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“自分の知らない自分”に出会う。新しくなった「360°フィードバック」で仲間が伝えてくれること

2023.05.24

DeNAがおこなう人材開発施策の一つ「360°フィードバック」がリニューアル。従来のマネージャーがメンバーからフィードバックを受ける対象を拡大し(※)、チームの仲間やプロジェクトで関わる人、上長にもリクエストできる、フラットで新しい仕組みへとアップデートされました。

相手への質問は3つ。

①【Keep】その人の強みや良さ
②【Try】その強みを活かすための提案
③【Message】その人の成長のためにサポートできること

これらを記述してもらいます。

評価項目や採点はなく、給与体系とは切り離され、記名制であることが大きな特徴。その人を思って考え、後押しする言葉を贈ることから「Gifts(ギフツ)」と名付けられ、2021年度のリニューアル以来、延べ3000件のGiftsが贈られています。

ゲームサービス事業本部の横山 由似(よこやま ゆい)は次のプロジェクトに向けて、ライブストリーミング事業本部の冨士谷 莉緒(ふじたに りお)はHRへの異動に向けて、どんな言葉が寄せられたのでしょうか。

※……2023年時点での実施対象者は子会社を含めた正社員と契約社員。

思い立ったら誰にでもリクエスト。DeNA流「360°フィードバック」

▲ ポップでカジュアルな印象へとUIも一新された「360°フィードバック」のトップページ。

ーー全社員を対象に「360°フィードバック(以下、360°FB)」の権限が拡張されました。実際にシステムを使ってみてどうですか。

冨士谷 莉緒(以下、冨士谷):年2回、8月と2月に実施され、全社メールでもお知らせがあります。誰からFBをもらうのか、自分で感覚的に選べるので、普段は聞けないような相手にもリクエストを送ることができます。

横山 由似(以下、横山):日々一緒に仕事をしている仲間でさえも、自分のことをどう思っているのかなんて聞く機会はあまりないですよね。

わざわざミーティングをするのも変だし、業務で忙しいところに時間をもらうのも申し訳ないですし。でも「360°FB」は、リクエストを送ることも相手の回答も任意で、書けなければそれでも構わないので、お互いが少ない負担で利用できる仕組みです。

冨士谷:同期や後輩、事業部長からもらうとなると少し躊躇う気持ちもありましたが、いい機会なのでリクエストしてみようと思いました。

ーー360°FBを利用しようと思ったきっかけは?

横山:私はいつも半期ごとの目標設定に利用しています。所属部署のマネージャーが“客観的な意見”を取り入れることを勧めてくれたことがきっかけです。

 ▲ ゲームサービス事業本部運営事業部運営推進部企画第二グループ 横山 由似(よこやま ゆい)
映画・CM・コンシューマーゲームのプロダクションマネージャー、アニメーション制作の進行を経て、2012年にDeNA中途入社。現在は集英社DeNAプロジェクツにて『集英社ゲームクリエイターズCAMP』の運営を兼務しながら、ゲームサービス事業本部で横断的なサポートに取り組む。

目標の振り返りで、自分でこれができた・できていないということは書けても、確かにそれが相手やチームから見て、どうだったのかという視点が含まれていないことに気づきました。

冨士谷:実は、私は4月にライブストリーミング事業本部の『Pococha』からHRの新卒エンジニア採用グループに異動しました。

新卒入社から2年間を過ごさせてもらった事業部での総括として、自分の強みや伸ばせることをしっかり認識して、次の部署での行動指針に落とすところまでできればいいなという気持ちで、今回初めて「360°FB」を受けようと思ったのです。

ーーどんな方にリクエストを送ったのでしょうか。

横山:毎回各プロジェクトのメンバーに、多いときは10人くらいに送っています。自分と接点の少ないメンバーは書きにくいだろうなと思いながらも、えいっと。「お願いします」とメッセージを書いて、一度深呼吸をしつつ、Enterを押しPCをそっと閉じます(笑)。

冨士谷:私は、同じチームで働いていた全員と事業部長にリクエストしました。

みなさんと近くで働いているからこそ、自分のどんな弱みが出てくるのかを知るのは少し怖かったですし、なかなか直接事業部長に1on1は申し込みづらいので「360°FB」をリクエストしてみました。果たして返ってくるのかなと考えると、結構ドキドキでしたね。

 ▲ ヒューマンリソース本部人材企画統括部新卒部AI・エンジニア採用グループ 冨士谷 莉緒(ふじたに りお)
早稲田大学社会科学部卒業後、2021年DeNAに新卒入社。『Pococha』にて2年間コミュニティマネージャーとして、コミュニティイベントの運営などに携わる。2023年4月HRの新卒エンジニア採用チームにジョイン。

横山:いきなりリクエストを送られて戸惑う人もいると思うので、Slackで「もしよろしければ……」とお伝えもしています。

冨士谷:私はSlackでメッセージを送れることに気づいたのが、締切の前日で(笑)。実はメッセージするか・しないかでも結構悩みましたが、悩んでいるなら「送っちゃえ」と、「すみません。遅くなりましたが、FBお願いします」とコミュニケーションしたんです。

このDMをしたことで、ほぼすべての方からFBをもらうことができました(※)。

※360°フィードバックの回答率……全体平均は2023年2月時点で約70%。

フィードバックで気づく、知らなかった自分の強み

ーーどんなFBがありましたか?印象的なFBをお聞かせください。

冨士谷:何か難しいことが書いてあるんだろうとイメージしていましたが、そんなことはなかったです。“自分の強みをもっと活かして、次のステップに進むためにやったほうがいいことのアドバイス”を、たくさんもらえました。

たとえば、マインドについてのアドバイスです。私は自分の強みを細かい対応やサポート的な部分だと思っていたのですが、「日々の業務の中で学習を積み重ねていることが強みで、それが全てのスキルの根本にあるよね」というFBがあって。この言葉から、次のステップでのネクストアクションを導き出すことができました。

横山:同感です。自分が気づいていない強みが書かれていると「そうだったんだ!」という大きな発見になりますよね。自分のことを理解しているつもりでしたが、“自分が思っている自分と相手が思う自分はぜんぜん違っていた”のは、うれしい驚きでした。

私はプロジェクトの進行管理をやっているとき、みんなを追い立てる立場なんですよね(笑)。本当は追い立てたくないんですよ。誰でも頑張ってやっているところに「大丈夫ですか、もうすぐ締切ですよ」なんて言われて、いい気持ちはしないだろうなという気がして。それを「助かります」と、言葉をもらえて気持ちが楽になりましたし、やっていてよかったと思えました。

ーーそれはうれしいフィードバックですね。ほかに意外だったことは?

冨士谷:もう一つ、意外だったのは「冨士谷さんが思っているほど、注目が集まることは苦手ではないのでは?実際、会議によってはしっかりと話せていることもある」というFBが届いたことです。私は、会議で意見を言ったりするような、注目が集まる場所が苦手だと公言していたので……。

そこから「その場に向けての準備がしっかりできたときはすごくパフォーマンスがいい。問題なのは”注目が集まることではなく、“準備不足の部分”なんじゃないか」と考察ができるようになりました。

横山:私はプロジェクト毎にメンバーが違うので、毎回リクエストを送る顔ぶれも違いますが、中には一貫して送っている人もいて。

1回目のFBでは「進行管理ですごくいいスキルを発揮しています」という内容でしたが、2回目は、その人とのコミュニケーションがよくなってきたこともあって、「もっと踏み込んだアクションはどうですか」という提案をもらえたことが、意外でうれしかったです。自分の成長の定点観測をさせてもらえました。

効果を最大化!「360°フィードバック」の活用法

ーー「360°FB」では、キープ、トライ、メッセージの3項目について記述してもらいますが、集まったコメントはどう活用していますか。保存したり、見返したりするのでしょうか?

横山:自分の知り得なかったことを書いてもらえるので、目標設定する時期になったらツールの「Gifts」にアクセスして、次の成長に向けてどうして行こうかと考えるんですけど、私は一旦考え抜いて構築したら、他は忘れます。

というのは、いろいろな視点からFBをもらうので、実際にあれもこれもやろうとするのは難しいと思うんです。プロジェクトとかけ離れた自身の成長を掲げても、どこかでズレが生じてくるので、自分が目標とするアドバイスをいくつかピックアップして次のプロジェクトの指針や方針と照らし合わせ、自分の成長を鑑みながら取捨選択してアレンジするようにしています。

冨士谷:私の場合は「360°FB」でもらったポイントについて、とことん自己分析に活かしています。

・そう思われたと考えられる実際の行動
・なぜその行動をとっているのか
・よりステップアップするための目標
・その目標を目指すうえで想定される壁
・上記を踏まえた、1st stepとしての行動目標 

などを考え、取るべきと考えたネクストはメモに残してよく見返すようにしています。

 ▲ 「360°フィードバック」で返ってきたアドバイスや提案を手書きのメモに起こし、自己分析に役立てている冨士谷の活用法。

ーー360°FBを有効活用するために、上長やチームからのサポートもあるのですか。

横山:マネージャーと1on1をするときに、寄せられたコメントをもとに自分の強み・弱みを共有して、プロジェクトとして目指したいところと自分の目標の擦り合わせをしています。「360°FB」で得た情報を一緒にやっていくメンバーにも伝えて、自分だけのものにしないようにしていますね。

冨士谷:私も今の上長とメンターとの1on1で、こういうFBがありましたと共有して、ネクストアクションを決定しました。

ーー次の部署での成長を、それまでの部署のみんなが応援してくれる関係性もいいですね。

冨士谷:部署から抜ける人間にもかかわらず、こんなにも私のキャリアや、なりたい姿を踏まえてアドバイスやサポートをしてくれて。「次のキャリアを考えたときに、こういうことも強くなったほうがいいのでは?」という提案が多く、私の人生自体を考えてくれていることが伝わってきて、うれしくなりましたね。

異動前のライブストリーミング事業本部では、私とユーザーさんの1対1のコミュニケーションが主でしたが、HRでは採用意思決定者などのステークホルダーが増えていきます。そのような違いを踏まえて、挑戦すべきことは何なのか、本当に温かいさまざまなアドバイスをもらいました。

想いを言葉にして伝える大切さ。透明性の高いチームでプロジェクトに向かう

ーーここまで、ご自身の成長に「360°FB」をどう活かせるかを聞きましたが、チームの成長という点では、メリットとして何か感じることはありますか。

横山:このツールのよさは“自分が知り得なかった自分に気づけること”だと思っています。チームでプロジェクトを推進していくにあたって「この人とは仲がいい」とか、「よくないかもしれない」という意識は、少なからずあると思うんです。

でも「360°FB」のようなツールで、お互いにどう思っているかを知り得ることで、メンバーの信用度が上がったり、一人ひとりがこのチームをどうしていくかを考えるきっかけになったりするんじゃないかと。お互いの理解が深まると、それが開発力や運営力につながって、プロダクトがよりいいものになるという気がしています。

冨士谷:「360°FB」を通して、こんなにもみんなが自分のことを見ていてくれて、成長を考えてくれていることへの気づきが、チームビルディングにもつながっていくだろうし、チームメンバー一人ひとりの成長につながって、同じ方向を向いた組織になっていくのかな、と感じます。

ーー一般的に「360°FB」は匿名制で運用されますが、DeNAはバリューとする透明性や発言責任を反映して記名制。人間関係でのミスコミュニケーションが減りそうですね。

横山:言わなくてもわかるって、ある意味すごくいいことです。けれど、特にハイブリッドな働き方の中で、“しっかり言葉にして伝える”ことは、大切なことだと感じています。意思疎通しながら連携できるチームは、本当に強いです。

私の仕事でいうと「言われていないからやっていない」みたいな、すれ違いは起こり得るし、一方で「察することを強要する」のも違う。だからこそ、コミュニケーション不足でスケジュールの遅延や漏れが起こることもあるので、やっぱり伝えることは大事。

「360°FB」も相手への伝え方は一緒だと思います。相手を慮って伝えることができるチームで楽しく働きたいですね。

冨士谷:そうですね。お互いに尊敬し合えるポイントって必ずあるので、相手に敬意を持って働けたら、チームにも自分にもすごくいいですよね。

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

執筆:さとう ともこ 編集:若林 あや 撮影:小堀 将生

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