他社に移った。けれど、そこで改めてDeNAの環境の良さや人材のレベルの高さに気づいて、帰ってきてくれるというパターンです。また、自分で起業するために卒業した人が、資金面や環境面、人材面で難しさを感じて、『DeNAという環境で新規事業をつくるほうが実現性が高いな』と感じて戻ってくるケースもあります。

高野

出戻りが多いというのはいい会社の証拠ですよね。もっとも、御社の場合はオートモーティブやヘルスケア事業にしろ、数年経つとまったく違う事業を手がけ、スケールさせている。『もとにいた会社に戻る』というよりも『DeNAがまたおもしろいことやっているので、戻ってみよう』という方も多いのかもしれませんね。

大西

そうですね。そんな風に出戻る方を多くみてきたので、最近はよく『OK。たぶん、一度離れたほうが私の良さがわかるから』と“いいオンナ風”に捉えることも(笑)。そういう人達が戻ってきたいと思ってくれるような会社を作り続けようと強く思っています。

高野

すてきですね(笑)。実際、オートモーティブやヘルスケア、インキュベーション領域の新規事業などは、数十億円の投資をして手がけるチャレンジングな事業ですよね。しかも、すぐ明日にでも結果を出せ、というスタンスではなく、じっくり育てようとしている。そういう恵まれた環境は、なかなかないと思います。


高野

いろいろ伺ってきましたが、ちょっとDeNAのイメージが変わりましたね。

大西

どんな風に変わりましたか?

高野

しっかりと個人に寄り添った人事施策を用意していて、オープンでフェアな経営を意識されている。と同時に、チャレンジングなベンチャーらしさを残しているのはこのサイズの企業ではすごいことだと思います。いやー、本日はいろいろと本当のところが知れました!どうもありがとうございました。

大西

ちょっと喋りすぎましたかね(笑)こちらこそありがとうございました!

株式会社キープレイヤーズ代表取締役 

高野 秀敏

株式会社インテリジェンスに新卒入社後、2005年に株式会社キープレイヤーズを設立。3,000名以上の経営者の相談と、10,000以上の個人のキャリアカウンセリングを行う。また、30社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。

株式会社ディー・エヌ・エー ヒューマンリソース本部
キャリア採用グループマネージャー

大西 絵満

2009年 DeNA中途入社。大学で臨床心理学を学んだ後に、音楽メディア企業での営業職やアーティストマネジメントを経験。DeNAに入社後は広告事業の企画・営業、新規サービス立ち上げ、ソーシャルゲームのプロデューサーを経て、人事に異動。人事では全社の人材最適配置、組織開発、人材育成から、キャリア採用のマネージャーと幅広く担当している。また、現在はEAPメンタルヘルスカウンセラーとして社内外の就業者支援を行っている。

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

執筆:箱田高樹 編集:下島夏蓮 撮影:小堀将生

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