組織・働き方

デザインから事業を牽引するために。10年目にしてデザイン組織を新体制へ

2024.09.30

2024年4月から、DeNAの旧デザイン本部は、売上拡大/顧客満足を追求するソリューション本部と合流し「デザイン統括部」へと体制変更をおこないました。DeNA全体の「コトづくり」のためのサービスデザインの推進を強化することを目的にした変更です。

全社横断型の独立したデザイン組織だった旧デザイン本部は、今回の体制変更により、データ・AI、マーケティング、システム開発、カスタマーサクセスなど、同じく横断組織として存在していた部門が合流し、ソリューション本部として一丸となって事業推進をおこなう体制となりました。これによって、今までの横断型デザイン組織としての役割に加え、ソリューション本部の各部門との連携を深め、さらなる事業推進の方法を模索し・実践していくことになります。

本記事では、今回の体制変更の背景や狙い、今後の展望についてご紹介します。

※本記事は、2024年8月21日に「Cocoda」にて掲載された記事を一部編集し、転載しております。

デザイン組織としての事業貢献を模索してきた10年

DeNAのデザイン組織は「デザインをDeNAの競争力の1つにする」ことを目指し、10年以上にわたってデザイン組織としての事業貢献を模索し、実践し続けることで拡大してきました。

従来、ゲーム事業を主力に発展してきたDeNAではエンジニアと営業の影響力が強い一方、デザインにおいては周囲の理解が進みづらく、デザイナーは「編集さん」と呼ばれていました。

このような状況の中から、徐々にデザインの重要性が浸透し、グラフィックからユーザー体験、事業へとデザイン範囲を広げていった結果、80名以上が所属する組織へと成長しています。

デザインが事業への相乗効果をもたらした事例も、数多く生まれ続けています。

  • 2023年シーズンに『横浜DeNAベイスターズ 』の8年ぶりとなるホームユニフォームの刷新、及び広告展開を推進。デザイン主導で推進した結果、販売実績はデザイン発表後1か月間で前年同月比18倍を達成
  • 京浜急行電鉄株式会社とともに推進する「川崎新!アリーナシティ・プロジェクト」では、ビジョン策定やイベントの企画・運営など、マーケティングやブランディングでも多面的に貢献
  • セコム株式会社と取り組む「dot-i」(ドットアイ) では、ニーズと提供価値の深堀り、プロトタイピングなどをデザイナーが中心となって推進。この取り組みにより、2月14日、内閣府が主催する第6回「日本オープンイノベーション大賞」で総務大臣賞を受賞

領域を越境していくことでデザインの価値は増す

今後さらにデザインと事業の相乗効果を生んでいくためには「デザインを、デザイン組織だけに閉じない」ことが重要だと考えています。DeNAは幅広い領域で事業を展開しており、シード期からレイター期まで、異なる成長段階にある事業がいくつも存在しています。

さらに、デザイン組織だけでなく、データ・AI、マーケティング、システム開発など、異なる専門性を持った横断部門がそれぞれ各事業の成長を支援していました。その中で、各部門が連携することでより大きな事業価値を生み出したり、新たな領域の検証を進められる事例も増えてきていました。

一方、今まで各横断部門同士の連携はさほど強くありませんでした。プロジェクト単位での連携はあったものの、事業部の課題に対して各部門が独自にソリューションを提供するケースも多く、各部門が密接に連携することで「 (各部門の強みを踏まえた) 最適なソリューションの提供」ができる余地がありました。

このような背景を踏まえ、市場理解、システム開発、データ・AI、顧客理解を一気通貫で考えられるようにソリューション本部に合流し、新たな事業貢献の方法を模索していくことになりました。

デザイン統括部が掲げる「DeNA全体のコトづくりのためのサービスデザインの推進」

特に強化すべき項目として次の2つを設定しています。

  • 横断部門としての役割の確立 (各事業のフェーズに合わせた戦略の推進)・各事業部に対し、横断部門としての役割の確立と自律的運営に向けての支援強化
  • 横断デザイン組織としての継続的な強化・優秀なデザイナーが各事業で継続的に高パフォーマンスを発揮し、事業に貢献できる状態

また、各事業フェーズに合わせた横断デザイン組織としての役割も変化させていきます。

今までは、旧デザイン本部がいわば「中央集権的」に、各事業への支援や評価、アサインなどをおこなっていましたが、ミドル・グロース期〜レイター期の事業においては、その事業部内でのデザイン組織構築を支援するような「自律分散型」の組織づくりも進めています。

事業フェーズに合わせた、共通デザイン部門としての役割の変化

  実際に、レイター期事業に位置する「IRIAM」では、デザイン統括部で培ってきたナレッジを活かし、IRIAM事業部内でデザイン組織を立ち上げていくような事例が生まれています。

このように、自律分散型の組織づくりも進めていくことで、各事業で求められるケイパビリティに沿ったデザイン組織運営がしやすくなります。

一方で、評価やアサインなど横串で基準を担保すべき部分はデザイン統括部が担うといったバランスを取っていくことも重要だと考えています。

事業を牽引する組織としての姿を模索し続ける

今回の体制変更は完成形ではなく、組織としてあるべき姿を模索していく過程における、現時点での最適解だと考えています。

新たな組織の形として「デザイン統括部」となることで、今までにない範囲・アプローチで事業に貢献していける可能性が大きく高まったと考えていますので、DeNAの今後のデザイン力にもぜひご期待ください。

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです

Cocoda【DeNA DESIGN】:事業を牽引する組織としてのアップデート。「DeNAデザイン統括部」への体制変更の狙いについて

DeNA DESIGNカルチャーデック:https://design.dena.com/uploads/pdf/culture-deck.pdf

この記事をシェア
facebookXLinkedin