元外科医と医師の働き方改革を紐解く。必要なのは“病院の”働き方改革だという真意とは
2025.01.22
レセプト(診療報酬明細書)データ等のヘルスデータの分析により、保険者に向けて高品質で効果的なデータヘルス関連サービスを提供している、データホライゾン社。
2020年にデータヘルス事業における業務提携を結び、2022年には連結子会社として正式にDeNAにグループインした、頼れる仲間です。
現在600を超える自治体に「医療費分析サービス」「健診受診勧奨通知サービス」「糖尿病性腎症重症化予防サービス」等の保健事業を支援するサービスを提供する中、令和5年度山梨県のシェア7割を獲得し、同社躍進の大きな一端を担っている営業パーソンが東日本営業2課の太田 雅之(おおた まさゆき)です。
聞けば、花き業界出身で、種子の生産・新規開発なども手がけてきたユニークな人材だとか。
いったいどのようにして異業種営業で頭角を現したのか。そして、データヘルスの第一線で仕事をする醍醐味とは?たっぷりと語ってもらいました。
──まずは、現在のお仕事を教えてください。
データホライゾンのデータヘルス事業本部、東日本営業部東日本営業2課に所属し、自治体向けの営業を担当しています。
データホライゾン社(以下、データホライゾン)は、国保と呼ばれる市町村が担っている国民健康保険組合に向けて、レセプトデータや検診(健康診断)データなどのヘルスデータを分析。一人ひとりの保険者さんに最適な健康増進をサポートすることで、みなさんの健康寿命を高め、地域の健康社会を増進させ、ひいては医療費のプライマリーバランス(財政収支)の適正化をはかり、国民皆保険制度を支えることをミッションとしています。
──具体的には「データヘルスを活用した保健指導」や「ジェネリック医薬品通知サービス」「糖尿病性腎症重症化予防サービス」など多岐にわたるサービスを提供していますよね。
はい。データホライゾンは1996年と業界でも早くから医療関連情報のデータベース構築をスタートさせ、ヘルスデータ活用のノウハウを蓄積してきました。そのため、より正確なデータ分析を実現させたうえで、バラエティに富んだ商品・サービスメニューを提供しています。
特に糖尿病性腎症重症化予防サービスに関しては、糖尿病指導ができる専門の保健師部隊がいるのは他社にはない強みです。ご存知のとおり、糖尿病は大変な病気であると同時に、重症化によって人工透析となると、一人あたり年間500万円の医療費が自治体の負担として増える計算になります。
保険者一人ひとりのQOL(生活の質)を高め、医療費支出を減らし自治体の財政運営を助ける意味でも、大変に意義の高い事業が実現できている自負があります。
こうした豊富で質の高いサービスを、私が担当する山梨県下の市町村に紹介。入札やプロポーザル(企画競争入札)を通して、受注に至るのが具体的な私の役割です。
もちろん、売って終わりではなく、受注後もお客様のご要望を汲み取り、広島の本社とかけあいながらどのようなサービスを提供していくか詰めて、形にしていく。運営のフェーズにおいても、窓口となり、旗振り役を務めています。
──太田さんは、2022年に山梨県でのシェアを拡大。県内市町村の7割を獲得する活躍をされたと伺っています。
ありがとうございます。でも、当然ですが、私だけの力ではありません。前任者で今の上長が、すでに道をつくってくれていたこと。またデータホライゾンが、すでに山梨県でサービスを提供させていただいていたため、既に会社の名前が知られていたアドバンテージはありました。
そのうえで地道な営業活動を続けたことが受注につながったのだと思います。毎月27ある市町村を直接訪問させてていただいています。
あと、前職の花き業界で培ってきた経験は多少なりとも活きたかもしれません。私自身の生まれは静岡県ですが、新卒で山梨に本社を持つ種苗会社に就職。8年間は山梨で働いていたので土地に馴染みがありました。
──そもそも大学を出て、種苗会社に入られたきっかけは何だったのでしょうか?
子どもの頃から植物が好きで、大学でも植物、特に花の研究をしていました。ですので、就職先も「花の品種改良などを手がけられる会社」を探して、それが山梨の種苗メーカーだったんです。
開発者として種の改良なども多く手がけましたが、種苗メーカーですべて生産できるわけではありません。委託生産先である外の農家さんに委託生産をお願いするのですが、現場の方々と直接触れ合って会話を交わすことが多く、今の「現場を大事にする」営業スタイルの礎になっていると思います。
──その後、花の卸業も経験されたと伺っています。
はい。ライフステージの変化を機に、都内で就職先を探そうとミニチュア観葉植物や生花をホームセンターやショッピングセンターにおろしている会社に転職しました。
そこでは営業をメインにしながらも商品企画も手がけ、さらには生花用の工場づくりと生産管理などもさせてもらいました。
ただ、仕事に夢中になりすぎて体を壊してしまい……。そこで2022年4月に転職して、データホライゾンに入ったというわけです。
──なぜ畑違いのヘルスケア事業を、しかもデータホライゾン社を選ばれたのでしょう?
体調を崩したことを機に、ヘルスケアの領域に興味を持ったことが大きいです。子どもが生まれ、家族との時間を大切にしていきたい思いも芽生えました。
そんなときに、データホライゾン社を見つけたんです。業界は異なるものの、それまで花き業界で培った経験を活かしながら新たな挑戦の場へ行きたい思いが強くなり、そのうえ「前職は問わない」とあったことで迷うことなく飛び込みました。
──異業種からの転職に、戸惑うことはありませんでしたか?
正直、ほとんどなかったです(笑)。また、前職までの経験も十分に活かす場に恵まれ、営業において、自分が大切にしてきた勘所のようなものは、花き業界でも今の仕事でも変わらないのかなと実感しました。
──太田さんが大切にしている営業の勘所とは何でしょうか?
大きく3つあります。
1つは、先に述べた「お客様のところにとにかく出向く」、現場に直接行くことですね。市町村の担当者の方のところには、とにかく頻繁に顔を出します。黙って待っていてもお客様の声やニーズが向こうからくることはめったにありません。これは前職でも農家の方々や販売先のショッピングセンターなどに何度も足を運ぶことで心をひらいていただいた経験があるので、同じかなと感じています。
──2つめは?
2つめは「お客様からの質問には、必ずお答えする」ことです。ただ顔を出せばいいというわけではなく、お客様が求めている情報を知っているか否かは、後の信用力に関わると思うのです。たとえば、データヘルスを扱っている以上、それに関する業界の状況やトレンドは必ずチェックし、把握しています。
自治体の担当者の方ならば、「他の自治体はデータヘルスをどう活用しているのか」「他の県で同規模の自治体は?」といった具合に、周囲の状況をとても意識されています。そうしたときに、言える範囲ですっと正しい情報をお伝えできると、次のコミュニケーションにつながります。
もちろん、ヘルスケアに関する知見や、医療に関する情報、さらにDX関連の最新の話などもよく聞かれることです。
なので、いつもアンテナを張って情報を集めていますし、社内のSlackなどでも他県を担当している同僚同士で「そっちはどう?」「どんな状況か」など情報を共有しあっています。ヘルスケアや医療に関する勉強会も盛んですし、周囲を見渡しても、メンバー皆意識して情報を取りにいっていますね。そうした「引き出し」を増やすことが、後のコミュニケーションのネタになり、信頼につながっていると思います。
これもまた花をやっていた頃からですね。花のこと、植物の基本を知らないと、農家さんとも、販売店さんとも十分なコミュニケーションはできませんでしたから。やはり目の前の方の疑問や困りごとに答えられる引き出しがないと、信頼にはつながりません。そもそも研究者だったので、調べぬいて、物事を深く知り興味を掘り下げていきたい。エビデンスを確かにしたい、といった欲求が強いことも功を奏しているのかもしれません。
──なるほど。最後の3つめは?
「お客様が求めているのは、同じではない」と強く意識することです。データヘルスの活用を提案するにしても、各自治体によって注視している点が違っていることがままあります。
ある自治体は「プライマリーバランス」にこそ強く課題を持っているし、ある自治体は「住民の方々にフィットしたサービスは何か」に頭を悩ましていたりする。また別の自治体では「近隣の自治体とのバランスを大切にしたい」、さらに別の自治体は「都道府県全体の動きを注視しながら検討したい」といった具合に求めるものも注視することも実にさまざまです。
──そうした各々で違うニーズを現場のコミュニケーションで拾い集めて、それぞれにフィットする引き出しを開けて、信頼につなげる、といった感じでしょうか。
そうですね。何も特別なことではないのですが、王道かなと。だからこそ、山梨でのシェア7割も達成できたのかなと思います。
いずれにしても、地道なコミュニケーションに尽きますし、通り一遍の営業ではお客様の課題解決につながりません。データホライゾンは営業の手法も押し付けることなく、現場に自由にやらせてくれる風土があるので、チームでアイデアや手法を共有しながら能動的に動くことができる。それもフィットしている気がしますね。もちろん私自身もとても仕事しやすいと感じています。
──いま「営業の手法を自由に任せてくれる」とおっしゃいましたが、データホライゾン社のコーポレートカルチャーはどのように表現できるでしょう?
責任ある自由、というのはあるかもしれません。
特に、2024 年にDeNAの瀬川(翔)さんが社長に就任して、制度もですが、DeNAのカルチャーと言いますか、思考を重ね、スピード感を持ってことに当たる新しい風が吹き込んで、自由度もよい緊張感もぐっと増した感があります。
服装や働き方に関しても、営業はかつてはスーツ一辺倒でしたが、今はその日のスケジュールに合わせて各々自由なスタイルで業務に当たっていますし、在宅によるリモートワークも可能に。さらにフレックスタイム制が導入され、働き方の自由度が上がり、働く時間が調整できるのはとてもうれしいですし何より働きやすいですね。
もっとも、だからこその厳しさもあります。自ら動いて、しっかり成果を出していかないと何も始まりません。黙っていても仕事が降りてくるような世界ではないですから、見方を変えれば厳しいともいえます。
ただ私は仕事もしっかりやりながらプライベートも大切にしたい、と思って転職したので文句なし、日々「幸せだな」と感じています(笑)。
──さまざまな変化がある中で、柔軟に、でも厳しさを持って活動されているのが伝わってきます。今後に向けての課題や目標はありますか?
たとえば、データアナリストなどは、弊社のみならずどこも人材が不足しています。ヘルスデータのすばらしいサンプルはあっても、それを「具体的にサービスにどう活用するか」「A自治体にはどう提案すべきか」「B自治体ならばこうすべきでは」といった丁寧な分析や考察が、これからさらに求められると思います。
データを扱うビジネスに長けたDeNAの知見は、もっともっと活かしていけたらなと期待しています。それをお客様の課題解決に直結させていくことが私の役割だと思っています。
──最後に、どんな方にジョインしてほしいですか?
機動力があって、自由な発想でデータヘルス事業を伸ばしていきたいと切磋琢磨できる人でしょうか。社内には商社や銀行など、異業種のバックグラウンドを持ったメンバーも多く、それぞれのノウハウを融合しながらシナジーをつくり出していきたい。自分もそうでしたが、「前職は問わない」ので、本当にいろんな方に来ていただきたいですね。
※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。
執筆:箱田 高樹 編集:川越 ゆき 撮影:内田 麻美
撮影場所:WeWork 渋谷スクランブルスクエア 共用エリア/会議室
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