DeNAの「人」と「働き方」の " 今 "を届ける。

人の夢中を科学したい。個々の「熱源」を探し仕事を楽しむ組織をつくる

2025.01.30

DeNAで働くすべての人の日々の行動や判断の拠り所とする、共有の価値観「DeNA Quality」(以下、DQ)。

働く時間や場所を個々で選択できる仕組みが整い、多様な働き方が定着する中でも、DQはメンバー共通の価値観・行動指針として日常に浸透しています。

今回スポットを当てるのは、DeSCヘルスケア製品開発統括部の平子 裕喜(ひらこ ゆうき)。2013年にサーバーサイドエンジニアとして新卒で入社後、オープンプラットフォーム、オートモーティブ、HR、CEO室、そしてヘルスケアと、さまざまな領域で活動の幅を広げながら、ことに向かい続けています。

改めて、「DeNAで働く」ということの意義について話を聞きました。

中でも好きなDQは「みちのりを楽しもう」

──いきなりですが、平子さんの好きなDQはありますか?

DQは全部好きな言葉ですが、特に「みちのりを楽しもう」を大事にしています。

DQはストーリーとして全部つながっていて「『こと』に向かう」「球の表面積」「全力コミット」「発言責任・透明性」「みちのりを楽しもう」の5つどれが欠けてもだめなんです。プロフェッショナルを体現する形で価値を生み出し、顧客にDelightを届けることは大前提で、その過程を楽しむことに意味があると思っています。

▲DeSCヘルスケア製品開発統括部 平子 裕喜(ひらこ ゆうき)
2013年DeNA新卒入社。ゲーム、オートモーティブ領域でエンジニアリングマネジメントを経験後、2018年にヒューマンリソース本部へ異動。振り返ったときに充実していたな、楽しかったなという組織をつくりたいという想いのもと、エンジニアの経験を活かし、新卒育成・マネージャー強化施策・コミュニティづくりを推進。その後、その領域を展開すべく和歌山の地域活性化起業人に挑戦。第3期Delight Board事務局メンバー。Delight Boardプロジェクト「オンボーディング標準化」に参画。2024年8月からDeSCヘルスケアに出向。

──「みちのりを楽しもう」は2021年に追加された言葉ですよね。

はい。2021年のMVV改定時、ミッションが「一人ひとりに 想像を超えるDelightを」に変わったタイミングで新しくDQに加わりました。Delightに真摯に向かうチームであるために、変化や失敗を恐れずに挑戦し、そのプロセスも楽しんでいこうという想いが込められています。

──他のDQと比べると、少し毛色が異なる印象です。

そうかもしれませんね。他のDQが価値観や行動指針を表した言葉に対し「みちのりを楽しもう」は結果だけでなくそのプロセスも楽しもうという言葉、ストレッチな目標に挑戦する中で難しいことや辛いことがあったとしても、趣向を凝らして、自分の中で楽しむ構造に組み替えていくという能動性があります。つまり、発想を転換させよう、創意工夫しようという話なんです。

大きな価値を生み出すために、こうやったらおもしろいんじゃないか、と切磋琢磨しながらチーム全体が没入して取り組んでいる状態を広げていきたい。挑戦や変化をおもしろいと思ってくれる人が増えて、仕事が楽しくて夢中になっている状態をつくることを常に意識しています。

キャリアの原点は新卒エンジニアチームでの成功体験

──平子さんは2013年に新卒でエンジニアとして入社し、ゲーム領域のサーバーサイドの開発をスタートにさまざまな領域でキャリアを積んでこられたと聞いています。DeNAに入社して約11年、これまでの歩みを教えてください。

入社して最初に配属された部門は『Mobage』の遊撃部隊みたいなところで、本隊の手が届いていないところに対して有益に動いて、小規模な改善をしていく部隊でした。新卒1年目のエンジニア5人とスクラムマスター1人、プロダクトオーナー1人、そこにエンジニアマネージャーがつくというチーム編成で、アジャイルを叩き込まれました。ここでの体験が、自分のキャリアのベースになっています。

──詳しく聞かせてください。

新卒主体の、同じレベル感のエンジニアの集まりで、最初は全然できないチームだったんです。でもそれが良かった。何もできないところから徐々に個人が実力をつけて、チームとしても実力をつけていく過程を経験できたんです。

途中で揉めることも多々ありながら、同期ということもあって気兼ねなく意見を交わしお互いにフォローし合う。次第に強い結束力が生まれ、チームがワークしてきて没入状態に入るんです。チーム全体が夢中になって、このとき自分史上最高のパフォーマンスが出せました。

チームづくり、仕組みづくりのおもしろさを実感し、そして科学的にその再現性を持たせられたらおもしろそうだと思ったのもこの時です。

──2年目にチームが変わりますよね。

はい。組織改変で新卒チームは分解され、新たなチームにアサインされました。1年目の成功体験を持って参画したチームは、デザイナーや企画職のメンバーが多く、エンジニアは少数。職種を跨いで働くという環境で、ミッションはもちろん、メンバーが違えばやり方も異なるのは当然なはずなのに、自分が考えるチームの理想状態を押し付けるような形になってしまって。1年目とのギャップに苦しみ、上長に悩みをぶつけると「君は若いね」と言われて(笑)。

率直なフィードバックをしてもらい、自分の器の小ささや世界が狭いことを体感して、そこからはチームメンバーと理解し合うことに懸命になった記憶があります。今思えば、そこでの苦い経験が自分を見つめ直すきっかけになり、後のチームビルディングをやりたいというマネージャーへのWillへもつながったと思います。

──そして、ゲームからオートモーティブへ、ご自身で希望されて異動されたのですか?

自分は全部希望して異動していますね。「〇〇をやりたい、〇〇をやるためにこういったことがしたい」と。受動的な異動はこれまでないかもしれないです。

『Mobage』のアバターの時はサービスにのめり込んでユーザーさんからの要望を速攻で機能開発してリリースすることを繰り返し、その中でサービスマインドを高められたと思います。一方で、自分は未経験エンジニアとして新卒で入社して研修を経てっていうかたちだったので、技術力にコンプレックスがあったんです。それで技術力をつけたいと希望して、当時の上長に協業案件に携わりたいと申し出ました。

志願して異動したその場所はエンジニアの猛者の集まりで、何もできないというところからスタートして、あがいてもがいて。やっと一人前になれたと思えた時期に、新卒1年目に感じた「熱中できる組織をつくる」という思いの存在が自分の中で大きくなってきて、「マネジメントをやってみたい。どういうものかわからないけれど挑戦したい」と上長に伝えたところ、オートモーティブにマネージャーのポジションがあると言われ、やってみようと異動しました。

──オートモーティブというと、当時さまざまな実証実験を進めていたと思いますが、平子さんはどのチームへ?

自分は車両に宅配荷物を預け入れできる『ロボネコヤマト』のチームにアサインされ、「自動運転をどのようにラストワンマイルの配送につなげるか」というプロジェクトのエンジニアチームを見ることになりました。当時、自動運転で交通不全課題を解決できないかと、藤沢で実証実験に取り組みながらチームが持つ課題を一つひとつ解決していくところから始めました。

マネジメントをゼロから学びつつ、今まで培ってきたチームでの経験をフルに使いながらもがいていた時期ですね。最初に型とするべきものは何なのか、自分には抽象化レイヤーが定まっていないように見えていたので、マネジメントに関する本も読み漁りながら、現場での経験と一緒に学んでいこうとやっていたんですけど、今思うと、もうちょっと体系的にできた部分もあったなと。でも、当時の自分にはそれが精一杯でした。

──その後、無人運転バスによる交通サービス『ロボットシャトル』、日産自動車様と取り組んでいた自動運転車両の『Easy Ride』など、基幹システム開発部の副部長としてマネジメント規模も大きくなっていったと思いますが、平子さんがマネジメントをする上で大事にされていたことはありますか?

やっぱり「一人ひとりが熱を持てるか」。最初は不器用でもいいから一人ひとりと全力でぶつかろうと、メンバーとの1on1や目標設定に向き合っていったんですけど、その中で「こんなに自分に時間を費やしてくれたり、目標設定のフィードバックをくれたのは平子さんが初めてです」と言われたこともあります。自分としては「その人たちが何に心を燃やせるのか」「どんな方向でキャリアをつくっていきたいのか」のベクトルを把握しつつ背中を押したいという気持ちがあって、向き合う時間を増やしていました。

でもそれが5倍ほどのメンバーを見るとなるとそのやり方では難しい。要は戦い方を変え、中間マネジメントをしなければいけない。成功体験もまだいまひとつ確立できていない中で、いきなり中間マネジメントを担うという立場になり、多分二重三重のトランジションが起こっていた。マネジメント領域の学習をしながら事業に向き合うことの難しさはあったのかなと思います。

──その課題にどう向き合ったのですか。

何がうまくいかないのかわからず重圧を感じたり、マネジメントの本質とは何だろうと葛藤する中、私の思考をシンプルにしてくれたOBからの言葉がありました。

「マネージャーの仕事は1を10にすること、1+1を3以上に変えていくこと」

とても納得感がありました。そして、そこで一番不確実性が高いと感じたのが人の領域だったんです。自分は人や組織にも興味があったので、そこを磨いてみるのもおもしろいんじゃないかと思いました。

HRは「こと」に向かうために「人」と向き合うチーム

──そこでHRにつながるわけですね。

「人の熱中を科学したい」と普段からHRのマネージャーに話していましたし、できないことがどうしたらできるようになるのか、ここはひとつ、HRで学んでみようと。

──実際入ってみて、HRはどういう場所でしたか。

難しい質問ですね。異動前は、人事はすべてを知っていて自分とは住む世界が違うものだと思っていました。すごく拡大解釈をして実態が掴めていなかった。よくわからないから自分から入ってみようと思ったのもありました。

──HRでは新卒エンジニアの採用、研修、配属、育成など全方位を見るポジションを担当されていました。

最初はエンジニアの新卒採用担当をメインに携わっていたのですが、配属や育成など、さまざまな視点が交わることでの化学反応も着実にあって、徐々に領域が広がっていった感じです。エンジニアが働きやすく、成果を出しやすい環境づくりを体系化するために、必要なこと、やりたいことは口に出して伝える。DQに「発言責任・透明性」があるように、DeNAには個々の発言に傾聴してくれる文化が根付いていますし、反応も率直です。

自分は人の成長や人が熱中する過程にすごく興味があるので、向き合い続けることができたし、居心地がよかったですね。

──異動前後でHRの印象は変わりましたか?

実感したのは、HR=人に興味がある人たちの集まりなんだということです。HRには「人の力を最大化させ事業と経営をドライブする」というミッションがあります。「『こと』に向かう」というDQにたとえて言えば、人事は「こと」に向かうために「人」と向き合う人たちなんだと思います。

ヘルスケア事業部に異動、挑戦は次なるフェーズへ

──主務を昨年8月にDeSCヘルスケア(以下、DeSC)に移されましたが、今回の異動は少し意外でした。異動後はどのような業務を担当されているのですか。

端的に言えば、組織の再構築です。アジャイルコーチとして、DeSCの強みや価値を確実にお客様に届けるため、バリューストリームを最適化し、ユーザー体験を向上させるチームづくりを推進しています。

ヘルスケア事業は、保険者向けのデータヘルス事業と、産業・公益向けのデータ利活用事業の2つの領域から成りますが、私は主にデータヘルス事業の開発部隊を見ています。またシナジーを持たせるという文脈で全体の事業戦略の提案にも取り組んでいるところです。

──データヘルスとデータ利活用、それぞれ集うメンバーの特徴とかタイプってあったりするのでしょうか。

あると思いますし、そこがとてもユニークでおもしろいDeSCの特徴だと思っています。たとえば、データヘルス側だとヘルスケアエンターテインメントアプリ『kencom』を通して生活者の日々の健康増進をサポートする等、BtoBtoCサービスで生活者の健康に寄与する施策や取り組みに邁進するメンバーが集っています。

他方で、データ利活用側だと、健康・医療情報を効果的かつ効率的な保健事業の実施に資する形で活用し、得られた成果を社会還元するために、各領域のプロフェッショナルが切磋琢磨し、次世代を見据えたエビデンス創出への動きを着実に加速させていっている。それらはドメイン固有の知識・見識の蓄積によって成されるもので、目指すゴールは同じでも感じる価値は違うんだろうと思っています。

いずれにせよ、両者がシナジーを持って動くことが我々のミッション「シックケアからヘルスケアへの転換を実現し、健康寿命を延伸する」を実現する大きな強みとなるのは確実で、事業を力強く推進するためのビジネスストリームをつくることが目下の私の役割と捉えています。

目標は、組織を超えた領域で「人の熱中を科学する」

──現在は、DeSCを主務に、CEO室、エンジニアリング室を兼務されていますが、3つの領域をどうスイッチして回しているのでしょうか。

異なる領域の業務を回しているという意識はないですね。たぶん、自分のやりたいことが、組織の単位よりも大きいんです。つまり、自分は人を熱中させる・夢中になってもらうことがしたい。それは1部門には収まらなくて、自分の目的が組織の目的よりも抽象度が高いんです。

──組織全体に及ぶということですか。

全体かもしれませんが、人を熱中させたい、夢中にさせたい、目の前のことに向かってもらいたい、道のりを楽しんでもらうことをしたいという一つの目的に、自分は向かっています。全部がその目的につながっている状態であれば、兼務しているけど一つのことをしている状態なんです。

会社をよりよくする施策を社員が企画・立案・実行するCEO室の「Delight Board」もしかりで、社員が会社を変えたい・何かをやりたいという熱をブーストさせることにつながっています。

──平子さんのキャリアの軸と拠りどころがつながったところで、今後の目標を教えてください。

先ほども触れましたが、熱中して物事に取り組んでいる状態が広がれば広がるほど、想像を超えるもの(=Delight)が生まれると思うので、その熱を科学したいですね。

──平子さんにとってDeNAはどんな会社でしょうか。

インパクトを残せる企業はたくさんあると思いますが、特大のインパクトを残すとしたら、DeNAはいいポジショニングをとっていると思います。

IPホルダーとのつながりもあれば、地域に根差したスポーツ事業も展開して、そのドライブとなるゲームエンタメもあります。そう考えると、エンターテインメントを軸にしながら、日本という国自体をもっと豊かにしていけるようなポテンシャルを持った会社なんじゃないかなと。

今のフェーズは、自律的に組織運営できるような形にすることだと思うので、それをやりつつ、事業間シナジーを出していくことで、DeNAにしか出せないインパクトを与えられるようになったら、もっと遠くに行けるんじゃないでしょうか。

日本をもっと豊かにできる、あるいはそこにバリューを出せる会社だと思えることが、自分が今もDeNAにいる理由です。

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

執筆:さとう ともこ 編集:川越 ゆき 撮影:内田 麻美
撮影場所:WeWork 渋谷スクランブルスクエア 共用エリア/会議室

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