

はじめまして。株式会社ディー・エヌ・エー CHO(Cheef Health Officer)室 室長代理の平井 孝幸(ひらい たかゆき)です。今回からスタートする「CHO室だより」。IT企業で働くみなさんの健康に役立つ、CHO室の取り組みを発信していく連載です。
IT企業=働きすぎのイメージって、どこかでお持ちですよね? そのイメージを払拭し、社員一人一人が心も体も元気で働けるように、DeNAで健康経営を始めました。健康への取り組みで、社員の持つ本来の力を発揮できる組織にしたいと考えています。
第1回はオフィスワークにつきものの腰痛・肩こりへのアプローチとして、腰痛研究の権威である東京大学医学部附属病院の松平 浩(まつだいら こう)先生が考案した3秒体操をご紹介します。
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社員の健康と笑顔のために発足したCHO室
その前に少しだけ自己紹介も兼ねて、部署の紹介を。
私が所属しているCHO室は、DeNA社員の健康サポートを担当する専門チームです。「一緒に働いている仲間には、全員が健康でいてほしいし、みんなが元気で笑顔でいてほしい」という思いのもと、2016年1月に設立されました。
社外の専門家の協力を受けながら、呼吸法ワークショップや睡眠スキルアップセミナーを開催したり、独自のガイドラインに沿って作った健康的で美味しいお弁当を販売したり、オフィスチェアのメーカーと共同で姿勢改善プロジェクトを進めたり……。社員からのリクエストや定期アンケートの結果をもとに、健康にまつわるさまざまな活動を続けています。
CHO室の取り組みについてはこちらの記事『社員の生産性が約40%もアップ。「座り方」からDeNAを変える、姿勢改善プロジェクトとは?』でも詳しく紹介されているので、興味のある方はぜひご覧になってみてください。
腰痛・肩こりで約7割の社員の生産性が低下していた!
CHO室は「食事」、「運動」、「睡眠」、「メンタル」の4つをメインテーマとして活動しているのですが、なかでも大きな問題として捉えているのが、運動不足やオフィスワークでの姿勢の悪さによって生じる腰痛と肩こりです。
2015年に行ったDeNAの全社アンケートでは、約70%の社員から腰痛・肩こりが原因で業務効率が低下しているという回答を得ました。
とりわけ1日のほとんどを椅子に座って過ごすエンジニアやクリエイターに悩みを抱えている人が多く、中には腰の痛みのあまり数日間タクシーで通勤せざるをえなかったり、1週間会社を休んでしまったりといった社員もいます。
もちろん仕事の生産性だけに限った問題ではなく、痛みを我慢して放置したままでは他の疾患につながることもありますし、10年後、20年後のその人の働き方や日常生活にも悪い影響を与えかねません。
そこでスタートしたのが、「腰痛撲滅プロジェクト」。その一環として、前述の松平先生にご協力いただき、腰痛改善のためのセミナーを先日社内で開催しました。

今回の腰痛改善セミナーは、内容はもちろんのこと、先生がわかりやすく熱心に説明してくださったこともあり、参加したDeNA社員の97%が「満足」または「やや満足」と回答。「3秒体操ならずっと続けられそう。仕事の合間に習慣化したい」、「早速腰痛がちょっと改善した」、「もっと長い時間セミナーをやって欲しかった」といった声が集まりました。
今回はセミナーで大好評だった、松平先生が考案された3つの体操をご紹介したいと思います。いずれも場所を選ばず3秒程度で簡単にできるので、腰痛・肩こりを予防・改善したい方はぜひお試しを!
簡単に続けられる! 腰痛・肩こりをラクにする3つの体操をご紹介
1.「これだけ体操」
最初にご紹介するのは「これだけ体操」。名前の通り、やり方はいたって簡単です。
STEP
1)足を肩幅よりやや広めに開いて立ち、手は腰に。両手をできるだけ近づけます。
2)息を吐きながら3秒間腰を反らします。


平井
POINT
この時のポイントは膝を曲げず、胸を張りながら肩甲骨を背中の真ん中に寄せること。さらに骨盤を前に入れるイメージで行うと、髄核(椎間板の中心にあるゲル状の組織)が本来あるべき位置に戻され、腰痛を予防する効果があります。
ただし、既に腰痛の自覚症状があり、腰を反った時にお尻から太ももの下に痛みが走る方は椎間板ヘルニアなどの可能性もあるので、無理をせず中止して医師に相談するようにしてください。
2.「肘ぐるぐる体操」
2つ目は「肘ぐるぐる体操」。肩を回すことで肩甲骨の可動域を広げ、腰痛の原因の1つとなる猫背を防ぐ効果があります。
こちらもやり方は簡単。
STEP
1)椅子に座った状態で足を肩幅に開き、両手の中指を肩の一番出っ張ったところにあてます。
2)両肘を前に上げ、後ろ向きにゆっくり大きく肩を回しましょう。


平井
POINT
腕を回すときは、肘の先にあるキャンパスに円を描くようなイメージで!
中指を肩にあてるのが難しい場合は鎖骨のあたりに手を添え、無理のない範囲で肘を動かして肩を回しましょう。
3.「美ポジ体操」
最後にご紹介するのは「美ポジ体操」です。背中の筋肉や体幹がストレッチされ、腰痛の予防・改善につながりますよ。
1)両腕を頭の真上に上げ、片方の手の平をもう片方の手の甲に添えます。
2)高く高く引っ張られるようなイメージで背筋を伸ばします。
3)2秒程度その状態をキープしたら、肩の力を抜きながらゆっくり腕を下げていきましょう。


平井
POINT
両手を上にあげたら、目線はまっすぐ前。腕を下ろすときは斜め45°に視線を下げます。ちなみにこの「美ポジ体操」には、肘やひざ、首まわりの筋肉をストレッチするパートも。YouTubeには松平先生ご自身が実演されている動画もあります。興味のある方はぜひ視聴してみてください。
今回のセミナーだけでなく、CHO室の理学療法士が松平先生のメソッドを学び、腰痛・肩こりの悩みを抱える社員向けにマンツーマンで体操を教える取り組みも行なっています。
社員の健康を、気軽に・楽しく・わかりやすくサポートしたい
常に社員1人1人の目線を忘れないこと。
社員の健康サポートに取り組むうえで、CHO室がとても大切にしていることです。今回のセミナーもそうした思いから実施しました。たとえば、腰痛撲滅プロジェクトにしても、どういう成果が出るのかもわからない状態で「今日から全社的に始めるので参加してください」とアナウンスしても、何かと忙しい社員からすれば関心を示しにくいと思うのです。
加えて、DeNAは20代から30代の比較的若い社員が多いので、健康診断の受診率やBMIを健康管理の目標として設定しても、あまりピンとこないという事情もあります。
あくまでもサポートを必要としている従業員に向けて、気軽に・楽しく・わかりやすく。今後も、社員が負担を感じずに気軽にトライできるような仕組みづくりを考えていきたいと思っています。CHO室だよりでもその模様を発信していく予定です。どうぞお楽しみに!

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。
執筆:斎藤良 編集:下島夏蓮 撮影:小堀将生