組織・働き方

【AIにオールインの現場】 社員のAI活用術を突撃取材!から3ヶ月。AI活用の進化を追う

2025.07.17

「AIにオールインする」

DeNAが掲げたこの方針の下、開発の最前線では一体何が起きているのか。5月に公開したYouTube動画では、ビジネス(事業開発)、デザイナー、エンジニア(コーディング)、それぞれの現場社員への突撃取材により、リアルなAI活用術を紹介。そこから見えてきたのは、AIとバディ(相棒)として付き合い、開発効率を3-4倍に導く方法でした。

突撃取材から3ヶ月──。

AIの目覚ましい進化のなかで、現場はどう変わっているのか。その後のAI活用最前線を追加取材しました。

※本記事では、DeNAの公式YouTubeチャンネル「事業家のDNA〜事業家を目指すあなたへ〜」で配信した内容の一部をテキストとして編集し、その後の進捗を追いかけています。(2025年5月7日配信分「【効率4倍!?】「AIにオールイン」DeNA現場社員のAI活用最前線に突撃!AI活用による効率化の実態とは?新規事業 / ドキュメンテーション / デザイン / コーディング」より)

新規事業立案における「リサーチ」「情報整理」「情報出力」のプロセスでAI活用。その後

ーー事業開発を担当されている陶山さんは、「リサーチ」「情報整理」「情報出力」においてAIを活用されていると紹介されていましたね。具体的に教えてください!

陶山: まず、簡単なリサーチには「Felo」を使っています。「マッチングアプリの市場規模」といった簡単な問いに対して、日経の記事や個人のブログなども含めて、素早く概要をまとめてくれます。


もう少し深いリサーチをしたい時は「Grok」ですね。プロンプト(質問内容)をAIが理解して、アウトプット情報が不十分であれば、AI自らがプロンプトを考え直しながら検索を繰り返してくれるツールです。検索を繰り返すことで、精度を上げてくれます。

さらに深いリサーチでは「ChatGPT」のDeep Research機能が優秀です。リサーチ対象の固有名詞(具体的なサービス名など)やエリア等をプロンプト入力時に明示しておくことで、探索範囲を制限できるのでリサーチの質が格段に上がります。そのためにも、簡単なリサーチから段階を踏むのがコツです。

情報を整理するときは「NotebookLM」を使っています。活用法は、Grokへ「XからAIの利用に関する安全性に関して有益なポストをしている投稿を教えてください」と質問して、投稿情報を得た後に、NotebookLMでその投稿主が発信しているニュースレターを収集しています。

そして、例えば収集したニュースレターのなかで「バイブマーケティング」というトピックが気になったとしたら、バイブマーケティングについて扱っている情報から取捨選択して自分なりのソース源として保存していきます。従来より広範かつ迅速にマーケティング手法を調べることができます。また、情報出力の際も、「広告画像には使えないけど、オーガニックのInstagramの投稿にはGPT-4で充分です」といったアドバイスを得ることができます。

事業戦略立案には「Obsidian」と「Cursor」です。AIリサーチで得た情報やテキストデータをPCのローカル環境にどんどん保存しておき、Cursorでコンテキストとして参照して対話を通してドキュメントを作成していきます。

この画面のように、参考にしたい書籍を指定すると、書籍の内容を参照して事業戦略を出力することもできます。

ーーあれから3ヶ月。活用事例の進捗や、今注目しているツールを教えてください!

陶山:情報整理では、ChatGPTのプロジェクト機能、チャット履歴記憶機能、o3モデルの組み合わせを基本的には使うようにしています。記憶の索引精度も優れていますし、検索ツールの操作においても、賢さと速さのバランスが優れていると思っています。

▲ChatGPTのプロジェクト機能。プロジェクトに関する重要なFileを要約して保存し、最新モデル(o3, o3-pro)を活用できるようになった

あとは、NotebookLMの音声概要機能(ポッドキャストのような音声コンテンツを生成する機能)は、移動中に“ながら聞き”で概要を把握できるので重宝しています。

[New]ChatGPTのプロジェクト機能とチャット履歴参照機能(情報整理・リサーチ)
プロジェクト進行において必要な会話・資料・タスク管理を一元管理できるワークスペース。資料がバラバラに散在してしまうことを防ぎ、業務の流れを可視化・最適化することができる
Felo(簡易リサーチ)
日本発の、無料の日本語AI検索エンジン。AIプレゼン作成、マインドマップ、文書読み取り、画像生成などができる

・使用方法:簡単な質問を入力する
(例:マッチングアプリの市場規模)
・活用例:日経新聞や個人のブログなどの概要を迅速にまとめてくれる
 Grok (深掘りリサーチ)
X(旧Twitter)が提供する、LLMに基づいた対話型AIチャットボット。質問への回答、問題の解決、ブレインストーミングなどを支援してくれる

・使用方法:少し複雑な質問を入力する
(例:「広告流入後の顧客リテンションを高めるためのLLM NativeなCRM Toolを教えて下さい」と入力)
・活用例:AIが探索を繰り返しながら、アウトプットの精度を上げてくれる
ChatGPTのDeep Research (深掘りリサーチ)
米OpenAI社によって開発された、信頼性の高い情報をもとに回答を生成するための対話型AIチャットボット。日本語での出力も指定可能

・使用方法:リサーチ対象の固有名詞や範囲などを明示した上で、複雑な質問を入力する
・活用例:個人のプロジェクトを含めて、深いリサーチに活用
NotebookLM (情報整理・リサーチ)
Google社が提供する、AIを活用したノート作成・管理ツール。アップロードしたドキュメントをAIが整理・分類・管理することで、情報検索を効率化してくれる

・使用方法:気になるテーマのニュースレターを収集し、得た情報を独自に整理する
・活用例:マーケティング手法について学んだ情報を管理したり、情報出力における注意点を調べたりする
[NEW]音声概要機能なら移動中などに、ポッドキャストを聞くように耳から情報を得られる
Obsidian(ドキュメント作成)
マークダウンエディタ兼ナレッジベースアプリ。ノート同士の繋がりをグラフとして可視化することができる

・使用方法:参照してほしいデータと、出力したい情報を入力する
(例:「◯◯という書籍と〇〇という書籍の内容を考慮して、◯◯という手法の事業戦略を考案して下さい」と入力)
・活用例:調べた情報や書籍の内容を参照して、事業戦略を立ててくれる

デザイナーを支える「イラスト生成」「ペルソナ設計」におけるAI活用

ーーデザイナー組織を統括している久田さん、「イラスト生成」「ペルソナ設計」におけるAI活用について詳しく教えてください!

久田: チーム内でデザインの方向性を議論する際の、ラフ画作成にAIを活用しています。同じキャラクターを使っていても世界観によって印象が変わるので、「こういうイメージはどう?」と、いろんなバリエーションのラフ画を生成して比較しています。従来は参考画像を探してきて無理やり貼り付けていましたが、自分でラフ画を作成して比べられるので、格段に効率化されました。

なかでも、画像生成ができる「ChatGPT」はかなり使えます。イラストの概要とサービスのブランドイメージを言語化したキーワードを入力するだけで、複数のイラスト案を一気に出してくれます。

▲ChatGPTがブランドイメージから生成したラフ画

実際に生成したものがこちらですが、これを見て「ちょっと配色がポップすぎるな」と思えば、「自然な色にして」などと追加で指示します。さらに「UIで使うから背景を透過して」とお願いすれば、すぐに使えるデータが完成です。ほぼ3ステップでラフ画が完成するので、すごく効率的ですよね。

ただ、あくまでこのラフ画作成は社内検討用で、世に出すものはプロのイラストレーターさんに発注しています。クオリティ面では、プロフェッショナルへ依頼した方が細かいニュアンスの表現などが優れていると思っています。

他には、ペルソナを考えるときにイメージを沸かせるために顔写真を用意するのですが、その顔写真を画像生成AI「Midjourney」で作ったりしています。

▲Midjourneyでペルソナ検討用に作成した顔写真 ※掲載の顔写真は架空のものであり、個人情報ではありません

Geminiで動くワイヤーフレームを制作し、UIデザインを視覚的に確認・共有

ーーあれから3ヶ月。活用事例の進捗や、今注目しているツールを教えてください!

久田: ChatGPTのイラスト生成事例で紹介したラフ画から複数のバリエーションを展開したり、サービス紹介用にコンテンツ制作の初期アイデアをつくる際にも利用するようになりました。

また、「アートディレクション」や「UI設計の壁打ち」でもChatGPTを活用しています。ブランドやデザインの方向性を議論する際に、初期アイデアの言語化やキーワード整理に役立ちますし、画面要件の整理やマイクロコピーの提案といった、プロジェクト全体の具体的なアウトプットやプロセスの効率化、議論の質向上にも寄与してくれています。

Midjourneyの活用では、服を変更するといったラフイラストの微調整が簡単になりました。「動画生成機能」が追加されたので、UIデザインのプロトタイプにおける動くアイコン(マイクロアニメーション)制作にも取り組んでいます。

前回紹介できなかったツールの紹介をすると、「Gemini」にラフスケッチや改善したい画面のキャプチャを入力して、動くワイヤーフレームを生成する用途で使っています。特に画面の初期検討で、インタラクションを含めたUI設計のディスカッションをするのに役立っています。

細かいデザイン作業の自動化やツールの自作には「Claude Code」を活用しています。具体的には、SVGアイコンのバリエーションを大量に作るツールや、動画の背景色を手軽に変更するツールを作成しました。最初はターミナル画面がとっつきづらかったのですが、慣れたらむしろテキストだけで指示できて効率的だと感じています。こうした少しの工夫で劇的に作業時間を短縮できるので、クリエイティブな作業に集中できます。

また、「Claude」のプロジェクト機能は、日々得た知見やアイデアを整理し、関連付けていくのに最適です。Zettelkastenというメモ管理フレームワークを用いて、メモ同士をリンクさせて「セカンドブレイン」を構築しています。これにより、これまで散らばっていた知識やアイデアがネットワーク化されて、必要な時に素早く引き出せるようになりました。

ちなみに、メモをとって後から整理しようとすると絶対やらなくなるので、iOSのショートカットアプリを駆使して、思いついた瞬間に「書く」から「整理する」までを一貫して行うのがポイントです。

▲繋がっているメモたち
[NEW]Geminiの画像生成機能(動くワイヤーフレームを生成)
Googleが開発した大規模言語モデル「Gemini」に搭載された、テキストの説明から画像を生成する機能

使用方法:手描きのスケッチを読み込ませ、動くワイヤーフレームを素早く作成
(コツ:まるで実在するデザイナーに依頼するように、指示通りに作らせるのではなく、 AIのクリエイティビティを尊重するようなやり取りを繰り返す)
・活用例:デザインの方向性を議論する際のラフ画作成
[NEW]Claude Code(デザイン作業の自動化、ツールの自作)
Anthropic社が開発した大規模言語モデルを用いた対話型生成AI「Claude」を活用した、コーディング・リファクタ・Git 操作・ドキュメント作成・テスト実行などを支援する自立型エージェント

使用方法:日常的なルーティンタスクを自動化するための、小規模なプログラムの作成
・活用例:SVGアイコンのバリエーションを大量に作る。動画の背景色を手軽に変更する
[NEW]Claudeのプロジェクト機能(情報整理)

使用方法:Zettelkastenというメモ管理フレームワークを用いて、メモ同士をリンクさせて「セカンドブレイン」を構築
・活用例:日々得た知見やアイデアのメモを、関連性を明確にしながら整理する
ChatGPTの画像生成AI機能(イラスト生成、アイデアの言語化、画像要件の整理)
テキスト、音声、画像、動画を組み合わせた入力を処理し、テキスト、音声、画像を組み合わせた出力を生成する、OpenAIの画像生成AI機能

使用方法:イラストの概要とサービスのブランドを言語化したものをテキスト入力
・活用例:デザインの方向性を議論する際のラフ画作成
 [NEW]「アートディレクション」や「UI設計」におけるアイデアの言語化や要件整理
Midjourney (画像生成)
テキストの説明文から画像を作成する、画像生成AI

使用方法:人物像をテキストで入力し、生成された複数の顔写真からイメージに近いものを選ぶ
・活用例:デザインの方向性を議論する際のラフ画作成

エンジニアの現場では「Cursor」活用でサーバー開発で3−4倍効率化、「Gitのブランチ機能」で5人分の作業量

ーーエンジニアの中島さん、サーバー開発の「コーディング」におけるAI活用について具体的に教えてください!

中島:新規アプリケーションの開発では、その時々に合わせて最も性能が良いものを模索して乗り換えています。例えば、サーバー開発の大半を「Cursor」で作っている時期もありました。自律型エージェントのプラグインが入ったエディタで、ソースコードを自動で編集したり、自動で動作確認してくれるんです。

人間は指揮官的な感じでレビューをしながら進めていくのですが、生成されたコードは全体の80%を超えているんじゃないでしょうか。2人で1ヶ月かかっていたサーバー開発を約2週間で作れることが分かっているので、3-4倍の効率化になりました。

▲Gitのブランチ機能で複数の編集画面を表示して、AIに並行作業させている様子

開発の作業履歴を管理するのに、「Git」の「ブランチ機能」を使っています。一つの編集画面上で複数人が作業すると変更履歴が混乱してしまいますが、編集画面を分岐させてそれぞれ独立した環境で履歴を管理できるツールなので、同時作業が可能になります。それぞれ別のAIエージェントを並行で動かせるので、実質5人くらいで一斉に作業しているような環境ですね。

膨大な量のコードファイルを処理するのに、一つひとつのファイルデータが大きいと何が書いてあるのかの理解が難しくなるので、アーキテクチャ(レイヤー)で作業を切り分ける作業もAIに任せて自分はレビュー役に回っています。AI活用により、スピードが優先される開発の初期段階(ゼロイチ)でも、綺麗なコードを書けるようになりました。

エンジニアリングでは、スケール後の技術的な問題(技術負債)を避けるためにも、事前にコードの書き方をしっかり決めてドキュメント化しておくことが大切です。

プロジェクトの進捗管理もAIで!MCP共通化で精度と効率アップ

ーーあれから3ヶ月。活用事例の進捗や、今注目しているツールを教えてください!

中島:当時はサーバー開発でCursorを使っていましたが、現在は「Claude Code」を主に使っています。その際に、乗り換えコストを抑えながら、各自がツールに縛られず好きなツールを使えるように、MCPに共通機能の責務を移行するよう進めています。(独自のMCP開発を含む)。

具体的には、プロジェクト進捗を効率化するために、コーディングルールやAPI仕様、ビジネスロジックなどの情報をRAG(Retrieval Augmented Generation)化して、タスクを始める前にMCP経由で必要な情報を効率よく取得することで、プロジェクトの精度を上げるように工夫しています。

※MCP(Model Context Protocol)とは、AIモデル(特に大規模言語モデル)が、外部のデータソースやツールと連携するためのオープンプロトコル。

[New]Claude Code

使用方法:自然言語でコードを編集・質問でき、コードベースを理解して提案や修正を自動で行う
・活用例:アプリケーション構築、特にサーバー構築をほぼ自動化。初期段階から綺麗なコードを生成し、技術的負債が残らないようにスケールしやすいコードを生成
Cursor (コーディング)
AIがコードを理解し、次に書くべきコードの候補を提示したり、バグ修正の提案をおこなうツール

使用方法:ソースコードの編集や、それが正しく動作しているかの確認を自動で行う自律型エージェントプラグイン
・活用例:アプリケーション構築、特にサーバー構築をほぼ自動化。初期段階から綺麗なコードを生成し、技術的負債が残らないようにスケールしやすいコードを生成
AI開発のコツ:Git複数ブランチでの並行開発 
ファイルの編集履歴を記録し追跡するためのバージョン管理システム「Git」の、編集履歴を分岐して記録していく機能

使用方法:複数の編集画面に分岐させて、生成AIが平行作業させた履歴を管理する
・活用例:アプリ開発など、プロジェクトの進行管理

事業計画の立案では「Claude」活用で資料制作を効率化

ーー事業開発を担当されている島岡さん、「事業計画の立案」におけるAI活用を教えてください。

島岡:「Claude」のアーティファクト機能が気に入っていて、新規のプロジェクト開発で損益分岐点や成長率などシミュレーションする時に使っています。例えば、課金率により必要なユーザー数や月間収益など、欲しい情報をテキストで指示すると瞬時に綺麗なグラフで出してくれます。

▲Claude が生成した事業計画のシミュレーショングラフ

自分でやろうとすると計算やグラフ作成に時間がかかりますが、Claudeなら内容をチェックしてから資料にスクショを貼るだけですし、コードも書いてくれます。

あとは、ClaudeのMCPもPCファイルの操作に便利です。「ダウンロードフォルダにある◯◯みたいなPDFをデスクトップにexample.pdfとして移動して下さい」とお願いするだけで実行してくれます。地味ですが、探す手間が省けて助かっています。

Manusは、資料作成におけるリサーチ・スライド構成・作成作業までやってくれる!

ーーあれから3ヶ月。活用事例の進捗や、今注目しているツールを教えてください!

島岡:Claudeにリサーチ機能とGoogle Workspace統合機能が加わったので、最新情報のリサーチや議論の場として活用するようになりました。また、GmailやGoogleカレンダーと連携して、重要なメールを取得してくれたり、カレンダーのスケジュール連携も可能になっています。

MCP活用も進化しています。Claude Codeから開発用ドキュメントをRAGで取得してコンテキストとして注入したり、Figma MCPやMobile MCPを用いて、モバイル開発におけるFigmaのデザインの反映からデバッグ操作までを自動化する試みも現場で実践しています。

今注目しているツールは、「Manus」です。依頼テーマに基づき、Webサイトの回遊リサーチからスライド構成の提案、資料の作成まで汎用的に対応してくれます。デザインの意図が異なる場合は、途中で中断してプロンプトを修正・反映することで、自分の意図に沿ったアウトプットに近づけることができます。

▲Manusへ「一人暮らし男性のペット選び 猫と犬のメリット・デメリット比較」というテーマで、資料制作を依頼
[NEW]Manus(資料作成、リサーチ)
指示されたタスクを自律的に考え、計画し、実行する能力を持つ汎用AIエージェント

使用方法:スライドの作成、Webサイトのリサーチ
・活用例:Amazonや楽天などWebサイトで購入検討している商品の性能比較など
[NEW]MCP活用のコツ:Figma MCPを用いてFigmaのデザインをもとに実装を行う
Figma MCPを用いてFigmaのデザインをもとに実装を行う

使用方法:CursorやClaude Codeから設定したFigmaのMCPサーバーに接続し、デザインを参照してくれる
・活用例:Figmaに反映したデザインの実装
Claudeのアーティファクト機能 (事業計画、シミュレーション)
リアルタイムで視覚的なコンテンツを生成できる機能

使用方法:欲しい情報をテキストで指示すると、計算してグラフにまとめてくれる
(例:ユーザー数や成長率、課金率とユーザー数の分岐点のシミュレーション)
・活用例:事業計画の立案におけるグラフ作成など
ClaudeのMCP機能 (PC操作)
Claudeが様々なアプリやデータと繋がるための共通ルール・規格(オープンプロトコル)

使用方法:PCファイルの移動を指示すると、実行してくれる
(例:「ダウンロードフォルダにある◯◯をデスクトップへ移動して下さい」と入力)
・活用例:PCファイルの操作と検索

AIは魔法の杖じゃない。優秀な助手として、継続的な対話により、どう人間の能力を広げるか

ーー現場でのAI活用について、日々感じられていることや考え方をぜひ教えてください。

久田:最も強く感じているのは、AIは決して万能ではないということです。生成AIの出力を見ると、一見もっともらしいですが、プロの目から見ると「過剰に書き込まれた小さな嘘の積み重ね」が随所に見られます。例えば、デザイン案を生成させると、要素を詰め込みすぎて本質的な美しさや機能性が失われてしまうことがよくあります。

また、組織でのAI導入における課題は、技術的な問題よりも人的・文化的なものの方が大きいように感じています。だからこそ、「チーム単位や個人単位で小さな成功体験を積むことから始めること」「既存のやり方に固執せずプロセスの再設計を恐れないこと」「完璧を求めすぎず、失敗を学習機会と捉えること」が、成功のポイントなのだと思います。

そして、AIとの協働で最も重要なのは、一度きりの指示ではなく、継続的な対話です。例えば私は、日々の業務で以下のサイクルを実践しています。

  • まずは60点でいいから、サッとAIに出力してもらう
  • その結果を批判的に見て、何が足りないか明確にする
  • 足りない情報を加えて、もう一度AIに依頼する
  • このサイクルを最低5回は繰り返す

この反復的アプローチにより、最終的な成果物の質は飛躍的に向上すると思います。

AIは「仕事を奪うもの」と表現されることがありますが、私自身は「能力を拡張するもの」と捉えています。実際、AIの台頭によって、「アイデア出しの速度が10倍になった」「プロトタイプ制作が数時間から数分に効率化された」「言語化できなかった暗黙知を形式知にできた」といった変化を実感しています。

なので、AIを活用するほど、逆説的に人間ならではの価値が明確になるのでは、とも思っています。「文脈の理解と意味付け」「倫理的・感情的な判断」「既存の枠組みを超えた創造的な飛躍」など、人間にしかできないことがあります。特に、クライアントの真のニーズを読み取り、言語化されていない期待を形にする能力は、AIには真似できません。

AI技術の進化速度を見ていると、5年後(もしかしたら3年後、いや1年後)の仕事の風景は今とは全く違うものになっているかもしれません。しかし、「人間が価値を定義し、AIがそれを実現する」という基本構造は変わらないでしょう。

重要なのは、AIに積極的に触れながら、AIの限界と可能性を理解すること。そして、自分の専門性とAIをどう組み合わせれば最大の価値を生み出せるかを日々探求することです。AIは確かに仕事を変えますが、それは人間をより人間らしい、創造的で意味のある仕事に集中させる方向への変化だと信じています。

事業家のDNA

今回の対談は、DeNAの公式YouTubeチャンネル「【効率4倍!?】「AIにオールイン」DeNA現場社員のAI活用最前線に突撃!AI活用による効率化の実態とは?新規事業 / ドキュメンテーション / デザイン / コーディング」にて配信された動画のアフタートークです。ぜひ動画もお楽しみください。

※AI活用事例は、透明性、公平性、プライバシー、品質、そして人間の監督を重視した当社のAIポリシーに準拠しています。
※各AIツールの利用にあたっては、それぞれのサービス提供元の利用規約およびプライバシーポリシーに準拠しています。
※掲載のスクリーンショットには、機密情報や個人情報は含まれていません。
※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

編集:難波 静香 撮影:サンキャク株式会社

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