「推し×AI」はなぜ熱い?「分身AIチャット」が切り拓くエンタメの新境地
2025.06.12
組織開発やチーム、後輩のマネジメントで悩みを持つ方々に向けて、どのような本を読むべきかをテーマに、DeNAの現場で活躍している社員へのインタビュー動画をDeNAの公式YouTubeチャンネル「事業家のDNA〜事業家を目指すあなたへ〜」にて配信したところ、多くの方に視聴いただいております。
本記事では、番組の一部をテキストとして編集したものをご紹介いたします。(2024年11月22日配信分「【保存版】DeNA社員が部下のマネジメントに困った時に読む本をこっそり教えます。」より)
目次
ーーまず、井口徹也さんのマネジメント経験の遍歴を教えてください。
井口 :入社2年目に部下を数名持つ主任の立場になり、入社3年目にマネージャーとなりました。入社4年目には子会社の社長を拝命して200名規模、入社6年目に事業部長として300名規模、入社8年目に副本部長として500名規模、現在は本部長として700名規模の組織を統括しています。
ーー組織マネジメントや人材育成に悩まれている方にお勧めの本をご紹介ください。
井口:1冊目は、エドワード・L. デシ氏とリチャード フラスト氏の著書『人を伸ばす力』です。モチベーションがどのように作られていくのか考察されています。例えば、報酬を与える行動が実はモチベーションの低下を招いているという実験結果をもとに、どのような目標設定が良いのかに焦点が当てられています。多くの論文にも引用されていて、非常にお勧めです。
続いて、リンダ A.ヒル氏とケント ラインバック氏の著書『ハーバード流ボス養成講座』がありまして。こちらは、グローバルな環境で部下を持った際に直面するケース問題と、具体的な会話例が繰り返し提示される構成になっています。非常に読みやすく、どのようなマネジメントが望ましいのか、あるいはそうではないのかを一気通貫して学べるため、非常にお勧めです。
ーーなるほど。
井口:そして更にもう2冊。組織に対するマネジメントや経営論、事業経営の観点からは、ヤマト運輸の元社長である小倉氏の著書『小倉昌男 経営学』がお勧めです。宅急便サービスがどのように発展していったのか、その過程で法律の制約をどのようにクリアしていったのか。日本という大きな組織に対して、事業者としてどのように交渉していかなければならなかったのかが大いに書かれています。即日配達という目標を達成するまでの過程なども描かれていて、非常に勇気づけられるお勧めの一冊です。
最後は、元IBMの社長であるルイス・V・ガースナー氏の著書『巨象も踊る』です。IBMはもともと巨大企業でしたが、MicrosoftやAppleといった企業の台頭により、市場における立ち位置を確立することが難しくなっていました。そのような状況下でルイス・ガースナー氏は「我々はサービスの会社ですよね」と定義し、その定義に寄与する事業はそのまま推進し、そうでない事業は買収や売却といった大胆な意思決定をされました。
大きな方針をどのように決定するのか、そして事業のビジョンが事業そのものにどのように影響を与えるのかが非常に深く書かれており、素晴らしい本です。
ーー実際にお仕事の中で、これらの本が活きたエピソードはありますか?
井口:例えば、DeNAのゲーム事業本部をゲームサービス事業本部に名称を変更させた背景には、『巨象も踊る』の影響があるかもしれません。「我々はメーカーとして物を作るのか、それとも全てを包括したサービスとして提供するのか」の考え方に、大きな気付きがありました。
組織マネジメントについては、特定の一冊はありませんが、本質的に人が何をやりたいのか、何に対して面白さを感じるのかは、常に工夫しながら取り組んでいます。『人を伸ばす力』も含め、目標設定の視点や、自分たちの仕事がどのように寄与するのかという視点で書籍を読むことが多いです。
ーーそれぞれどのフェーズのマネジメントに関わる方に特に読んでほしいか、教えてください。
井口:そうですね。『小倉昌男 経営学』は、サービスが立ち上がり、そのプロダクトが法務的な観点やその他の様々な観点からクリアしなければならない状況が訪れると思いますが、そうした時にどこまで自分たちが粘り強く取り組むべきなのか、どのようなスタンスで臨むべきなのかが深く書かれています。
組織の立ち上げ時や、事業や会社のビジョンを策定する際に、それがどのように影響するのかは『巨象も踊る』などに書かれているため、非常に有効です。
『ハーバード流ボス養成講座』は、初めてマネジメントをされる方にはあまりお勧めではありませんが、様々なケースのマネジメントで困難に直面した際に役立ちます。もちろんこの本以外にも参考になる書籍はありますが、「なるほど!こういうパターンではこのように対応するのか」といった具体的な対応策を学ぶことができます。我々が見えている範囲を超える難しい案件についても、グローバルなマネジメントの方々がどのように対応しているのかを知ることは、非常に参考になるでしょう。
ーー田中翔太さんの、マネジメント経験の遍歴を教えてください。
田中 :新卒4年目に新規のアプリゲームを立ち上げて、最初はディレクターを担当していましたが、ある時からリーダーとして約100名くらいのメンバーを取りまとめなければならない経験をしました。非常に苦労したのをよく覚えています。最近では、事業本部や事業統括部といった組織を運用するようになってきましたので、だいぶ慣れてきたのではないかと感じています。
ーー組織マネジメントや人材育成に悩まれている方にお勧めの本をご紹介ください。
田中:マネジメントの第一歩として悩んでいる方にぜひお勧めしたいのが、押井守監督の著書『仕事に必要なことはすべて映画で学べる』です。マネジメントは、ともすればかっこいいイメージがありますが、その本質は人との向き合い、人が集まった集団との向き合いだと考えています。経験値が重要だと言われがちですが、様々な場面や人の振る舞いに対する理解度が高ければ高いほど、マネジメントはうまくいくのではないかと考えられます。
この本が面白いのは、映画というフィクションを通じて、マネジメントの実経験を詰めない若いタイミングでも「人間ってこういうものだよな」「人間ってこういう場面ってこういう風に振る舞うよね」「壊れてしまう場面だったり、大きく羽ばたく場面はこういう風にあるんだな」ということを追体験できるのが素晴らしいところです。まさに、そういったところが押井監督節で語られています。
ーーどのくらいの規模のマネジメントをしている人にお勧めなどありますか?
田中:取り上げられている映画が様々なため、小人数のチームから会社の経営まで様々なレイヤーに通じるような必読書かなと思います。やっぱり、この本を読んだ後に映画を見てほしいと。そして、この本をきっかけにいわゆる娯楽映画だけではなくて、ドキュメンタリーだったり、非常に生々しい人間関係を描いた会社ものの映画だったりを見るのがマネジメントの第一歩ではないでしょうか。
ーー住吉政一郎さんのマネジメント経験の遍歴を教えてください。
住吉:ライブストリーミング領域に関してで言うと、6年前に10人ぐらいからスタートして後に子会社も含めて組織全体で400人くらいの規模になりました*。2025年4月からは、AIイノベーション事業本部の本部長に就任し、AI-Nativeの新規事業の複数立ち上げやtoB向けのソリューション提供をおこなう子会社「DeNA AI Link」の代表取締役、AIに特化した戦略投資やLP投資に従事しています。
*動画公開時の情報。2025年以降の情報は編集時に追記しています
ーーそんな住吉さんが、組織開発やマネジメントに悩んでいる方にお勧めしたい本を教えてください。
住吉:幅広いトピックで悩んだんですけど、著書『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』を紹介します。大前提として、組織の構造がどうあるべきかみたいな話は結構いろんなパターンがあったり、事業によって違うかなと感じていて。インターネット業界にいて市場も目まぐるしいスピードで変化していく中で、ルールを設定するだけでガバナンスをかけようとするのは難しいと思います。
では、その早い変化にどうやったら向き合っていけるのかって時に、リーダーも含めてセンスみたいなものをしっかり磨いていき、ルール化できないものや数字化できないものをどう感じていくのかが非常に重要であることが、この本では書かれています。この本ではそれを美意識と言っているんですけど。本の中ではDeNAのことを厳しく言及しているパートもあったりするんですけど、そこも含めて会社の人間として勧めるのにはすごくいいかなと思います。
ーーどのフェーズのマネジメントに関わる方にお勧めか教えてください。
住吉:事業リーダーは、自分の事業を数字で見なきゃいけないものもあれば、定性的に見なければならないこともあると思うんです。今は定量的に振り切っているけど実はこの辺りがないんだよなって時とか、逆にこっちに寄り過ぎてる時にどうやったら定量的なことを考えられるんだろうみたいなところとか。あるいは、業界の変化の中でなんでそういうのが今必要なんだろうって再定義していく時に凄い良い本ですし、メンバーがそういうのに悩んでいる時にお勧めしやすい本です。
ーーAIイノベーション事業本部の皆さん、組織マネジメントや人材育成で悩んだ際に読んでいる本を教えてください。チームリーダーを務める陶山拓也さんからお願いします。
陶山:はい。1冊目はトム・ニクソン氏の著書『すべては1人から始まる―ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力(以下、ソース原理)』です。2冊目には、岡本太郎氏の著書『自分のなかに毒を持て』を選びました。
組織論には、リーダーシップをどうするかやマネジメントをどう組織化するかなど、様々な側面がありますよね。『ソース原理』では、何か新しいものを創り出そうとする時、全ては創造の源を最も強く持ちリスクテイクを自然に最もおこなっている1人のソースから始まる、と断言しています。つまり、1人のソースを導き出せるかどうか、その人のソースを最大化できるかどうかが全てであると私は解釈しています。
ソースの現れとは何なのだろうかと体感したり極端なソースの現れを見たりするために、岡本太郎さんの『自分のなかに毒を持て』を結びつけるのがお勧めです。
『ソース原理』の序盤では、「ソースには男性性と女性性があります。どちらにも目を向けなければいけません」と書かれています。自分の中にある父性と母性は何かを見極めることがまず大事だと本では考えられていて、私自身もこのチームで一緒に仕事をしていて、それを強く感じています。
そして、ソース原理を超えたと思えることがあって。本では1人のソースとありますが、チームに信頼関係があれば、ソースを別に1人でやる必要もないのではないかと私は考えています。例えば、チームメンバーである島岡さんの中にある男性性とは何かというと、「外に出まくりたい」「外に拡散しまくりたい」ことだと感じています。この男性性は非常に稀有な才能ですし、誰もがその可能性はあるものの突き抜けて高いのが島岡さんだと思います。
中島さんにも男性性が勿論あるのですが、「最後に世の中に生み出されるものがどんな形でどんな色をしているか」に対するこだわりが非常に強い。そして、それを作り切る能力や自分の中でビジュアリゼーションする能力も非常に高い。
お互いの男性性をどう組み合わせてチームを組成するか。この2人にとって余計なものをいかに排除するかが、ソースを最大化するために非常に大事です。
岡本太郎氏の話をしますと、岡本太郎さんの作品は生き様そのものなんです。岡本太郎さんは講演などでも過激なことを言うので批判されることも多かったようです。しかし、彼自身はそんなことを気にしておらず、常にソースであり続けるには自分自身と戦い続けなければいけない。それがない戦いなんてそもそも大した戦いではないと考えられていたそうです。だから、『ソース原理』と岡本太郎氏の組み合わせをお勧めします。
本音を言うと、メンバー2人の才能にも、自分の中の欲望というかプライドが出てくるわけです。「自分ももっと作りたい」「自分ももっと関わりたい」みたいな男性性が出てくるのですが、そんなものを抱えていたら自分を超えることはできません。でも、岡本太郎さんは自分のクリエイティブでそれとずっと戦い続けることができた。だから、自分たちのチームでもできるはずです。そのことを教えてくれた本です。
ーー島岡秀知さんのお勧めの本をお願いいたします。
島岡:私はまだ若者なので多くを語ることはできませんが、好きな本は藤田晋氏の著書『起業家』です。ネットバブルが崩壊しサイバーエージェントなどが上場した後に株価が大幅に下落してしまった後、アメーバ事業をいかに復活させ、新しく見せていったかの話がこの本には詰まっています。
藤田氏の経営スタイルや、当時の苦しい状況の中で人に任せる部分と自分が先頭に立って推進していく部分が、ストーリーとして語られていて面白いです。例えば、広告代理店事業がいわゆるキャッシュカウのような形になっていて、株主からは「そこだけやっておけばいい」と言われ続けていたのですが、それだけではサイバーエージェントは21世紀を代表する会社になれないと考えた藤田氏は、そういったところはやめてアメーバに注力していく。
アメーバはずっと株主や投資家、社員からも酷評されていたのですが、「これがないとサイバーエージェントはダメになる」と言って広告代理店の事業責任者をしていたのを止めて、アメーバの事業責任者になります。そして、その他の経営のことは取締役や事業部長として他の人を置いて、完全に任せるやり方でアメーバを推進していった話が紹介されています。
自分が一番フォーカスしなければいけないことは何なのかを見つけるセンスと、そこに対して創業者が自ら「ここに注力しなければ会社はダメになる」と言って突き進んでいく姿勢が社員を奮い立たせたのだと思います。そして、今までキャッシュカウになっていたところを、きちんとマニュアルを作り人に任せる。組織としてのグロースのさせ方が非常に面白い本です。
ーー中島吹さんのお勧めの本をお願いします。
中島:私がお勧めしたい本は、セバスチャン・マラビー氏の著書『The Power Law(ザ・パワー・ロー) ベンチャーキャピタルが変える世界』です。VCの歴史について書かれた本で、それぞれの章で各著名なVCに焦点を当ててエピソードベースで話が進んでいきます。
特に好きなのは13章で、2000年代初頭までセコイア・キャピタルとクライナー・パーキンスがベンチャーキャピタルの2大巨頭だったのですが、その後セコイアは成功し続けるもののクライナー・パーキンスは業績が悪くなっていきます。その背景として組織が成功にどう寄与したのかが綴られています。
我々のチームは非常に良い形ですが、これからスケールするためにどうするか、インターンや新卒の受け入れなど色々な話がある中で、組織をどう拡大させていくかを今議論してるところです。
セコイアが成功した要因の1つに、トッププレイヤー同士の相性が良く団結していた点が挙げられます。もう1つは、セコイアは世代交代が非常に上手いVCである点です。世代交代をどうやっているのかも語られていますし、ハングリー精神に溢れた人材も揃っている中で世代交代も両立させている凄さがあります。私たちはまだ世代交代はしませんが、チームを拡張していく中で下の世代をどう育てていくかに焦点を当てて参考にできると思います。
陶山:そうですね。世代交代をする感覚というよりは、同世代でどんどん増やしていく、そういう感じもしますね。
ーー長田乾さんが、組織開発やマネジメントで悩んでいる方にお勧めしたい本を教えてください。
長田:本ではないのですが、水島努監督のアニメ『ガールズ&パンツァー』です。お勧めポイントは、戦車で戦うようなアニメでありながら自分の戦車の中に数名のチームメンバーがいて、主人公は全体を取り仕切る隊長のような役割を担っている点です。
一種の学園もののような要素もあり、学校の中のより上の生徒会委員のメンバーから使命を受けて進んでいく流れの中で、上位レイヤーから下位レイヤーに対してどのような命令や課題が与えられ、それに対してどう向き合うか。チームの仲間たちのそれぞれの特徴を捉えた上で、その力を発揮させるか。といった、人との接し方について非常に勉強になりました。
心を折らないように、チームを前に進めなければならない状況とチームの力をどう発揮して困難な成果に立ち向かうかという点で、気持ちの部分や接し方の部分で参考になります。アニメなので物語であり綺麗事ではあるのですが、綺麗事の中にこそ理想があると思うので、自分もこの中の様々なキャラクターのように前に向かってどう課題を押し進めていく姿勢を持ちたいです。
ーーありがとうございました。
今回の対談は、DeNAの公式YouTubeチャンネル「【保存版】DeNA社員が部下のマネジメントに困った時に読む本をこっそり教えます。」にて動画配信されています。そちらもぜひお楽しみください。
※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです
編集:難波 静香 撮影:サンキャク株式会社
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