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挑むはメディカル領域のHRBP。現場・社員目線の戦略人事で事業と組織の成長を後押し

2024.01.17

人事として事業の成長を実感したい。熱い思いを胸にDeNAを選んだ齋藤 祐太(さいとうゆうた)。前職のアパレル製造小売業から一転、未知のメディカル領域でHRBPとして事業推進にコミットしています。

活躍の背景にあるのは、前職の現場で培った経営感覚。2022年10月にDeNAグループに迎えた医療ICTベンチャーのアルムの人事責任者として、PMIや組織内のコミュニケーションでバリューを発揮しています。

入社2年目、アルム管理部人事労務グループマネージャーを兼任し、新たな目標を見据えて奮闘中の齋藤に、DeNAだからこそ叶えられると感じた、というキャリア目標を聞きました。

メディカル事業のPMIで、組織づくりを推進

──まずはメディカル事業本部での業務内容について教えてください。

メディカル事業本部の人事全体を見ています。中でもメインは、2022年10月にDeNAへグループインした医療ICTベンチャー企業、アルムの人事責任者としての業務です。

──業務のおもしろさ、難しさはどのように感じていますか。

ヒューマンリソース本部人材企画統括部組織開発部第三グループ グループマネージャー 齋藤 祐太(さいとう ゆうた)
2009年ファーストリテイリングに新卒で入社し3年間店長を経験。その後、海外に渡り、2カ国の事業立ち上げや店舗拡大に本部の人事・教育部門として従事した後、2022年4月DeNAに入社。ヘルスケア事業部門のHRBP担当を経て、現在はメディカル事業本部のHRBP、子会社の人事責任者として出向中。

アルムはユニークな組織で、子会社、孫会社、海外事業、ジョイントベンチャーもあります。私はHRビジネスパートナー(以下、HRBP)として事業に特化した人事をやりたいと思っていましたので、それがアルムで実践できています。

また、アルムはベンチャーらしく圧倒的なスピード感で事業状況が変化しながらも、その状況に応じて迅速に対応していく実行力のある会社です。難しかったのは、DeNAとは文化、考え方、価値観が違う中でPMI(統合プロセス)を行い相乗効果を生み出すこと。そこは私が着任して一番力を入れてきたことです。アルムにDeNAと同じ人事制度を導入したのですが、それが結果として考え方や価値観が揃い、社員が働きやすい状態になっていると思います。

──アルムをDeNAに迎えて1年が経ちますが、PMIを成功させるためにどのようなプロセスを踏まれたのですか。

PMIが今のところうまくいっていると感じているのは、代表取締役の坂野(※)が、人事制度は親会社に揃えるという方針を打ち出してくれたことが大きいです。もちろん異なる文化、考え方や価値観が違う中でのPMIは決して容易ではありませんでしたが、そこは着任後、他の人事メンバーと一緒にDeNAの制度を導入するに当たって何度も説明会を開催し、しっかり理解・浸透させることに力を注いできました。

※……アルムの創業者。メディカル事業本部 本部長 兼 株式会社アルム代表取締役社長。坂野へのインタビュー記事はこちら

DeNAの人事評価制度を導入して半年が経ち、1回目の評価が終わりました。通常業務の何倍もの労力をかけて導入した甲斐あって、制度が理解され、DeNAが人に対して大事にしていることが徐々に伝わってきている実感があります。この制度を使って人を育て、事業の成長につなげるというより本質的な効果が出るのはこれからだと思っています。

人事として事業を成長させる力になる

──齋藤さんは2022年4月にDeNAに入社されていますが、DeNAを転職先に選んだ理由は何だったのでしょうか。

先ほど触れたとおり、事業の人事をやりたかったことが一番の理由です。前職は小売業で人事関係の仕事を10年間やりましたが、人事として自分はどこまでできて、事業にどれだけ貢献できるのかを知るために全く違う業種を見てみようとDeNAにジョインしました。

最初はヘルスケア事業本部に入りましたが、その分野の人事経験があるわけでもHRBPをやっていたわけでもありませんでした。ある意味、私のポテンシャルを見てくれて、50%の可能性があるなら任せようというDeNAのスタンスに懐の大きさを感じたし、この会社はこういうふうに人を登用するんだと感銘を受けました。DeNAの好きなところを聞かれたら、まずそこだと答えます(笑)。

──初めての領域にどのように対峙してきたのですか。

じつは正直、初めの半年は苦い思い出しかありません。まず、ヘルスケア業界の制約や法律、事業理解やクライアントの状況把握が難しく、スピード感を持って業務にあたれなかったこと。もう一つは、前職は小売業ということもありオフラインのコミュニケーションが主体であるのに対し、ヘルスケア事業部ではオンラインのコミュニケーションが基本だったので信頼関係のつくり方がわからなかったこと。この2つが重なって、自分のバリューを出せずにもがいていました。

──そういった状況で複雑な事業理解に努められたわけですね。

それは重要なポイントです。HRBPはビジネスパートナーなので、経営と同じくらい事業がわかっていないと話になりません。事業を理解して初めてスタートするにもかかわらず、それにものすごく時間がかかってしまった。ビジネスを全部わかって人事をすることがすごく大事な素養で、それがなければ人事としてのバリューが出せません。大きな学びでした。

──入社半年後、メディカル事業部へ異動されたことが転機になったのでしょうか。

運が良かったと思います。アルムがDeNAグループに仲間入りしメディカル事業本部が立ち上がりました。誰もがゼロからのスタートです。わからないことを前提に聞くこともできるし、DeNAのメンバーとして子会社の人たちをリードすることもできました。

──入社前後のギャップはありましたか。

私が理想としていたものとのギャップはなかったですね。前職の小売業では、世界のトップになることが大きな目標として掲げられ、店舗と従業員の数も多いので、とにかく目標達成のために週次でのマネジメントと成果が求められました。一方、DeNAは、デライトをその大きさに関わらずたくさんつくることで、社会に存在意義のある会社になろうとしている。また、それらの挑戦自体を楽しむことが重要視されている。それらが前職との違いです。

──前職で得られたものはとても大きいと感じます。

そうですね。前職では新卒で入社すると3年間、現場で店長をするので、ヒト・モノ・カネのマネジメント力が身につき経営の基礎を学ぶことができました。何より店長時代に人は期待をかけることで成長することを体感し、人の成長に関わる仕事をしていきたいと思うようになりました。私はその後、フィリピンに7年間、インドに3年間、店舗スタッフの教育から始まり、店舗の組織づくりや採用もやるようになり、事業全体の人事を見るようになりました。その後、パンデミックを機に帰任しましたが、人の力で事業を成長させていくという人事のキャリアを積みたいという思いが強くなり、それが転職の動機になりました。

社員と現場を思い、経営陣の目になる

──現在、出向先の子会社で管理部のマネジメントもされていますが、チームやプロジェクトのメンバーに対するコミュニケーションで心がけていることはありますか。

メンバーの一人ひとりが会社の成長について、現状の立ち位置や課題をどう思い、それに対して何をしたらいいのか、自分で課題意識を持って働けることが最も生産性に結びつき、強いチームになる秘訣だと思っています。なので、一緒にやっているメンバーには、私が思う課題を伝えすぎず、その人が自分で事業や組織の課題をどう捉えるかを具体的に引き出す手伝いをすることを意識しています。

──具体的にどのように働きかけるのでしょうか。

たとえば、組織づくりで私が思っていることがたくさんあったとしても、まずメンバーの意見に耳を傾けます。足りないところがあれば、それがわかるような場所(=現場)、たとえば営業の部長やマネージャーと話す場を設けるなどして、事業課題や組織として必要なことを見つけてもらう。答えを出すプロセスが大事だから、事業側とちゃんと話をしてニーズを理解したうえで人事としてのアクションを考えてもらうことはすごく意識しています。

それから、最終意思決定者である経営陣と私が最初にある程度の方向性を握っておくことは意識しています。ビジネスパートナーとして、経営陣との距離感や考え方をアップデートしておかなければ、メンバーたちの動きも後手に回ってしまうので、そこは自分の役割ですね。

あと、経営陣が事業側の最前線で何が起こっているのかを常に把握するのは難しいと思うので、その目になって伝えることもバリューの一つになると思います。経営陣も事業の現場や社員のことを大切に思っているので、いかに社員の目線に立った人事の見解を伝えられるかは大事なポイントです。

──今述べられたことがHRBPの素養として大事だと思われますか。

そうですね。ビジネスパートナーとして、経営側とも事業メンバー側とも強い結びつきを大事にしたい。そうすれば、強い事業をつくることができ、結果的に人事として事業と社員双方にとって最良の判断ができると思っています。

DeNAで学んだ、自己実現を可能にする人の強みを活かす風土

──齋藤さん自身がDeNAに入社して変わったと思う側面はありますか。

新たな発見というところでは、人の見方においてDeNAは多用性を重んじるとよく言いますが、入社するまでそれがどういうことかよくわかっていなかったと思います。

というのは、前職では、すべての社員が目指すべき“あるべきリーダー像”というのが明確にあって、それとのギャップ=課題を修正することに主眼を置いていました。一方DeNAは、リーダーは必要だけどいろんなタイプのリーダーがいていいよねという考え方で、その人の強みにフォーカスし、その強みに対してどういうアサインメントをするかを考えます。

DeNAには「球の表面積」という考え方があって、1人の最強な人材がその役を担わなくても、たとえば5人で分担して役を果たせればよくて、その人がやりたいこと・できることに集中させてあげようという考え方です。人事としての発想がすごく変わりました。

──事業を知ることに加え、社員個々を知ることが大事ということですね。

個にフォーカスするのはすごく合理的だと思います。人それぞれ、やりたいことも、強みも弱みも違います。その中で、強みにスポットを当て、その人のやりたいことに重きを置いてあげたほうが、その人らしさが生きるよねという考え方なんですよね。

──齋藤さんがDeNAに入社されてもうすぐ2年、今後の目標はどこに置いていますか。

事業で人事の経営者をやれたらというのがあります。いわゆるCHRO(最高人事責任者)ですが、アルムでそれをするためにはここからもう少し管理側面の横幅を広げていく必要があると考えています。

現在、管理副部長をやらせてもらっているので、経営企画、経理、法務などのバックエンドの部分をより幅広く理解することで経営としての視野が広がり、それが人事としての経営をやることに繋がっていくと思います。人事だけ見ていても目標は達成できないというのが、この1年で感じたことです。

──では最後に、DeNAで自分を成長させられる要素は何だと思いますか。

やりたいと言ったことをやらせてくれる風土は前の職場でも強かったけれど、DeNAは圧倒的に強いです。キャリア支援制度がそれを象徴していて、社員自らが手を挙げて、対象先の本部長・事業部長と合意できれば直属の上司の承認がなくても異動できる「シェイクハンズ」や、今いる部署に在籍しながらリソースの30%までなら他部署と兼務できる「クロスジョブ」、副業も認めています。

※……DeNAの人事施策ついての記事はこちら

なので、私がCHROになるためには、何を伸ばしたらいいのかを自ら筋道を立てて考え、それらを実践していくことが大事。自身のウィルでキャリアを実現していけるDeNAは、私にとって最高の会社だと思っています。

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

執筆:さとう ともこ 編集:川越 ゆき 撮影:内田 麻美

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