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「“記名式”の360度フィードバックで改善サイクルを早める」社員を輝かせるDeNA人事のポリシー|フルスイングmeetup!! レポート

2017.11.08

去る10月25日、渋谷ヒカリエ24階 DeNA社内にあるサクラカフェにて、当社主催による「フルスイング meet up!!」が行われました。外部の人事担当者や人事希望者に向け「DeNAのヒューマンリソース本部がこれまで何をしてきたのか」を紹介する今回の催し。会場には70名弱の参加者が集まり、活気ある時間を共有しました。

■登壇者

執行役員 ヒューマンリソース本部長 對馬誠英(つしま まさひで)

ヒューマンリソース本部 企画分析部 ピープルアナリティクスグループ マネジャー 友部博教(ともべ ひろのり)

ヒューマンリソース本部 ブランディンググループ マネジャー 野崎耕司(のざき こうじ)

今回は、イベントに来られなかった方に向けて、イベントのまとめレポートと、特に来場者の皆さんから質問が上がっていた「2S2B(2ストライク2ボール)」や「360°フィードバック」、「シェイクハンズ」などDeNA人事オリジナルの取り組みを掘り下げてお伝えします。DeNA社員の能力とやりがいを引き出し、仕事に“フルスイング”してもらうため、ヒューマンリソース本部が取り組んできた施策をご覧ください!

(記事末尾に、当日のプレゼンテーション資料を公開しています)

人材をいかに埋もれさせず輝かせるか

執行役員 ヒューマンリソース本部長 對馬誠英

最初に登壇したのは對馬誠英。「楽しい雰囲気で、リラックスしながらお話ししていきたいと思います」と言い、この日ホットな話題だった日本シリーズ(横浜DeNAベイスターズが進出)にも触れてトークセッションを開始。参加者の緊張をほぐしてから、まずは自身のプロフィールとDeNAの事業について話しました。

ゲーム、エンタメ、Eコマース、その他のネットサービスなど、すべての事業をじっくりと紹介。そして、話題は本題に移り、「DeNAはどんな人材を採用し、どのように育てているのか」について解説します。

表題となったのは、「優秀な人を採用し、いかに埋もれさせず輝かせるか」。

「優秀な人を採用する」ためには、「事業部を巻き込むこと」が重要なポイントのひとつとなります。事業メンバーに参加してもらうことで、求職者に現場の雰囲気や生の声を伝えられ、認識齟齬を無くすことができるのです。例えば、エンジニア・デザイナー向けのイベントは、直近3か月で30回以上も実施。この回数にも、優秀な人材を見つける意気込みが表れています。

「こうした施策は採用を成功させるためには必要なことです。また、事業部発のリファラル採用も積極的に行なっています」と続けた對馬。人事は、あくまでもこれらの施策のサポートをする役割であると、言葉を続けます。

また、「いかに埋もれさせず輝かせるか」については、月一回全社員対象で行なっている「キャリアマネジメントアンケート」を紹介。「やりがいを感じるか」「能力を活かしているか」という問いに対して社員に回答してもらい、モチベーションの見える化を図っています。

DeNA社員約2000人に聞いたアンケート(2017年8月集計結果)は、上のような結果に。社員の大多数が満足度の高い現場でパフォーマンスを発揮できている証拠です。ですが、「将来的には、このグラフを真っ青にしたい(全員が熱意を感じている状態にしたい)」と對馬は続けます。

マネージャー支援の取り組み

そんな熱意を引き出すのに欠かせない存在といえば、部署やチームを統括するマネージャー。DeNAではマネジメント強化のために、上のような取り組みを行っています。また、「マネージャーには学ぶ意欲のある人材を抜擢することが大切」だと對馬は語りました。なぜなら、「そういう人であれば、自走してくれるし改善もしてくれるから」。マネージャー人材の見極めに欠かせないポイントなのです。

併せて、ヒューマンリソース本部は65%が事業部出身のメンバーであることも解説しました。「事業会社の人事は、事業をよくわかっている人間のほうが良い」というポリシーから、そうした構成となっています。

また、組織開発のための取り組みとして紹介したのは、ダイレクトフィードバック文化。DeNAでは、「360°フィードバック」という、社員同士で評価をする“記名式”のアンケートを行っています。「(記名式にすることで)改善するサイクルが早まり、その後のコミュニケーションも活発になります」と投影したのは、他の社員から對馬に寄せられたフィードバックシート(上スライド)。「私はちゃんとマネジメントしているので、グラフが青いですね(笑)」と、ユーモアを交えながら実際のフィードバックシートを紹介しました。

組織開発を促進する「2S2B」「360°フィードバック」とは?

對馬:組織開発を促進するフィードバックの仕組みとして、DeNAでは「2S2B(2ストライク2ボール)」「360°フィードバック」という制度を導入しています。

2S2Bは、チームメンバーなどに集まってもらい、お互いの良いところ悪いところをそれぞれ付箋(ふせん)に書き、ホワイトボードに貼って議論し合う制度です。フィードバックされる人はいったん部屋を退出し、部屋に残った人たちが青い付箋にストライク(良い部分)と赤い付箋にボール(悪い部分)を書きます。その後、フィードバックされる人は部屋に入り、自分がどんなコメントをもらったのかを確認。お互いに内容をディスカッションし、今後の業務改善に活かします。

360°フィードバックは多くの会社で実施していると思いますが、DeNAは“記名式”であるという点に特徴があります。「誰にどういうことを言われたか」がダイレクトに伝わることで、自分の課題や改善すべき点が明確になり、より改善のサイクルが早まるのです。こうした点にも、DeNAの「透明性」を大切にするというカルチャーが生きています。

より“フルスイング”できる体制構築のため、HRが実施した取り組み

現在、DeNAの社員数は2400名。對馬は「これくらいの企業規模になってくると、徐々に人材が埋もれる、目が行き届かないということが起こり始めます。だから、これまでとはやり方を変えなくてはいけません」と語りました。

そこでチャレンジしているのが、上の取り組みです。「DeNAは昔から『人は仕事で育つ』と信じてやってきました」と前置きして紹介したのは、「大黒柱を引っこ抜く」という方法。これは、事業の責任者など、重要な人材(大黒柱)をあえて現場から外すという意味です。

「『そんなことして大丈夫なの?』と言われますが、大丈夫です。私が知る限り、ダメだったことは一度もないんじゃないかな。大体は誰かが成長して、きちんと穴を埋めてくれます」と、對馬は説明。「人材を信じて、思い切ってやってみるのが大事なんです」と続けました。

さらに、本人の合意と希望異動先部署の上長承認があれば、現部署の上長承認なしに異動できる「シェイクハンズ制度」を、実際に使用されている合意書を見せながら紹介。この夏から本格始動した制度ですが、事例はすでに20件以上。「すべての合意書に目を通していますが、熱い内容が書かれていますね。多くの社員がキャリアをしっかり考えるキッカケになったようです」と對馬。

シェイクハンズ制度を導入した意義

對馬:もともとDeNAではキャリア公募制度のようなものがあったのですが、「その制度は本当に社員のニーズに沿えているだろうか?」という疑問を私たちは持っていました。より良い制度にすべく議論を重ねた結果、社員の熱量を高める仕組みとしてシェイクハンズ制度が生まれたんです。

この制度では、受け入れる側も育成にコミットしなければいけないですし、行く側も自分が成長して輝けるビジョンを持てなければ異動は成立しません。多くのメンバーにとってシェイクハンズ制度はキャリアを真剣に考えるきっかけになったようです。

「今までなんとなく仕事をしてきたけれど、この制度ができてから自分の強みを棚卸してみました」とか「キャリアをどう積み上げていくか真剣に考えました」という声が多くの社員から上がっており、熱量が高まっていることを実感しています。

そしてさらなる成長を目指すため、ヒューマンリソース本部に新部門を設置したことを発表。「ピープルアナリティクス」は友部、「ブランディング」は野崎が責任者であることを紹介し、2人が壇上へ。それぞれ部署の紹介を行いました。

ヒューマンリソース本部 企画分析部 ピープルアナリティクスグループ マネジャー 友部博教

会社の状態把握をするには、人事の経験や勘に頼るのももちろん大切ですが、科学的な分析も必要。そこで立ち上がったのが「ピープルアナリティクス」です。この分野は、DeNAに限らず世界的なトレンドとなっています。

情報理工学の博士という経歴を持つ友部は、データ分析のスペシャリスト。同部門では、最良なコミュニケーションスタイルやベストなチーム編成、退職予測などをAIやデータ分析により見つけ出し、社員がフルスイングできる環境を構築していきます。

また、そのために実施しているフローも公開。アンケートなどでKPIを可視化し、結果と目標値の差分を確認したりズレの要因を分析したりして、施策の改善に務めています。「ピープルアナリティクスは下支え」と語る友部。こうしたプロセスで導き出されたデータは、社員の能力ややりがいを引き出す土台となっていきそうです。

ヒューマンリソース本部 ブランディンググループ マネジャー 野崎耕司

「ブランディング」は、「熱意ある社員がたくさんいることを、もっと社内外に発信しよう」というミッションのもと立ち上げた部門です。野崎は「コミュニケーションと人事に長けたハイブリッドなチーム」と解説。同部門は、制度設計から社内外へのコミュニケーション(イベントや自社メディア、社内報への寄稿など)までを一貫して実施します。

もともとブランディングが専門領域であり「“作る”と“発信する”はセットで実施すべきで、それはHRにおいても同じ」とかねてから考えていたという野崎。こうした施策を実施することで、採用にもレバレッジが効き、いい人材とより出会いやすくなるメリットがあります。

また、「DeNAの取り組みや人を世の中にシェアしていくことで、社会全体にそういう人(フルスイングな人)を増やしていきたい」というビジョンを持っています。こうした情報発信は非常に意味のあることであり、今後も積極的に実施していくと語りました。

また、「副業制度」のほか、社内の別部署の業務も行える「クロスジョブ制度」も実施中。フルスイングな熱量を多方面に拡散していく試みを行なっています。「今後は、よりフルスイングできる環境をつくるために、例えば社内求人メディア、個人キャリアの見える化なども実施していきたい」と、10以上の案を伝えた野崎。フルスイングプロジェクトの広がりを感じられる時間となりました。

フルスイングの熱量は、社内へ、そして社外へ

そして質疑応答を経て懇親会へ。懇親会でも、熱心に質問をする参加者の姿が多く見られました。この会を通して、多くの方の心に熱意が芽生えたならば嬉しいです。「全力でバットを振る」という想いが込められたフルスイングプロジェクト。その熱量がDeNA社内へ、そして社外へも広がっていくことを、私たちは夢見ています!

<当日のプレゼンテーション資料はこちら>

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。
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