すべてのお客様にDelightを届けることがミッション。
DeNAのあらゆる事業・サービスのカスタマーサポート(以下、CS)を一手に担い、お客様の声に耳を傾け、その声を提案という形で事業部に届けているのが、新潟カスタマーサポートセンター(以下、新潟CS)です。
新潟市に拠点を構えて15周年、品質向上・ユーザー体験向上活動の一翼として、またウェルビーイングのモデル企業として存在感を放つ新潟CS。
そのマネジメント職の仕事とは?
品質本部を率いる本部長の三村 宏康(みむら・ひろやす)、新潟CSセンター長の西 雅彦(にし・まさひこ)、同グループマネージャーの宮本 真由美(みやもと・まゆみ)に聞きました。
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事業部への提案など、多角的にモノづくりを支えるカスタマーサービス
ーー新潟CSはDeNAの中でどのような位置づけにあるのでしょうか?
三村 宏康(以下、三村):組織としては、品質本部に属する部門の1つです。品質管理部と並んでカスタマーサービス部があり、お互いに協力してお客様のDelightに繋がるあらゆる品質向上を目指しています。カスタマーサービスは、新潟と東京に拠点があり、どちらも事業・サービスごとに分かれた5つのサポートグループとCX推進グループで構成されています。
西 雅彦(以下、西):SNSサイトの普及に伴って、当社の展開する「Mobage(モバゲー)」でも青少年保護への取り組みが課題となり、サイトパトロールを主事業として2008年4月に立ち上げたのが新潟CSです。
その後、DeNAが自社ゲームアプリ、オートモーティブ、ライブストリーミング、ヘルスケアやメディカルなど事業を拡大するなか、現在は一部の子会社を除く広範囲にわたってカスタマーサポートを担当し、今年15周年を迎えました。
ーー業務が多岐にわたると思いますが、現場の仕事と体制はどんなものなのでしょうか?
宮本 真由美(以下、宮本):各サービスのメール・電話サポート、代表電話・メールの窓口、ライブストリーミング配信の投稿審査・パトロール、取引先・コンテンツのチェックなどの業務があり、これらをもとにCX向上に向けた各施策に取り組んでいます。
西:サービスごとに主担当のスーパーバイザー(以下、SV)を置き、自社で採用したアルバイトスタッフを中心にお客様対応などを行っています。
三村さんから話があったように、SVはスタッフを管理するだけではなく、あらゆる角度でモノづくりを強化するために、事業のメンバーにお客様の声を届け、サービス改善の提案に力を入れています。
ーー提案とは、たとえばどんなものがありますか?
西:サービスを使う時にID・パスワードを入力しますが、ヘルスケアサービスのお客様にはご年配の方も多く、「入力の仕方がわからない」、「ID・パスワードを忘れてしまった」というお問合せが多かったため、担当部署に年齢層に考慮した設定方法に変えていただく提案をしました。
またゲームでは、表記が分かりづらいところを分かりやすく変更してもらったり、多くのお客様が楽しめるイベント設計となるような改善提案をすることもあります。
ーーお客様の声をもとに、サービス改善とお客様体験の向上にも繋がる重要な役目を担っているんですね。事業部とのやり取りは、開発から運用までのどのフェーズで始めるのですか?
三村:DeNAのCSは一般的な企業のCS担当とは大きく違う点があります。一般的にはリリースの少し前からCSが入って運用を中心に行うのに対して、DeNAでは基本的に企画の段階から入ります。お客様にDelightが届くのかレビューさせてもらい、リリース以降の運用まで見ていきます。
つくり手である事業部側がいいと思ったものが、お客様にとっていいのかは、一番お客様に近い我々でないとわからない部分もあります。お客様の声を最前線で受け取っている我々が、最もお客様の感情を理解していて、その代弁者として事業サイドと会話をして、必要であれば直すところまで入っていくのが特色です。
ーー職場はどんな雰囲気なのでしょうか?
宮本:メンバー全員で共有して共感する雰囲気がある職場です。DeNAはエンターテインメントの事業があるので、エンタメ好きな従業員が多く集まっており、それこそ他社の情報もいち早くキャッチして、自分たちの大好きなものを共有しています。年齢層も幅広いですが、全体的に時代をキャッチアップしていく雰囲気がありますね。
マネージャー視点でみる、従業員のWell-being、お客様のDelight
ーーみなさん異なるポジションですが、それぞれの仕事内容をお聞かせいただけますか?
三村:カスタマーサービス部長とその上位組織にあたる品質本部長を兼務しています。センター長の西さんや、宮本さんをはじめとするマネージャー陣に部門運営をしていただき、私は全体統括的な仕事をしています。とはいえ育成マインドは常に持っているんです。
たとえば、月次報告会で各担当のSVから定量的・定性的な話を全部報告してもらいますが、数字の話をするだけではなく、みんなの発表の練習の場になればという思いで進めています。報告の仕方や資料の作り方など、キャッチボールをしながらスキルを伸ばしていってもらえると嬉しいですね。現場のメンバーとの1on1も結構リクエストをもらっていて、壁打ち、悩み事相談など気楽に応じています。
西:新潟CSのセンター長をしています。マネージャーとして主に現場で起きたクレームやリスク案件の対応などにあたりながら、ヘルスケア・メディカル領域のグループのマネジメントも担当しています。
普段は東京にいますが、多岐にわたる領域で担当者が独り立ちしてスタッフとチームを形成して運営してくれているので、信頼してチームをお任せして、そのチームが円滑に進むように下支えをさせてもらっています。
宮本:エンターテインメント領域のグループでマネジメントを担当しています。現職に至るまでに、他社でCSのほか、受注や経理などのサポート部隊のセンターを運営・管理した経験があり、その中でもCSセンターのマネジメントには魅力を感じていました。DeNAの新潟に希望するポジションがあり、転職と同時に東京から新潟に引っ越して着任しました。
仕事ではウェルビーイングを一番大事にしています。お客様にDelightを届けるためには、私たち従業員が健康で幸せでなければ伝わらないと思うからです。従業員に喜んでいただくことが私の原動力になっています。
ーーWell-being CUSTOMER CENTER AWARD(プロシード主催)※1)を2年連続で受賞されていますが、取り組みの背景を教えていただけますか。
宮本:一般的に地方の拠点は、東京の事業メンバーとの距離が遠く、情報が一歩遅れるイメージがありますが、今ではリモートが当たり前の環境で東京と新潟の情報速度の差はなくなっています。DeNAでは「CSといえば新潟」が定着しています。
ウェルビーイングの活動はDeNA全体で取り組んでおり、東京発の施策も多いです。その取り組みを新潟CSにも取り入れたことで、拠点は離れていても東京・新潟のコミュニケーションの一体感を常に醸成しています。
そのうえで、一番お客様に近いところで仕事をしているCS部門自体においても、「私たちの幸せを、お客様のDelightに還元していこう!」という気持ちがさらに高まり、数年前から本格的にCS部門独自のウェルビーイングの取り組みをはじめています。
※1……【Well-being CUSTOMER CENTER AWARD】とは、株式会社プロシード主催の「日本で最も幸福度の高いWell-beingなセンターを決めるアワード」です。2021年から始まった新しい取り組みではありますが、Well-beingという言葉は着実に世間に浸透し始めています。
MVVの浸透に注力、全てのアクションの先にDelightがある
ーーメンバーに目的が共有され、組織に浸透させるために、どのようなマネジメントや場の作り方をされているんでしょうか?
三村:社内にミッション・ビジョン・バリュー(MVV)のポスターが掲示されていたり、常に目のつくようなところにスローガンが置かれています。業務委託先にもポスターを貼ってもらっています。
宮本:昨年、ウェルビーイングとして取り組んだことの1つに、MVVの浸透があります。アルバイト一人ひとりにも会社が大事にすることを分かってもらおうと研修会を開いて、MVVの理由であったり、CSが目指すDelightはどんなことなのかを何度も繰り返し話しました。
また、アンケートでも追っていて、最初は低かった理解がどんどん進み、頭で分かるだけでなく、実際にお客様のDelightに繋がるアクションができているかどうかの確認もしています。
この「理解」と「体現」の両方のスコアが上がるように、MVVを浸透させることに注力しています。
ーーMVVを浸透させる熱量やモチベーションはどこから湧いてくると感じますか?
三村:ビジョンの共有なくしては、いいものをつくり、お客様のDelightを高いレベルで実現することはできないと思います。
西:私たちのCSがお客様対応を基本的には自社で行い、AIを使ってバンバン返すことをしないのは、「一人ひとりに 想像を超えるDelightを」お届けするためには、人の温かさが感じられることや、私たちの仕事が作業にならないことがすごく大事だと思っているからです。
会社のミッションでもあるDelightという言葉を胸に、私たちの業務であるお客様と向き合うことを、愚直にずっとやってきています。もちろん効率化するところは効率化しますが、一方で失ってはいけないものがあって、それがお客様との接点だと考えています。
ーーDelightを共有してチーム作りをするために、マネジメント職に求められるスキルや資質をお聞かせください。
三村:サービスをリリースしている会社の自社CS部門なので、言われたことを言われたとおりにこなすだけでは足りません。常にお客様と向き合ってよりよいサービスとは何かを考え、事業サイドと一緒に作り込んでいくことができる方を必要としています。マネジメント経験者で、CSもしくはそれに近しい業務経歴をお持ちで、当社が主軸とするIT・インターネットの知識を持っている方などは親和性が高いと思います。
宮本:新潟CSであれば、現場にいることの大切さや魅力をわかっている方がいいですね。イベントが好きだったり、コミュニケーションの活性化やセンター運営に興味を持っていたりと、新潟の拠点に根付いた活動ができる人を歓迎したいです。
西:付け加えると、私たちのセンターはいろいろな変遷を経て現在の立ち位置にありますが、まだ完成形ではありません。IT・インターネット業界が変わっていくのと同じようにCS業界も変わっていき、センター運営も変わっていかなければいけません。CSをどんどんよくしたい、みんなをよくしたいという人と一緒にセンターをつくっていきたいですね。
幅広い経験を積めるCS部門、キャリアパスが拓ける魅力的な職場
ーー世情や事業などさまざまな変化に対して、柔軟に進化することが大切なんですね。新潟CSとしては今後、どんな展望を描いているんでしょうか?
三村:DeNAはエンターテインメント領域と社会課題領域の両軸で事業を展開するユニークな企業であり、新潟CSはその両軸を担当している拠点になります。今後、DeNAの社会課題領域への貢献がますます重要性を増していく中で、新潟CSの重要性も高まっていくことを想定しています。なので、単なるお客様のお問い合わせ窓口ではなく、顧客体験の向上を高めるセンターになってほしいという思いがあります。
西:私たちの取り組みは1人ではできません。CSのメンバーはもちろん、事業部のみなさんとも連携し、チームワークを大切にしながらみんなと力を合わせてDelightを届けていきたいです。
宮本:DeNAの拠点という意味で、新潟はカスタマーセンターの拠点ですが、センター自体の役割をもっと大きくしたいというのもあります。DeNA本社がまちづくりの活動に力を入れているので、せっかく拠点があるのだから新潟でも同様の活動ができたら嬉しいですね。
ーー新潟CSは県や市との関係性も築いてきたと思いますが、地域ではどんな存在でありたいと考えているのでしょうか?
三村:新潟県内のCS企業の中で最も魅力的な拠点であり、職場でありたいと思っています。
西:新潟県や市の皆様とは日頃から連携してコミュニケーションを取らせていただいており、100名を超える規模のスタッフが在籍し、インターネット事業を展開しているDeNAへの期待を感じています。「DeNAって就職先としていいよね」と思っていただけて、DeNAがインターネット企業として国内外で評価されるのと同じように、「新潟CSのような素敵なセンターで働いてみたい」と思われる拠点になれたらいいですね。
ーー地域との絆やチームワークでDelightを届ける新潟CSに今後も注目ですね。最後に、DeNAのカスタマーサポート部門で仕事をする魅力を教えてください。
西:CSの採用面接では、「誰かの役に立ちたい」「ありがとうと言われる仕事をしたい」という方が多くいらっしゃいます。お客様の困りごとを解決する手助けをしたり、もっと楽しみたいという思いを事業部に提案し、改善することで成し遂げられることに魅力があるのではないかと思っています。
宮本:私は転職でCSを選ぶぐらいすごくこの仕事に魅力を感じています。前職でいろいろな仕事をしてきましたが、会社の情報が一番集まってきて、自分が働いている会社のサービスに携わって仕事ができていると強く感じられたのがCS部門でした。
自社のサービスや事業全体を見ながら業務をできる部署が意外と少ないなかで、CSでは業界や事業の知見が幅広く得られることにも魅力を感じています。
もう一つは、CS業務には危機管理も必要なので、その経験からストレス耐性が高まり、リスクが発生したときにも冷静に対処し、問題解決能力を向上させることができると思います。
三村:DeNAのCS部門では幅広い事業に関わることができるため、ゆくゆくはDeNAのいろいろな部署で活躍できる経験を積むことができる面白さがありますね。CSからのキャリアパスとして、人事、内部監査、パブリックリレーション、事業部へ異動される方もいます。将来、自身のウィルでキャリアを広げて自己実現できるというのも大きな魅力だと思います。
※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。
執筆:さとう ともこ 編集:今西 美樹 撮影:内田 麻美